Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

北海道全線阿房列車(16)

2021年07月31日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(16)
第三日目(月曜日)
今日は稚内へ行き、再び旭川へ帰ってくる道程。0603普通(稚内行き)に乗車するが、今日は曇り。なお、稚内まで各駅停車でいく普通列車はこの便しかない。0603旭川発で途中40弱の駅に停車して稚内着1208とほぼ6時間乗車する。当初は二両編成だが名寄で一両切り離されるため、名寄以北が目的の人は一両目に乗る。列車は定刻に発車して一路、稚内へ。車内は10人程度だが鉄ちゃん風な若者多し。途中、0625比布(ぴっぷ)に停車。ピップエレキバンの宣伝(1980年)で一躍有名になった駅だが、この付近の南比布駅、北比布駅は乗降客数が少ないことから、ごく最近廃止されたばかり。JR北海道資料では一日乗降客数では南比布3名以下、北比布1名以下でかなり厳しい。0642塩狩着、三浦綾子「塩狩峠」にて有名な場所でここも一度来てみたかった場所。列車が峠にさしかかると最後尾車両の連結部が外れる事故が発生。主人公は乗客を守るため、線路に身を投げて自ら列車の下敷きとなることで車両を止めたという実話に基づく小説だが、塩狩駅では誰も降りないが(前述資料では乗降客1名以下)、上の方には三浦綾子旧宅が見える。ここから名寄方向は非常に緩やかで長い下り坂になっている(史実でもこちら側=上り線で事故が発生している)。

【写真】塩狩駅。そして暴力的な積雪が独特の雪の層を形成。

北海道全線阿房列車(15)

2021年07月24日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(15)
早めの夕食を済ますと旭川最大規模と思しき書店へ行き、北海道郷土史のコーナーで面白そうな書籍がないか物色するも、こちらは品揃え悪し。宿への帰路、再びセイコーマートにて明日の朝食を仕入れる。セイコーマートは最近珍しくレジ袋フリーで便利ながら、品揃えも大手コンビニにない地元産品を取り入れていて好ましい。北海道にも全国展開のコンビニはあるが、商品が画一的で敢えて北海道で入ろうとは思わず。マスクを外してホテルで脱衣すると、まだ二日目にしてあの独特な列車の座席臭が完全に服に染み付いている…。あのクレゾールをベースとし、ごく少量の喫煙臭、さらには微量の鉄のような金属臭さらに尿臭。これらがミックスされた、なんともいえないあの匂い。荷物を最小限とすべく、替えの上着等は一切なく、また替えたとしてもまだ2日目。あと5日あればまた匂いも染みつくと思えば諦めもつく。幸か不幸か皆がマスクをしているので自分の匂いもわからなければ、他人の匂いもわかるまい。結局、二日目の乗車距離は407km、9時間29分の乗車(乗換時間や待ち時間を含まず)。明日は0603普通(稚内行き)で「日帰り稚内」を目指す。

【図】第三日目の行程。北上して最北の地、稚内へ。行きは鈍行、帰りは特急。

北海道全線阿房列車(14)

2021年07月17日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(14)
駅には高梨沙羅選手の世界新記録を祝う横断幕あり。ちなみに高梨沙羅選手の実家はコンビニときいたが、それはセブンイレブンであって層雲峡にある様子でこの付近ではない。構内に戻ると1540特急大雪4号が入線、思わず乗り換えようかとの衝動に駆られるのをグッと我慢。特急大雪に乗れば旭川着1619だが、このまま普通に乗り続け1710旭川着。なお、昨日に千歳を出て釧路→網走→旭川と回ってきたが、北海道フリーパス27430円はこの辺りで代金回収し、以降は余禄となる。大都会旭川の駅前に投宿し夕食へ。今日も夕食はラーメンにて10分ほど徒歩で蜂屋。旭川ラーメンと言えば醤油ベースだがこちらのラーメンも真っ黒。ただこれは醤油による黒さでなく、焦がしラードであって、このラードの量をオーダー時に指定する。ラード量大を指定して待つに、真っ黒なラーメンが登場。一口啜るになんとも形容のし難い風味であって頭の中はこれを表現するボキャプラリーを必死に探すが、思い当たったのはコールタール。古い建物や列車の床材に防腐剤として塗られていたアレだが、その香りに近い。ちなみに、スープをかき混ぜれば通常の豚骨色になるが、時間がたてばラードが浮いてまた黒くなるという具合。後ろ席の観光客一家はラード量の指定について大揉め。客「ラードを多くすると油っぽくなる?」→店員「ラードは風味ですので」→客「油っぽくなる?」→店員「当店独自の風味付けですので」と話のベクトルがネジレの位置にあって全く交わらず。

