Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

よい年を

2021年12月29日 | 時事批評
本年もコロナ禍の外部環境は変わらなかったものの、コロナ慣れしてきたのか昨年当初に見られたヒステリックな反応も減っていき、小慣れた感じになったことから少しは旅行等できたのですが、今年は北海道にハマった年でした。
タイミングこそ違えども鉄道一周・北限・南限と計3回の渡道となり、北海道の持つ土俗的・退廃的な耽美に魅了されました。

なお最近、ワタクシのYouTube画面に「オススメ」として「Side Steps Live!」 なる映像がよく表示されます…。よく見てみればアップしているのはリーダーじゃないですか!(現時点で再生回数393) 05年定禅寺ジャズフェスのライブ映像ですが、久々に見てみれば皆さんのあまりの叩き込み具合が凄まじく、初めて聴いた方は全部がガー!という弾幕の内容にて何が何だか訳分からなかっただろうと改めて思いました(苦笑。

コロナはウィルスと人間の生存競争であって、もうしばらく続くのでしょうが皆様、来年もよい年をお迎えください。
※写真は北海道・南部で撮影した夕焼け

映画『私が殺したリー・モーガン』

2021年12月25日 | CD批評
ジャズ・トランペットのリー・モーガンが内縁の妻にライブハウスで痴話原因により射殺される実話をベースとしたドキュメンタリー・タッチの映画。邦題は「私が殺したリー・モーガン」だが、原題は「I Called Him Morgan」であって随分と雰囲気が異なる。一般Pにはリー・モーガンって?という風(映画内でもそのように扱われている)なのでこのような邦題をつけたのだろうが、原題は「Leeという名前が嫌い(だからモーガンと呼んだ)」(妻)というコメントに由来。個人的にジャズ(彼に言わせればジャズという言葉は嫌いでBlack Classical Musicとも言うべきと…)のトランペットではリー・モーガンを最も好むが、ファットで濃密なトーン、端正なアーティキュレーションとテクニックという観点ではまさに天才的なのだが、天才ミュージシャンとして典型的な破滅型。18歳でプロ、そしてまもなくヘロイン中毒。これを立ち直らせたのが映画の主人公たる内縁の妻ヘレンという流れ。14歳で出産し、リー・モーガンの一回りくらい歳上(映画で正確な年齢は不詳)だが、マネジャーとしても公私ともにサポートした糟糠(そうこう)の妻。しかし中毒から回復して再び脚光を浴び始めると別の女性を作るというお約束のパターンで話は進む。リー・モーガンの写真は白黒が多いため相当昔の人という印象だが、モーガンと共演していたウエイン・ショーター(アート・ブレイキーのモノマネが宜しい)も出てきており、存命なら80代なのにちょっと驚きだが、映画中には動いたりカラー映像のリー・モーガンがあって興味深し(動画のほとんどはアート・ブレイキーとのもの)。大雪の日、別の女性の運転でライブハウスまで送ってもらう途中で事故り、タクシーに乗せて帰すはずだった女性とともにライブハウスにいたところに妻と鉢合わせ、衝動的に護身用の銃(これもモーガンが買い与えた)で撃たれるが、大雪で救急車がなかなか来ず落命したと描かれる。妻は過失致死で逮捕・収監されるも嘆願で早く出所。その後は地元の名士的存在になるが事件を悔いており、死の直前に成人教室での先生のインタビューに答えたものがベースとなっている。このテープ再生シーンのキーというヒスノイズ?が非常に耳にくるのが最悪だが、これまであまり聴き込んでいない良曲の発見があったとともに、チック・コリアの実家がパン屋だったという小ネタも。ファッション的にもリー・モーガンはお洒落サンで、映像を見るだになかなか良い仕立の服を来ている。一部白黒なのが残念だが。かつて非常に聴き込んだことのある「Lee Morgan LIVE at The Lighthouse」が、心身的に非常に良いコンディションの時に収録されたというのもまさに頓悟。

北海道全線阿房列車(30)

2021年12月18日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(30)
第五日目(水曜日)
0701普通(室蘭行き)に乗車する予定で苫小牧駅に早めに到着するも、電光掲示板には0647(室蘭行き)の表示あり、予定変更してこれに乗車。明らかに通学列車で途中の出入りを含めてほぼ満席、しかも期末試験シーズンなのか勉強している方も相応にあり。途中、0711白老、0730虎杖浜、0734登別と停車し、0743幌別で多くの学生が下車。Googleマップで確認するだに、この付近に規模の大きい学校がある様子。一方で室蘭に行くのか会社員や学生も乗り込み、常に乗降客があるのが新鮮。0808室蘭着。室蘭は絵鞆半島という小半島にあるため、東室蘭~室蘭間は鉄道主要幹線たる室蘭本線の支線扱いになっており、列車本数が少ない。室蘭まで特急は当然入って来ず、東室蘭を抜けて行く。しかし街としての雰囲気があるのは東室蘭ではなく圧倒的に室蘭であり、早めに到着した分を室蘭散策に費消する。0901普通(登別行き)で東室蘭に戻るため猶予は1時間弱。早速徒歩にて旧室蘭駅舎(現在は室蘭観光協会)。その後、三菱合資室蘭出張所まで行くが、曇天で寒いものの徒歩で30分は歩いているため汗ダク。マスクもあって息苦しいが急いで室蘭駅に戻り、前述0901普通で0914東室蘭。次は1003特急北斗6号(函館行き)のため50分程度時間があるが、東室蘭駅周辺にはなにもなく、駅コンビニでコーヒーを購入してベンチで一服。合わせて函館の宿をwebから予約するも駅前ながら2850円と激安(さらに2000円の食事券付…)。

