Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

サウンド&レコーディングマガジン 2017年12月号「名匠の秘技」特集

2017年11月03日 | 文芸批評
サウンド&レコーディングマガジン 2017年12月号「名匠の秘技」特集
前回のギタマガに引き続き、書店で一見して買う価値ありと判断したが、これまたサンレコ誌も思えば買ったのは数年来記憶になし。購入してみて何だか違和感を拭えなかったが、よく見てみれば雑誌がA4サイズになっているではありませんか。記事の文字サイズは不変のように見えるため、ページ数嵩増しのための方策にも見える。今回は内沼映二や吉田保を筆頭に11人のエンジニアがその秘技を披露しているのだが、何とも興味深く、この手の企画は素晴らしい。これまで自身で経験してモヤモヤ感のあった録音上の課題に対して画期的な解決方法も掲載されていたりして、非常に興味深くて帰宅後一気に読了したが、確かに最近は曲のド頭のバスドラ一発を聞いて俄然聴く気が盛り上がるミックスって少なくなったよな〜と実感。全般的にペラリしたあっさり風な音作りが多く、その反動からか最近は1980年代ミドルのソニー録音盤、それもテクノロジーがアナログからデジタルに移行する過渡期の音が最も良いと感じるようになってきており、その時期の録音を探しては聴くようになっているのだが、記事中にある寺田康彦氏いわく「レンジが広く中域の密度の高い音をよく聴くように」というコメントは我が意を得たりの感。アナログのレギュレーションの下で技術を磨いたエンジニアが、デジタルのレギュレーションに戸惑いながらも試行錯誤してレベルを入れているような作品は確かにミドルの飽和感とバランスが凄まじく良く、楽曲そのものではなく、そのミドルのパリパリ具合を聴きたいために音楽を聴いているという「オレ何やっているんだ」という状態にあるのだが、ここら辺の栄養不足が最近のミックスにはあるのだな〜と改めて痛感。
この記事についてブログを書く
« 玉肌日記 | トップ | フォアグラ日記 »
最新の画像もっと見る

文芸批評」カテゴリの最新記事