白山信仰、そして白山自体を御神体とする白山比咩(しらやまひめ)神社境内にある湯。この神社、白山を御神体としているものの、その白山自体はここからさらに50キロ程度奥に入り込まなければならないが、その途上にも未踏の魅惑的な温泉地が点在している。こちらは金沢市内まで車で30分程度なので周囲は宅地化が進んでいるが、白山比咩神社の表参道の雰囲気は森林に囲まれて静謐で雰囲気もよし。第六感で得るのはその雰囲気、空気感のシャープさであり、普段は信心など全く存在しない穢れた自らでさえも、その場に立たされるとなんだか少しは浄化されたような気分にもなろうものです。その神社の境内に立地するのがこちらだが、湯自体は地下伏流水を加熱したものなので厳密な意味では温泉ではないものの、神社境内にあるという立地のためか、その御神水からなる湯はなんだか心理的に非常にありがたく、かつ、いろいろな意味で効きそうな湯というイメージそのままで、まさに温泉のプラジーボ効果抜群。湯屋も清潔に保たれているのは神社と同様で、相応に手が掛かっていると思われるが、これも有難い雰囲気の一助となっている。翻って汚穢な身辺を省みるに、普段の掃除も禊(みぞぎ)なのだと改めて感じ入る(泣。
再訪。意外にも訪問頻度の多い能登半島、十数年前に訪問した民宿が今は代替わりをしてイタリア料理を出す宿になっていると聞いて早速訪問。能登半島自体に(特に自噴系)温泉は少ないが、もともと山と海の食材に恵まれた土地柄もあって食が充実しているだけでなく、いしり(イカ内蔵ベースの魚醤)等独自の食文化が残っている。ちなみに「いしり」はイカ内蔵を原料として富山湾内でつくられ、一方の「いしる」は鯖や鰯が原料で日本海側(輪島等)と言葉の活用が違うとのこと(をイタリア系オーストラリア人シェフに教えてもらう…)。前回はこちらで「いしり」体験をし、輪島で「いしる」を購入してよく料理に使用していたが、結果別物だったということか。「いしり」の方が匂いが強烈でワイルドな風味で旨味も強い。肝心のお風呂だが、前回訪問時に手作りと聞いた露天風呂は未だ健在で様子は前回と不変(前回カランやシャワーはおそらく無かったと記憶)。湯はボイラーの沸かし湯で温泉自体の効能は全くないが、富山湾を見ながらの入浴という自体で効能がありそう。訪問時は季節外れの猛暑だったが、日当たりは酷くとも日陰では風が吹けば涼しいぐらいで湯に浸かったのちは畳でゴロリと至極最上の気分。当初書いたように意外に訪問頻度の多い能登半島だが、毎回必ず天候に恵まれず雨というのが定番で、ある時は半島周遊道路が通行止めだったり、違う時には航空機がタッチアンドゴー(着陸やり直し)したりと豪雨の印象が強いのだが、今回は輝く能登を満喫。