Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

散財日記

2008年11月20日 | CD批評
鳴瀬喜博うるさくてゴメンねバンド 「うるさくてゴメンねLIVE」
当初は、なんともナメたバンド名+アルバムタイトルと思っていたが、いつの間にか、愛聴盤となり、そのまま蔵CDの中にこれまた埋もれていたのだが、先日、なかなかの在庫量を誇る近所のレンタルCD店に行って物色をしていたところ、このバンドの2ndCDを発見(これも所有しているのだが、1stに比較するとなんともレベルの彼我あり)したことから、帰宅後に久々に引っぱり出して来て聴くことに。メタル声のボーカルとカルメン=マキの声には当初は抵抗があって食傷気味だったものの、バックの演奏もなかなかで、ギターは当時あまり売れていなかったと思しき、今はビーズ(正確なる書き方不詳)なるバンドの松本孝弘なのだが、SPX90と思しき単発のディレイ等のなかなか貧相(失礼!)なエフェクトが、今やブレイクしているだけに一層印象的なのだが、ドラムのそうる透(印象的なのはツインバスの片方のビーターが木製なようで、サウンドが左右で随分違う)を含めてプレイは皆なかなかよろしく、とてもライブ盤とは思えず。曲も鳴瀬喜博の過去の作品からだけでなく、いろいろなカバーを演奏しているが、どちらもセンスよろしく、かなりな名盤を思料。鳴瀬喜博というと非常に派手なチョッパー(ちょっと小ジャレた”スラップ”という風でもなし)な印象が強いのだが、そうでない演奏、もしくはプルをしない演奏の方がセンスがよろしくて、好み。また、今はちょっと古いが、アフェックスのオーラルエキサイタ(tubeアンプのパキパキ感をシミュレートしたか?)をかけたサウンドも昔はハマった...。

散財日記

2008年11月17日 | CD批評
Philippe Saisse 「VALERIAN」
キーボーディスト、フィリップ=セスの随分前の作品。なんとウインダム=ヒル レーベルから出ていて、88年と書いてあるので、今から20年前ほど前の作品ながら、蔵書ならぬ蔵CDの中から、久々に表面に出て来たことから、これまた久々に聴くことに。基本的にはフィリップ=セスのソロ(+打ち込み)なのだが、パーカッションとしてミノ=シネルとドン=アライアスが参加しているほかに、なぜかベースのマーク=イーガン。というのも、聴いていれば分かるが、フィリップ=セスはベースのプログラミング(おそらく、リアルタイムで弾いてシーケンサーに録音しているものと思料)が異常に巧く、当方のようなベーシストが聴いても、小技を含めて本当に感心するしかない超絶テクニックかつ、マニアックな内容なのだが、自身はフレットレス=ベースの音を好むようで、基本的なシンセベースの音はフレットレスをシミュレートしたサウンド。さすがにフレットレスがメロディラインをとる場合においては、マーク=イーガンが弾いており、どちらもなかなか対比的で興味深し。最近の作品を含めて、アコースティック=ピアノを弾いている部分も多いのだが、個人的にはシンセの音色センスはピカ一と思われ、デジタル的なドンシャリなサウンドは今聴いても全く色褪せず、逆にこのサウンドを聴いて参考にしているプレイヤーがなんと多いことか。基本的に単純なモチーフを重ねて作られている曲が多いことから、ヒーリング音楽っぽくも聴こえるが、どうしてもその絶妙なベンダーやモジュレーション操作がビジュアルにて頭に浮かんで来てしまい、プレイヤーとしては安穏として聞き過ごすことの出来ない演奏。ちなみにそのヒーリングさを意識して、なのかタイトルの「VALERIAN」は”神様の睡眠薬”と言われるハーブのことな模様。

散財日記 -イタリアプログレの世界(2)-

2008年11月14日 | CD批評
Arti E Mestieri(アルティ エ メスティエリ)
バンド名Arti E Mestieriは「芸術家と職人」の意(ちなみに当方は全くイタリア語を解せず)。Areaにはデメトリオがいたが、このアルティにはフリオ=キリコなるドラマーがおり、いわゆる今でいう”手数王”で、スネアロール系フィル満載のかなり派手派手なドラムながらも、このスタイルでは74年当時はかなり画期的かつ目立った(=目立ち過ぎでウザがられた?)と思われる。「もういいよ...」というぐらいにタカタカ叩いており、”休符がまったくない”という感じ(バックグランド不明ながら、ブラバンで一日中スネアロールを練習してきたという感じか?)だが、その一方で音楽的な繊細さを維持しているという内容。代表作であり、ベストであるのは「Tilt」(74年)。ジャケは全くもって”?”ながら、内容はプログレの黄金律”組曲”風。1分に満たない曲もあれば、13分超の曲もあり、それらが混在して1枚のアルバムを構成している。メロが美しいことに加え、演奏もかなりテクがあり、この手のプログレには結構ありがちな演奏的に”あらあら...”という部分がなく、演奏的にはかなり完璧。6人編成の完全インストながら、サックスとバイオリンがおり、特に後者はプログレ感の醸成にかなり貢献。プログレにハマっていた90年代初頭、丁度SideStepsのレコーディング(「Steps On Edge」か「Against the Wave」の収録/ミックス)時に聴いていた記憶があるが、SSの”休符がまったくない”というのはここら辺から来たか(とはいってもメンバーでアルティを聴いている人は絶対にいないだろうと想像)。他にもいくつか作品が出ており(本作の次の秀作はこの「Tilt」のライブ盤である「Live」)、最近はバンド復活的に新作も出ているようながら、なかなかコレを超える作品は出て来ていないものと思料。SSが好きな人にはかなり向いていると思うのだが...。

