駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『オーランド』

2024年07月13日 | 観劇記/タイトルあ行
 PARCO劇場、2024年7月12日13時。

 16世紀後半のイングランドに生を受けたオーランド(宮沢りえ)。エリザベス女王(河内大和)をも魅了する美貌を持ち、貴族でありながら樫の木の下で気ままに夢を見て、詩を書くことを好む青年だった。ある日、詩人のニック(山崎一)に詩を酷評され、ルーマニアのハリエット皇女(ウエンツ瑛士)からは激しいアプローチを受け、辟易したオーランドは逃げるように外交官としてトルコに渡る。そこで昏睡したオーランドは、7日後に目を覚まし、鏡の中に女性の姿を見て…
 原作/ヴァージニア・ウルフ、翻案/岩切正一郎、演出/栗山民也。全2幕。

 平日夜公演が一回しかないスケジュールで、平日昼割引の優待チケットで観ました。なんだかなあ…
 原作小説は未読。30歳まで男性だったオーランドは何故か突然女性になり、その後現代までずっと女性として生きて36歳…という設定?の、伝記を模した小説なんだそうです。ファンタジーというか…ウルフが実際に恋愛関係にあった10歳歳下の女性作家をモデルにしているそうで、男性同性愛のように犯罪視されてはいなくとも、むしろないもの、見えないものとしてタブー視されていた女性同性愛を描くための、ある種のギミック設定だったようです。当時から人気はあった作品だそうで、その後も映画や舞台にいろいろと翻案されている作品だそうですが、今やるならもっとおもしろい見立てができてもよかった気もするし、少なくともおっさんの手によるものではないものを観たかったかもな、とは思いました。宮沢りえが絶妙だっただけにね…
 というかよくわからない舞台だったのです。眠かったし…私に詩人の心がないせいだというなら、すみませんが。あと録音台詞がダサすぎて吐きそうでした…
 性別を越境するとか、時間を超えて生きるとかには、もっと魅力的な描き方があるのではないかしらん…あるいは葛藤とか悩みとか、もっといろいろあるんじゃないのかしらん。うーん、よくわからん…
 主演以外の役者はみんな何役もこなし、男女の役もコロスもやる達者さで、贅沢だったんですけどねえぇ…すみません、よくわかりませんでした。簡素なセットにスタイリッシュな照明(美術/二村周作、照明/おざわあつし)で、素敵でしたが…でも宮沢りえがアップになる映像(映像/上田大樹)はなんか嫌だったなー。性の転換を語るくだりでの映像でしたが、では何故同じく性を変えたボンスロップ(谷田歩)の映像はないの?みたいな…なんかみんな女体が好きすぎるだろう、と辟易しました。原作者はもちろんそうだったんだろうけれど、女性が同性の身体を好きなのとシスヘテロ男性が女体を好きなのとは違うじゃん。こういうのこそ役者もスタッフもオールフィメールでやればいいのに…性別がすべてではないけれど、こういうモチーフならそういうアプローチじゃないともう駄目じゃない?とか、いろいろ考えてしまいました。
 原作小説は、今の訳なら読みやすいのかな? 読んでみようかな…「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分一人の部屋を持たねばならない」という言葉は有名ですが、おそらく私はウルフを読んだことがない気がします。プログラムの四解説はそれぞれ方向性が違っていて、読みでがありました。










コメント
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