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本自炊惹(ほんぢすいじゃく:本地垂迹) (1)

2021年01月16日 | 文芸批評
コロナ禍という環境下での成果は「本の整理」。これまで本の整理といえば、①古本屋に売却、②電子化して保存、③廃棄という3パターンでしたが、どうも③廃棄というのは気分が悪い。書籍は内容の充実度の割には驚異的に安価であり、作家の労力と価格とが見合っていないのでは…と思われるほどパフォーマンスの良い娯楽(?)と思うのですが、この場合通常であれば「コスパが良い」なんて表現するのが申し訳ないくらいに貴重なプライシング(価格設定)になっているものだと思います。よってそれを捨てるというのはどうしてもできない。世の中には同類の人が多いようでして、その意味では非常に心強いものがあります。この辺りは「本で床は抜けるのか」(西牟田靖・著)等蔵書についての悩みを綴った本は多く出版され、これらが参考になるとともに、同じ悩みを持つ者として共感至極なのです。が、廃棄できない要素を鑑みるに①「書物を跨いではいけない」という類の「勿体なく申し訳ない」という感覚に加え、②再入手できないかもしれない、という漠然たる不安もあります。実際に読み返す機会というのはごく稀であり、インフローの方が圧倒的に多いので再読の暇さえもないのですが、読んだ本が溜まっていくというだけでも心理的な安心感は十分。最近ではネット環境により古本へのアクセスも非常に容易になっていることから、この手の不安はやや和らぎつつあるものの、反面では中古市場での貴重さが露わにもなりやすくく、文庫の古本で1万円以上、新品本もなく電子化もされていないという書籍にブチあたると何とも絶望的な気分になり、絶対廃棄してなるものか(かなり歪んでますが…)とも思ったりするもの。余談ながら、通勤途上には資源ゴミとして書籍を軒先に出している家が多くあります。もし許されるのなら、全て中身を確認して面白そうなものはピックアップしたいという衝動に毎度駆られます。(続)

※写真は東日本大震災(2011.3.11)で倒壊した本Tower(本棚に入りきらない本を平積みで数棟のTowerにしていたもの)
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