駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

トートツですが、今年のマイ漫画についてなど。

2020年12月27日 | 日記
 会社がわりと早くに出勤と在宅勤務とを併用にしてくれて、仕事はリモートでけっこうできることがわかったので、なるべく出社したくない、行くにしても最低限の時間だけ会社にいてあとはさっと行ってさっと帰ってきたい…となったので、どうしても書店パトロールの機会が減って、新規のインプット、出会いがあまり持てなかった一年だったかもしれないな、とは思っています。でもマイiPad mini(会社貸与のものですが)のアプリで、電子で漫画を読むようになったりもしたんですけどね。
 ともあれ、以下、今年印象的だった作品について、などなど。版元がかなり偏っているのは、仕様だと思っていただければ幸いです。


●少年漫画…田辺イエロウ『BIRDMEN』(小学館少年サンデーコミックス全16巻)

 今年の初めに完結した作品なので、そして私はそこで一気読みで出会った作品なので、今年の作品と言わせてください。少年漫画として、SFとして、私はめっちゃ高く評価しています。感想はこちら
 次回作の予定はどんななのかなー。才能ある作家さんだと思うし、『結界師』完全版も売れていると聞くし、楽しみです。


●少女漫画…柳井わかな『シンデレラ クロゼット』(集英社マーガレットコミックス既刊4巻)

 去年秋に出会った作品ですが、今年の展開がなかなかになかなかで個人的にはやや意外で、今や別マを毎号楽しみに読んでいる始末です。
 ヒロインの春香は地方から上京して大学生活を始めたものの、お洒落キャンパスライフとはほど遠く、ノーメイクでバイト三昧の日々。でも憧れの先輩と飲みに行くことになり、お洒落指南を泣きついた美女・光が、実は男子で…というようなお話です。ジェンダーレス男子、という表現は私はあまり好きではないのですが、この光はお洒落が大好きな人で、女性の格好の方が自由度が高いし何より自分に似合うから、という意識で女装(という言い方もまたアレですが)をしているだけで、性自認は男性、ないしは男前の女性、性指向はバイというか、本人曰く過去につきあった数は「女2男0.5!」なキャラクターです。ここが新しいよな、と読み始めた作品でした。
 「憧れの先輩」のキャラクターもなかなかにいい「ザッツ・男子」で、さてどうなるのかな、と楽しみに読んできたのですが…ふふふ、続きが楽しみです!
 今、個人的にものすごいマーガレット・ブームが来ていて、別マでは『ふつうな僕らの』『うちの弟どもがすみません』、マーガでは『彼女が可愛すぎて奪えない』『はやくしたいふたり』のコミックスを買い揃えています。というか絵柄といい作風といい、一定以上のクオリティを担保するマーガレット・ブランドってホント偉大…!


●青年漫画…米代恭『往生際の意味を知れ!』(小学館ビッグスピリッツコミックス既刊3巻)

 主人公は29歳の会社員で、7年前に別れた元カノを忘れられないでいる。ところがとある嵐の日に、当の彼女から電話がかかってきて…あとは説明しちゃうのがもったいないので、ゼヒ読んでみてください。
 前作『あげくの果てのカノン』もかなり濃くてエキセントリックでアグレッシブでアヴァンギャルドでこじらせまくり世界をも滅ぼす恋愛?の顛末??を描いたものでしたが、今回も「どーするんだどーなるんだオイ???」なお話で、でも中二としてはいたってわかりやすくもあり、まったくもって目が離せません。まだ始まったばかりとも言える作品なのでどう転ぶかはわかりませんが、とにかく続きを楽しみにしています。でもまだ週スピに手を出すほどではない…(笑)


●女性漫画…よしながふみ『大奥』(白泉社ヤングアニマルコミックス既刊18巻)

 14巻からジェッツコミックスじゃなくなっていた…!(そこかよ)
 ご存じ男女逆転大奥物語。ついに次回で最終回、まで来ました。なので来年の作品とすべきなのかもしれません。けれどこの、最終回ひとつ前の回の出来も素晴らしく、最終回に期待しかないのでここで挙げます。終盤の展開もまたすさまじくおもしろい、というのもポイントのひとつだからです。
 長大な作品って、まず完結することが大事なのはもちろん、最終回が巻き巻きのダメダメ出来だったり尻切れトンボになったりしないこと、綺麗に終わることが大事だと私は考えていて、そのためにも最終回ひとつ前の回ってとても重要で、ここで話はほぼ完結していて最終回は綺麗なシメのエピローグ、くらいなものがベストなんじゃないかなとか考えているんですけれど(最近だと『鬼滅の刃』がそうでした。過去にこのタイプで印象深いのはなんといっても『タッチ』。そして頼む、完結してくれ『ガラスの仮面』…!)、この作品もそれを予感させてくれています。
 始まった当初は単に逆ハーを描きたいだけなのか、結局BLをやりたいだけなのか?とか思っていた自分を殴りたいです…
 未読の方は、完結時にでもゼヒ一気読みをオススメします!


