東京宝塚劇場、2003年3月22日マチネ。
1960年代、初夏、イタリア・コモ湖畔。避暑に訪れる資産家たちが夏の休暇の間だけの小社交界を築いている。シモンズ家の別荘開きのパーティーにアメリカ人貿易商ジョーイ・バクスター(香寿たつき)が現れ、一座の注目を集める。だが彼が去った直後、一発の銃声が響き渡った…裏庭には倒れ伏したひとりの男と、拳銃を手に震えるシモンズ家の次女クララ。翌日、パリに嫁いでいた長女ローラ(渚あき)が駆けつけるが…作/柴田侑宏、演出・振付/謝珠栄、作曲/高橋城。
タータン・アキちゃんのサヨナラ公演に、明日が楽日というところで知人に誘っていただいたのですが…うーん、つらかった。
ミステリーをやりたい、という意図はわかりますが、当然その分ロマンスにのめり込めなくなりますものね。
観客にははジョーイが犯人かもしれないと思わせているので、ジョーイに惹かれていってしまうローラが心配になってしまうというか、それでローラに肩入れできればいいんでしょうけどむしろローラが軽率に見えてしまうというか。
ローラも、妹のために犯人捜しに奔走しているのでしょうが、観客としてはそう簡単に潔白を信じていいのか自信がないので証拠隠滅をしてまわっているようにも見えてしまい、ローラはジョーイを誘惑して篭絡しようとしているんじゃなかろうか、とも思えてしまったり…私がイロイロ考えすぎなんでしょうか。
でもそのあとの、平穏なだけの結婚生活に倦んでいたようなローラが生きがいを再び見出し、再出発しようと意気込みを語るシーンがすごーく良かっただけに、そう見えてしまったことが残念でした。演出の問題もあるし、役者の芝居の問題でもあるのかもしれませんが…アキちゃんはどうしても清楚な感じのキャラクターなので、情熱の噴出、というふうに持っていくのが難しかったのでしょうか。
作劇としても、どうしてもクレマン教授(初風緑)とその妻リーザ(秋園美緒)に引っ張られてしまってい…だってこっちを主役カップルにしてしまってもいいくらいの設定なんだもんなあ。年若い妻(ソンちゃんはどちらかというとお姉さん顔なのでそう見えずやや損でしたが)の愛情が得られず悶々としているインテリオランダ人大学教授…メガネがカッコいいことを別にしても肩入れしたくなるキャラじゃないですか! 加えてガイチさんが芸達者であり、ソンちゃんも退団ということになれば扱いが上がるのは仕方のないこと…結果的にジョーイがワリを食ってしまったと思うのです。
ジョーイの部下ジムを演じた紫蘭ますみが超がつくほどすばらしかったことだけ…かな…収穫は…
レビュー・アラベスク『バビロン』は作・演出/荻田浩一、作曲は高橋城他。
…すみません、こちらも珍しくピンときませんでした…たいていショーはどんなものでもおもしろく見られるものなのですが。
主題歌始め覚え易いいい曲がなかったように思えたし。
マルティグラの場で赤と黒の総スパンのドレスに黒髪のショートの鬘のアキちゃんがキュートだったこと…くらいかな? 良かったのは…
これ以前の場の意味が私にはよくわからなかったんですよね。たとえば黒い鳩と白い鳩の幻想的なシーンに、何故ピンクのスーツにキャメルコートというリアルな服装の男が絡むのか、とか…
池田銀行のCMキャラクターを月影瞳から引き継いでいる陽月華がこれまであまり可愛く思えなかったのですが、舞台で見るとちょっと千ほさちに似た顔の小さい美人だったことを発見できたのがこれまたこちらの唯一の収穫だったかも…
余談。宝塚歌劇のショーではよく、男役同士で躍らせたり、普段男役の人に女性キャラクターをやらせてもうひとりの男役と躍らせたりという倒錯的?なことをするのですが、今回はちょっとおもしろいことがありました。
男役の夢輝のあに「燕尾服の女マレーネ」という役をあて、娘役のアキちゃんと絡ませたことです。マレーネはくるくるのブロンドが背中まであって、でも燕尾服を着ている、つまり男装の女性なわけですね。これが、砂の町に迷い込んだという設定のいかにも頼りなげなお嬢さんであるアキちゃんを誘惑するようなくだりがあったのです。うーむ、新趣向…と思ってしまった私ですが、よく考えると最も一般的なタチネコの形で倒錯でもなんでもなかったんだろうか…あらら、血迷っていますかワタシ??
