駒子の備忘録

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SHOW-ismⅩⅠ『BERBER RENDEZVOUS』

2022年11月24日 | 観劇記/タイトルは行
 シアタークリエ、2022年11月22日18時。

 パリで映画撮影のはずが、サハラ砂漠にポツンと建つスタジオに連れてこられた曰くありげな女たち。謎のクライアントからのオーダーは、ここにしばらく滞在して映画を一本撮影せよ、というもの。電波圏外、交通手段なし、あるのは見渡す限りの砂と空、しかも報酬は聞いていたより何故か高いし、しょうがないやるっきゃないと、世界中から集まった女たちはドタバタと撮影を進めていくが…
 作・演出/小林香、音楽監督・編曲/前嶋康明、作曲・編曲/大岢慶子、作曲/Karen Yamaguchi,桑原まこ、振付/松田尚子、松出直也、原田薫。独自のセンスと美意識があふれる、オール女性キャストのソング&ダンス・ショー。全2幕。

 このシリーズ、『ピトレスク』『TATOO 14』『ユイット』と観ていて、どうもあまり感心していない記憶があり、今回もちえちゃんとみやちゃんは観たいんだけどさてどうかな…と手を束ねていたら、知人の代理でちょっとお安く行くことになりました。それでちょうどよかったかも…(^^;)
 ネタバレすると、クライアントの正体とはゲスト出演者演じるノーウェア(この日は愛月ひかる)と名乗る宇宙人で、地球人を滅ぼした方がいいか判定に来た、という中二設定です。で、できた映画の出来がいいから(そしてチョコレートなるものに初めて出会い、気に入ったから)見過ごしてやることにした、と言って去っていき、女たちはまた日々をがんばるか、と解散していく…というような枠組みの中で、女たちが作るいくつかの短編映画をそれぞれ一場面とするショーを展開する、という舞台でした。彼らによれば地球人は生まれた星を滅ぼしてしまいそうなくらい愚かで、彼らの星に到達できるほど賢くないそうです。まあそれはそうやね。その程度のザル判断でよしとする彼らの文明も知れたものだとは思いますが、私は退団後初めて観た愛ちゃんがあいかわらず色白でお衣装も真っ白のパンツスーツで白く発光していて、宇宙人感があったのでよかったと思いました(笑)。歌は普通、てか出ない低い音があるような歌を無理に歌わせることはないと思う。てかいくらゲストでも出番ちょっとすぎない? ゲスト目当てで来るファンも多いんじゃないかと思うんだけど、この先もこれで大丈夫? まあまあ豪華メンツだけど?
 まあでも、そんなわけでショーを作るのって難しいんだな、だから今、宝塚歌劇団以外でショーを作るところってほとんどないのかもしれないな、などと考えてしまう観劇となりました。他のキャストは私は全然名前を知らない人で、それぞれ有名なシンガーだったりダンサーだったりするのでしょうか。でもスターはあくまでちえちゃんとみやちゃんで、でも別に他がアンサンブルに徹しているというわけでもなく、さりとてメインになってものすごい歌唱を聴かせるとかダンスアクトを見せるとかもなかった気がする…となると、全体に間が保たないんですよ。宝塚のショーは下級生を端からチェックするとか、要するにスターを観る楽しみがあるんだけれど、それがないならものすごく質の高い歌やダンスにしてくれないと、あたりまえですが見るべきものがないんです。映像とかもそんなに凝っていたわけじゃない気がしたし、ものすごく斬新な振付があった気もしなかったし、ショーで何をやりたかったんだ…って気が正直してしまいました。
 また、ちえちゃんは元女優のスタントウーマンで、みやちゃんは元子役で今はお騒がせセレブみたいな扱いの女優、という設定のようでした。彼女たちはかつて映画で共演したことがあって、みやちゃんは大人の役者に生まれ変わるチャンスと賭けていたんだけれど、ちえちゃんのトチリのせいで上手くいかず、結局それでちえちゃんは女優からスタントに転向してみやちゃんもぱっとしないまま…ということになっているんだそうです。何ソレ、そっちの話をストーリー仕立てのショーで観たいんですけど?ってなりません?? 私はぶっちゃけなりました。
 今はロンドン住まいという設定のみやちゃんはあだ名というかコードネーム?が「ハロッズ」で、いかにもな派手な黄色のチェック柄のお洋服始め取っ替え引っ替え腹も出す脚も出すの大盤振る舞い、ごちそうさまでした。ちえちゃんはロサンゼルスでベルベットのパンツスーツがメインのお衣装で、要するにふたりがいがみ合いながら結局のところイチャイチャしてるとただの『オーシャンズ8』だったので、早くそれをやればいいのでは…としか思いませんでしたね。
 もちろん卒業しちゃうとミュージカルに出てもショーのような歌やダンスをすることってほぼないので、久々にバリバリ歌い踊りバンバン着替えるふたりを観て楽しかったんですけど、でももうちょっと中身が欲しかったですねえ私は…
 まあでも客入りはいいようだし、回数少ない公演だし、ファンは喜んでるのかも知れないし、これでなんとかなっているならそれでいいのかな…私は小林香はわりと好きな方な気がしているんですが(歯切れ悪いな)、やはり作品を選んで観に行かないとな、とも改めて思いました。
 クリエも規制退場をやめていました。ここもあまり導線良くなくて混むから、もうしばらく続けるといいのに…残念でした。



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