散財日記 -イタリアプログレの世界-

2008年11月12日 | CD批評
Area(アレア)
強烈な個性を持ったボーカル、デメトリオ=ストラトス率いるバンド。4ピース+ボーカル(デメトリオ)だが、一部プレイヤは管楽器も演奏することから中々バラエティのある演奏で、演奏水準もかなり高い。天才デメトリオがNYで客死した後は4ピースでのインストアルバム(「Tic&Tac」)を残しているが、強烈な個性が無くなったせいか、かなりまともなフュージョンになってしまっており、そのデメトリオ=ストラトスの個性がいかにバンドに大きな影響を与えていたかが分かる。そのアレアの中で(いろいろ論議はあろうが)ベストと思われるのはこの「Are(A)zione」。75年のライブ盤で5曲のみの収録ながら、ライブ盤ならではの勢いがあり、演奏の他ライブ盤に比較して安定していることに加え、録音もしっかりしていて音質もグー。一曲目は代表曲「Luglio,Agosto,Settembre(nero)」で15/8拍子+14/8拍子という変拍子ながら不自然さはなく、非常なるフォルクロール性を感じるメロ。いきなりのイントロからボーカルとオルガンの表現性にシビれる。最後に一部学生運動世代には懐かしい?「L'Internazionale」(いわゆる”インターナショナル”)も、こうして楽曲として聴いてみるとなかなかのメロでよろしい。デメトリオ=ストラトスはボーカルながら、ボイス=パフォーマンス的な一面も強く、アルバム「Le Milleuna」と「Metrodora」はまさにボイスのみで、前者は1曲(?)58:02のみという構成でこれまた強力で、深夜に一人車内で大音量で聴いているとかなり怖いシロモノ(そんな人いないか...ちなみに最近にこのシチュエーションで聴いていて一番怖かったのはジョン=ゾーン)。個人的に初めてアレアを聴いたのは大学4年の後半だったと記憶するが、1枚目は「1987(Gli Dei Se Ne Vanno, Gli Arrabbiati Restano!)」で、ジャケに比較するとかなりアバンギャルド気味な内容で自身でも意外。車内で聴いていて、同乗者は白眼視気味だったが、他作品も含めて深く聴き込むだに、こんなモノではなかった...。情緒的で美しいというバンドではないものの、エネルギーに満ちており、数多くあるイタリア=プログレ界ではかなり異端に位置するか。

散財日記

2008年11月06日 | CD批評
ザ ヘッドハンターズ「On Top -ライブ in ヨーロッパ- 」
ヘッドハンターズといえば、ハービーハンコックとの作品がメジャーながら、これはヘッドハンターズでのライブアルバム。ハービーハンコックがメンバーとして入っていない事に加え、日本在住となっている(しかし何故なのだろうか)ベースのボール=ジャクソンも参加していないのだが、その代わりにベースとして参加している「TMスティーブンス」なるベーシストがなかなかに秀逸でやや意外感。スラップがなかなかに”しつこく”て一聴目ではやや食傷気味なのだが、そのゴム弦を張ったようなベースのビチビチしたサウンドが聴き込むだにクセとなる(しかし、この人、スペクターを弾いていたと思ったが、スペクターってこんなサウンドって出たのか、とやや不思議。フロントPUのミックスバランスを多くしているか?)。特に連打の難しいプルを結構なる16分音符の高速で”ぺぺ”を弾くのは当方の趣向と完全にマッチ。この人、ベースマガジン等で見たことがあるが、その見た目(外見)から完全に敬遠していたのだが、当方、その寡聞さから完全にメタルとかロックとか、当方趣向と無縁のプレイヤーと思っていたが、このヘッドハンターズのようなファンクな演奏もなかなかであり、完全なる食わず嫌いであったとやや反省。2枚組で途中にラテンパーカッションのシェケレのバランスが大きく、それで脳ミソを掻きむしられるような部分もあるが、なかなかにジャズファンクで演奏も良質で良し。

散財日記

2008年11月05日 | CD批評
VOW WOW「III」
本欄前述の人見元基からの関連にて、ついにハードロック部門に進出。この歳となって、ついにハードロックに進出するとは思いもしなかったが、渋谷のタワーレコードにて、久々にJ-Pop売り場にて同アルバムを購入。というのも、同アルバムがどのレコ評を見ても評判が良かったから、なのだが、自分のこれまでの音楽の方向性の問題もあり、決して人前(所謂、家庭でのスピーカー)からは聴けないので、購入後、即PCに取り込んでMP3化して、会社の往復時に視聴。当初はなんだか重厚なる壁ギター(レコーディングの世界ではディストーションギターが”ガー”と音圧を伴って鳴っている状態を口呼ぶが、ギターが音圧の壁を成しているということに由来するか)サウンドにやや典型的なるハードロックの様式を感じて幻滅しかけたが、数回聴くに完全にハマる。そもそもの聴き始めの動機が人見元基にあったことから、そのボーカルを聴きたいということが主眼ではあったものの、サウンドのミキシングがボーカルの音像が奥に引っ込んでしまい、ココ最近のボーカルが異様に鮮明に音像として前に出てくるミックスとは違うことから、スゴい声量と聴く人見元基のボーカルがなんだか細くも聴こえたりしたものの、内容としては、メタルにも有り勝ちなるプログレ的要素が多く、これは多分にキーボード(厚見怜衣)の存在に因るところが大と思われるが、素晴らしい。アレンジだけでなく、原曲もよろしく、完全にハマる格好となり、過去のアルバム(ただ、人見元基の在籍時のVOW WOW時のみ←それ以前はBOW VOWだった模様)を入手して、現在聞き込み中。