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ギターマガジン 2017年10月号 「Japanese Fusion/AOR」特集

2017年09月16日 | 文芸批評
ギターマガジン 2017年10月号 「Japanese Fusion/AOR」特集
ギターマガジンを買ったのは何十年ぶりだろうか、記憶は全く辿れず恐らくは高校生以来に違いない。直近でPRISM最新作を聞いて愕然とし(余裕があれば後述予定)、数ヶ月前には角松敏樹「SEA IS A LADY 2017」を聴いて愕然とし、一方でその死去に伴い再発される松岡直也の旧譜を聞いて刮目する等、懐古主義に完全に染まっている一環として本屋で立ち読みして刮目してそのままレジへ! 240ページの冊子中140ページほどがこの特集記事で、(無常な時の流れを残酷に指し示す)新旧対比の構成になっているのだが興味深いのは「旧」部分、つまり3〜40年前当時の記事。リアルタイムで読んだ記事も多く、特に高校生当時に穴の開くほど読み込んで研究した和田アキラの巨大ラックの中身等、古本的なアーカイブ感覚で読めるのがなんとも素晴らしい(一方で雑誌編集的には過去記事を引用掲載すれば良いだけだから労力は低く、win-winであるともみえる)。若き日の野呂一生曰く「アドリブというものを、単にスケールの羅列だと思っている人には、人の耳にインパクトを与えるフレーズなど、到底作れるはずがないのです。」等の”至り”的な語り記事もあってなかなかに微笑ましい(そのアドリブが今回掲載のギタリストの中ではもっともスケール的であるように聞こえるのは私だけでしょうか…)。思うに「Japanese Fusion/AOR」興隆期は日本経済のバブル形成期とほぼ同時期で、日本人のマインド自体も高揚中だった時代。それが作風に与えた影響は多大と思うが、今ここにきてこのような特集が組まれるのは、1)苦境の出版業界が売り上げアップ目的に、もっとも可処分所得の大きい年齢層が青年だった時に流行した音楽を取り上げることで懐古的売り上げアップの効果を狙ったか、もしくは2)「ニューズウィーク現象」、つまりテーマが雑誌の表紙となって取り上げられる時にはすでにピークアウトし、あとは下落、崩壊を辿るというその前兆であるのか(そもそもピークを形成しにいくほど、昨今のFusionにヒート感は皆無と思われるが…苦笑)。もしかしてアベノミクス=バブルの崩壊を予見している?
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