●BL漫画…登田好美『学ランの中までさわって欲しい』(小学館&FLOWERフラワーコミックスアルファ全2巻)

 くわしくはこちら
 今年も祥伝社のコミックスなどけっこう数は読んだのですが、コレだ!という出会いが特になかったので…
 この作品は、目新しいこととかは特にないと思っています。ただただ好みでした。
 ああ、ユリでも何かいい作品に出会いたいなー…


●TL漫画…梨月詩『こんなの、しらない』(小学館モバフラフラワーコミックスアルファ既刊8巻)

 月刊誌で描いていた作家さんでしたが、あまり芽が出なくて、ボーンデジタルでエロに特化した作品を描き始めたら当たった、という例ですね。芽が出てよかったよ…!
 何より作家さん当人が楽しんで描いているのがわかるので、向いていたということなのでしょう。よかよか。個人的にはヒロインに常にカワイイお洋服、もちろん下着を含めて、を着せて描いているのがツボです。たとえ脱がされてしまうものだとしてもね…! つまり、もともとBL指向の人がビジネスとして仕方なく異性愛TLを描いている、とかじゃなくて、作家が明らかに女子が好きで可愛がって楽しんで描いている感じが見て取れるのがいいのです。
 ヒロインの芹夏は会社員、相手役の泰一は六つ歳下の従弟で大学生になったばかり、というカップルが、ただひたすらイチャイチャいたすだけのお話です。ただ、親戚同士であることとか歳の差、社会人と未成年であることなんかを気にしておつきあいを公にはしていなくて、そこがせつなかったりちょっと痺れる背徳感があったりする、という構造です。芹夏に気がある同僚男性が出てきたり、泰一が昔ちょっとつきあった元カノなんかが出てきたりはしますが、特にこじれたり大きな障害になったりすることはなく、とにかくふたりが毎回手を変え品を変えただただやりまくるというストーリーです。なのでストーリーなどないと言えば言えるのですが、そこがいいんだとも言えます。とはいえお話の中で一応時間は経っているようなので、最終的には泰一が成人したあたりでプロポーズ、結婚ハッピーエンドで10巻か12巻程度でまとまってくれると個人的には嬉しいな、と思っています。とにかく楽しく読んでいます。あ、たっくんはメガネです(笑)。
 また、成年コミックなんかと比べて、メジャー版元のTLコードはこういうところにあるんだな、とか、男性向けと女性向けのエロの違い、とか、読んでいてすごくよくわかっていろいろ考えさせられます。AVでは定番でもこういう少女漫画TLでは絶対と言っていいくらい出てこないプレイとかもあって、それって男女の性的ファンタジーの差であり、たとえば実際のセックスでも男性が女性に対してしない方がいいだろうことなんですけれど、そういうのって男性に伝わってないんだろうなー、とかとか、ホントいろいろ考えちゃいます。あと、何をどう描きどう隠せばエロいのか、とかね。深いです。


***

今年もいろいろな出会いがありました。楽しい一年でした。 
今は「100年ドラえもん」で購入した『ドラえもん』全45巻をお正月にちみちみ読むのが楽しみです。もちろん子供の頃にテレビアニメとかは見ていたんですけれど、中学生の頃にクラスメイトに原作コミックスを借りて一気に読んだらめっちゃおもしろくて、大コーフンした記憶があります。素晴らしいSFですよね。これは表紙が布張りで天金加工もしてあってまさに百年保つと言われる豪華版なんですが、どうせならと買っちゃいました。来年2月には全巻収まるピンクのどこでもドア型本棚も届く予定です。インテリアのポイントになるだろうなー!(笑)楽しみすぎます。
 来年も素敵な作品との出会いがたくさんありますように。私は未だフルカラー縦スクロールの漫画が読めない昭和の犬ですが、記号としての絵と構図、コマ割り、台詞を含めたネームで読ませる「漫画」という表現をとにかく愛しています。きっと生涯愛し抜くと思います。みなさまもどうぞ引き続き、良き漫画ライフを!


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