駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

窪美澄『やめるときも、すこやかなるときも』(集英社)

2017年10月07日 | 乱読記/書名や・ら・わ行
 家具職人の壱晴は毎年12月の数日間、声が出なくなる。過去のトラウマによるものだが、原因は隠して生きてきた。制作会社勤務の桜子は困窮する実家を経済的に支えていて、恋と縁遠い。欠けた心を抱えたふたりの出会いの行方は…

 「大切な人の死を忘れられない男と、恋の仕方を知らない女」と帯にあります。こういう経験をした人がいることも、こういう家庭の事情を抱えた人も現実にはたくさんいるのだろうとは思うのだけれど、そういうふたりが出会ってこういう恋愛を展開し結婚に至ることには私はリアリティをまったく感じられませんでした…
 でも、だからこそ、なんとなく興味本位で、というか、本当にそう展開するの?と危ぶみつつ、意外に?楽しく読んでしまいました。初めて読んだ作家さんでしたが、端正な文章を書く方ですね。女による女のためのR-18文学賞受賞でデビューした作家さんなんですね。機会があれば他の作品も読んでみたいです。


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