1960年代、初夏、イタリア・コモ湖畔。避暑に訪れる資産家たちが夏の休暇の間だけの小社交界を築いている。シモンズ家の別荘開きのパーティーにアメリカ人貿易商ジョーイ・バクスター(香寿たつき)が現れ、一座の注目を集める。だが彼が去った直後、一発の銃声が響き渡った…裏庭には倒れ伏したひとりの男と、拳銃を手に震えるシモンズ家の次女クララ。翌日、パリに嫁いでいた長女ローラ(渚あき)が駆けつけるが…作/柴田侑宏、演出・振付/謝珠栄、作曲/高橋城。
タータン・アキちゃんのサヨナラ公演に、明日が楽日というところで知人に誘っていただいたのですが…うーん、つらかった。
ミステリーをやりたい、という意図はわかりますが、当然その分ロマンスにのめり込めなくなりますものね。
観客にははジョーイが犯人かもしれないと思わせているので、ジョーイに惹かれていってしまうローラが心配になってしまうというか、それでローラに肩入れできればいいんでしょうけどむしろローラが軽率に見えてしまうというか。
ローラも、妹のために犯人捜しに奔走しているのでしょうが、観客としてはそう簡単に潔白を信じていいのか自信がないので証拠隠滅をしてまわっているようにも見えてしまい、ローラはジョーイを誘惑して篭絡しようとしているんじゃなかろうか、とも思えてしまったり…私がイロイロ考えすぎなんでしょうか。
でもそのあとの、平穏なだけの結婚生活に倦んでいたようなローラが生きがいを再び見出し、再出発しようと意気込みを語るシーンがすごーく良かっただけに、そう見えてしまったことが残念でした。演出の問題もあるし、役者の芝居の問題でもあるのかもしれませんが…アキちゃんはどうしても清楚な感じのキャラクターなので、情熱の噴出、というふうに持っていくのが難しかったのでしょうか。
作劇としても、どうしてもクレマン教授(初風緑)とその妻リーザ(秋園美緒)に引っ張られてしまってい…だってこっちを主役カップルにしてしまってもいいくらいの設定なんだもんなあ。年若い妻(ソンちゃんはどちらかというとお姉さん顔なのでそう見えずやや損でしたが)の愛情が得られず悶々としているインテリオランダ人大学教授…メガネがカッコいいことを別にしても肩入れしたくなるキャラじゃないですか! 加えてガイチさんが芸達者であり、ソンちゃんも退団ということになれば扱いが上がるのは仕方のないこと…結果的にジョーイがワリを食ってしまったと思うのです。
ジョーイの部下ジムを演じた紫蘭ますみが超がつくほどすばらしかったことだけ…かな…収穫は…
レビュー・アラベスク『バビロン』は作・演出/荻田浩一、作曲は高橋城他。
…すみません、こちらも珍しくピンときませんでした…たいていショーはどんなものでもおもしろく見られるものなのですが。
主題歌始め覚え易いいい曲がなかったように思えたし。
マルティグラの場で赤と黒の総スパンのドレスに黒髪のショートの鬘のアキちゃんがキュートだったこと…くらいかな? 良かったのは…
これ以前の場の意味が私にはよくわからなかったんですよね。たとえば黒い鳩と白い鳩の幻想的なシーンに、何故ピンクのスーツにキャメルコートというリアルな服装の男が絡むのか、とか…
池田銀行のCMキャラクターを月影瞳から引き継いでいる陽月華がこれまであまり可愛く思えなかったのですが、舞台で見るとちょっと千ほさちに似た顔の小さい美人だったことを発見できたのがこれまたこちらの唯一の収穫だったかも…
余談。宝塚歌劇のショーではよく、男役同士で躍らせたり、普段男役の人に女性キャラクターをやらせてもうひとりの男役と躍らせたりという倒錯的?なことをするのですが、今回はちょっとおもしろいことがありました。
男役の夢輝のあに「燕尾服の女マレーネ」という役をあて、娘役のアキちゃんと絡ませたことです。マレーネはくるくるのブロンドが背中まであって、でも燕尾服を着ている、つまり男装の女性なわけですね。これが、砂の町に迷い込んだという設定のいかにも頼りなげなお嬢さんであるアキちゃんを誘惑するようなくだりがあったのです。うーむ、新趣向…と思ってしまった私ですが、よく考えると最も一般的なタチネコの形で倒錯でもなんでもなかったんだろうか…あらら、血迷っていますかワタシ??
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