【写真】コールタール感たっぷりの旭川ラーメン。この後、コールタール塗りの木製電柱をみるだに、このラーメンの風味を思い出す…。

北海道全線阿房列車(13)

2021年07月10日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(13)
無事にトンネルを抜けると遠軽(えんがる)に1252着。ここ遠軽は線路が「入」字になっている平面スイッチバックの珍しい駅だが、以前はここから海岸の湧別→紋別→輿部、ここから内陸に入って西輿部→下川→名寄と走る名寄本線があったが89年5月に廃止されている。地図を見ると国道39号に沿って北見から旭川に行けば良いものを、敢えて遠軽に向けて不自然に線路が北上しているのはこのためか。遠軽では普通(旭川行き)1327に乗り換えることから30分強の待ち時間。ランチのため売店を物色するも、駅前から見遣る限りでは無し。大通りまで歩いてみるが、交差点からの視野にコンビニ等はなく断念。駅に戻ればすでに廃業した駅そばの建物。1327普通(旭川行き)に乗り込むが、しばらくは徐行区間が続くため、猛烈な睡魔に襲われしばし睡眠。その後も徐行区間が続く。石北本線の丸瀬布ー白滝区間は20km程度だが38分所要するため、時速換算で30km /hほどで走る。体感的には山手線が事故で徐行する時のスピード。北見峠を抜けているはずだが、寝ていたのか記憶は皆無。その後、1521上川着となるが1606まで45分間停車するため、駅を出てコンビニへ。駅から数分歩けばコンビニがあることはグーグルマップにて確認済み、セイコーマートにて遅いランチを購入し、駅へ戻る。

【写真】遠軽駅から線路「入」字方向の収束部分を見遣る。終点たる車止めは雪に埋もれているのかも不明で見えず。

北海道全線阿房列車(12)

2021年07月03日 | 畸観綺譚
北海道全線阿房列車(12)
その後、留辺蘂(るべしべ)、西留辺蘂を越えると、ついに常紋トンネルへ。一度は来てみたかった常紋トンネルは北海道のダークサイド。507mのトンネルに3年を要したという難工事は多くの犠牲を生み、特にタコと呼ばれた労働者はタコ部屋に住んで強制的に労働させられ、100人以上が亡くなった。遺体はこの付近にそのまま埋葬され、50体以上が発掘されているという。さらには「監督の指示に従わなかったために、スコップなどで撲殺されたタコ労働者が、見せしめのためにトンネル内に人柱として立てられたという話が言い伝えられていたが、1968年(昭和43年)の十勝沖地震での壁面損傷に伴う改修工事を行ったところ、1970年(昭和45年)9月、常紋駅口から3つ目の待避所の拡張工事中に、レンガ壁から60センチメートルほど奥の玉砂利の中から、頭蓋骨に損傷のある人骨が発見され、人柱の伝説は事実であったことが明らかとなった」(Wikipedia)というのもあり、北海道では有名な心霊スポットという。一両に自分しか居ないことで急速に怖くなると同時に、トンネルまでを見たいという気持ちもあり、先頭の運転台まで行き、窓から進行方向を見る。運転士がいるのでかなり心強いが、運転士からすれば「怪しいのが来た」と思ったことだろう。常紋トンネルに向けて緩やかに登っていくが、計器を見るに時速30kmで徐行していく。途中には常紋信号場なる無人の信号場や慰霊碑があってスピリチュアルな雰囲気はあまりに十分過ぎる。

【写真】常紋トンネル入り口。こちとら他の乗客が居てまだ心強いが、運転士の方は運転室で一人のみ。怖すぎて、当方には運転士はとても務まりそうになし。