駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

竹宮恵子『ファラオの墓』

2010年02月25日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名た行
 小学館フラワーコミックス全8巻

 紀元前1700年頃のエジプト。エステーリアはウルジナの侵攻に会い滅亡する。第二王子サリオキスは妹姫のナイルキアを河に流して逃がすと、自身は砂漠へ逃れるが…今も残る「エステーリア戦記」を伝える大ロマン。

 卑近な感情移入など拒むような高潔なキャラクターたちと、手に汗握る大冒険、醜い政争、戦争の悲劇。時代を超えた名作ですね。よくできたNHK大河ドラマでもこれだけのものはなかなかないんじゃないでしょうか。
 私は昔からアンケスエンがけっこう好きでした。あんまり読者に人気なさそうですけれどね。戦時下の女の生き方を説く彼女はひたむきで正しい。そしてスネフェルとナイルキアのあまりにも悲劇的な恋にかき消されがちですが、アンケスエンとサリオキスの恋のまた悲しくかつ激しいものだったと思います。そしてまた、アンケスエンとスネフェルとの間にありえたかもしれない恋も…
 かわいらしい少女が苦手と言いつつ産み出した、清潔なナイルキアの存在もすばらしいものでした。そしてもちろん、竜虎サリオキスとスネフェルも。
 余談ですが、私はこの作品を宝塚歌劇で翻案して上演してくれないかしらんと夢見たことがあります…「そして今でも…」(『カサブランカ』イルザふうに)
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