【図】第五日目の行程。函館に行ってグルリと北海道駒ヶ岳を回る。

北海道全線阿房列車(29)

2021年12月11日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(29)
ヒトでなくて良かったと思うが、この列車に限らずワンマン運転なので運転士は大変。準備をして運転室を出、車内を通り抜けて線路上に降り、懐中電灯をたよりに現場確認をしている。2両目の最終窓から見遣るに300mほど遠くで懐中電灯のライトが動いているのがわかるが、15分程度で戻ってくると運転室に入り、数回エンジンを空ぶかしして列車が動くことを確認すると出発。20分程度の遅延となったが、事故現場はどうしようもなくそのまま放置と思われる。この後の乗車はなく投宿のみの予定なので遅延は問題ないが、初めての経験にやや放心。一方で気になるのは衝突した先頭車両。運行しているが血塗られたスプラッター状態で苫小牧駅に入線すれば、ホームで待つ乗客に大きな衝撃を与えようものだが、入線時にもその風はなし。1840苫小牧着。下車時、思わず悪趣味ながら先頭車両の状態を見に行くも全く衝突の形跡は無し。運転士は交代の運転士等と先頭車両付近で話をし、特急への乗り換え客は慌てて反対側ホームに停車中の列車へと走る。その後、投宿してすぐに夕食をとりに出掛けるも、予め目星をつけていた料理屋は悉く閉店。閉店なのか廃業なのかも分からないまま、あてどなく街中を彷徨うが、そのうちに降雨。空腹に加えて降雨もあり、萎れた気持ちでホテルへと帰り、中の日本料理屋で夕食。期待していなかったホッキのバター焼が美味。ちなみに心霊検索の多かったこのホテルだが、そのような現象は一切見られず、ホスピタリティも素晴らしい代わりに、当方着用の素材との相性が悪いのか恐ろしいほどの静電気がバチバチと発生。結果、四日目は435km、乗車時間は7時間38分。明日は室蘭へ寄って東室蘭から一気に函館に下る予定。

【写真】シカと衝突直後の列車先頭部。事故の形跡はまったく無し。

ヒグマ(羆)に遭遇!

2021年12月04日 | 畸観綺譚
留萌と稚内を結ぶ国道232号を車で北上していました。時間は17時45分ごろ。当日は日没が16時ごろで周囲には灯りが全くなく、すでにまさに漆黒の闇。国道232号は、留萌からしばらくは日本海の海岸線沿いに北上しますが、天塩で山側にシケインしてそのまま幌延に至ります。当日は気温5℃。積雪は全くなく路面はまったくのドライで走行環境は良好、対向車はまばら、こちらの前方に車もないので漆黒の中をアップビームで快調に走行していましたが、北海道の道路事情なのでそこそこの速度は出ています。こちとら豊富(とよとみ)温泉に向かう途中で、旅館の夕食時間に間に合うか気になっているころでした。北海道では「鹿の飛び出し注意」という看板をよく目にしますが、この付近は海が近いため「さすがに鹿はないだろう」(特段の根拠なし)と思って前のめりで走行するに、突然、前方左に熊が出現!ちょうどGoogleマップのストリードビューに写り込んでしまったトラック(写真)のような位置に熊がいる!ハイビームで路面を照らす中で「ツヤけしの黒い熊」が突然に出現したのです。動物の眼は光を反射しますが、見えたのは明らかに熊にシルエットとわかる典型的なツヤけしの熊の姿(熊の体毛は光を吸収する?)。熊は成獣で(まさにこのトラックのように)四つ足のまま道を渡ろうとしている様子でちょうど頭ひとつ国道に出ている状態。四つ足状態ながら体高は運転者目線と同じくらいで(心理的影響があるかも知れませんが)結構デカいように見えました。発見から2~3秒だったと思いますが、対向車もないため慌てて右に急回避。ちょうどセンターラインから車幅半分ハミ出る格好で回避に成功!ブレーキか回避か、瞬間的かつ直感的に急回避を選択しましたが、ヒグマは時速60kmで走ると聞きます。轢かれそうになったお怒りをかって追走されるリスクもありますが、こちとら車なので逃げ切ることは可能と踏み、ふとバックミラーを見遣ると後続車は熊の前で停車しており、車のヘッドライトによって影絵状態になった熊のシルエットがハッキリと…。急回避したことでこちらのテールランプを見ていた後続車も「なにごと!?」と異変を察知したと思いますが、Uターンするわけにもいかず、その後に後続がどうなったかは分かりません。その後すぐに対向車からパッシングされ、まだハイビームであったことに気がつきましたが「だって熊がいたんだよ~(泣」と独り言。翌日の道内ニュース等を見ていても特段なにもなかったようなので熊をうまく回避できたのだと思います。思い返せば、最悪なのは熊の衝突した場合。そのまま熊が逃げてくれれば良いですが、車が大破してグッタリな状態だが熊はまだ元気な場合、車内の人間を漁られてガブリとされたら…それこそ最悪(冬眠前の時期でもある)。場所は北海道天塩郡天塩町川口。レンタカーでドライブレコーダーはなし。漆黒の何も見えない状況での記憶ですが、この付近の交差点やその後のカーブ方向・具合から場所を特定しています。

■ヒグマ(羆)のコワさ、が分かる必読図書
吉村昭『羆嵐』※1
西村武重『ヒグマとの戦い ある老狩人の手記』※2
矢口高雄『マタギ』※1

※1 三毛別羆事件がモデル。実際の事件があった三毛別はここから50km南にある。
※2 養老牛温泉を拓いた人のお話。こちらは中標津。