Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

散財日記

2017年07月30日 | CD批評
Thundercat「Drunk」
人というものは、たまたま偶然の機会が複数回重なれば、それが運命的な出逢いとも勘違いしやすいもの。決して組織的かつ大々的で売り出している訳ではないものの、書評や店頭で目にするそのなんとも印象的なジャケがどうしても冒頭の運命的な出逢いを感じさせ、早速散財。ジャケはフランシス・コッポラ「地獄の黙示録」で有名なシーンを想起させながらもなんだかフザケた雰囲気がよろしく、しかもサンダーキャットなる氏素性を事前調査するになんとベーシスト!どんなプレイなのかネット検索するに、セミアコ的なホロウ構造と思しき6弦を田端義男的ポジションでテロテロ弾き、そのベースがこれまたサンバーストなのもこれまた田端義男的。他映像も探せば演奏動画等多数閲覧できるも、サウンドはなんとも足踏み(Stomp)なベースシンセ系のエフェクタを使用しているのであろう、フィルター系を多用しており、この手のエフェクトを使いこなしているプレイヤをこれまであまり聞いたこともないことから非常に興味深く拝聴。同時にベースシンセへの猛烈な購買意欲の衝動が抑制不可能な状況に。で、早速散財したその内容だが歌詞も分析すればその内容もなんだか色々面白そうではあるが、サウンドにベースプレイヤ感は少なく、それが前面に出ている訳でもないことからブラインドで通しで聞けばベースプレイヤの作品臭はほとんど感じれない。そんなわけので、ハイテクなベースをバリバリ聞きたいという向きには1曲しかお勧めできないが、ベースプレイヤ的に胸踊るのは3曲目「Uh Uh...」。購入のCD店の帯には「AOR」とも書かれていたがほとんどAORは感じられず、とは言っても他のジャンルでの該当もなくて浮遊感のある不思議な内容。ちなみに本名はステファン・ブルーナーとの由。

散財日記

2017年07月22日 | CD批評
角松敏生「SEA IS A LADY 2017」
名盤「SEA IS A LADY」が世に出て早30年。今年となってそのリメイク盤「SEA IS A LADY 2017」が出ると聞いた時には、年初来の新譜がいずれも不冴えであったこともあり「今年一番の内容か!!」と一瞬心踊ったが30年、しかも日本経済的には「失われた20数年」を含む30年間では音楽制作環境も大きく変化しており、プリ=バブルで絶頂期に録られた原盤とは資本投下量も相当違うと想像されることから冷静にトーンダウン。予定調和的に「別モノとして非常に楽しめる」だろうと想定して聞いたが、結果として「沈」。Expectation Controlが巧くなかったのは百も承知だが、ギターはさすがに良くなっているものの、バック、特段ベースはヤバい水準。最後「OSHI-TAO-SHITAI」は某大学の音楽サークルの1年生の方が巧いのでは…? 内容の乏しさと冗長さもあり、一回聞いたらもう聴けなくなってしまった…。全般的にギターが良くなっている印象なのは、コーラス系モジュレーション+リバーブで大きく広がる原盤から、モノっぽくセンターに集中している新盤の方が音像クッキリでニュアンスが分かりやすい面が大きいが、一方で歌えないのか待てないのか暇持て余し気味で不要と思われるトリルの多用に加えて、サックスとのユニゾンやハモリもピッチやバランスにかなりな違和感。サビをオクターブ下で弾くといったオトナの意外さはあるが、これも突っ走り感に欠けてイマイチ。敬意と忍耐を持って所定の曲順通りに拝聴するに、1曲目(WAY TO THE SHORE)から2曲目(SEA LINE)までは期待と高揚が持続するも次第に減退し、8曲目(MIDSUMMER DRIVIN’、これが一番の秀テイクかも知れない)で相応に回復するも、最後(OSHI-TAO-SHITAI)で大きくストール(失速)して墜落、誠に残念。

玉肌日記

2017年07月08日 | 玉肌日記
【川渡温泉(宮城県大崎市)】(その2)
私的イメージでの川渡温泉はこちらの黒湯。車で数分走った先に激熱の硫黄泉が湧いているとは全く想像もできないほどにこちらはマイルドな湯で、それが近距離に混在しているのが鳴子の恐るべきポテンシャルだろう。これほどの多様性があるのは他では別府ぐらいか。久々の訪問でも温泉環境はまったく変わっておらず、温湯で38°C程度だが源泉掛け流しで非常にゆったりと長湯が可能で、これまでの数多くの温泉入浴経験の中でも五指に入る秀逸な内容であることを再確認。厳冬には加温しないと寒いとも思えるが、長湯するほど後から体が中からポカポカと温まることから蓄熱性は充分で、共同湯のシャワー的入浴スタイルとはこれまた対照的。そして前回同様、入浴後には猛烈なる睡魔に襲われる。湯は黒褐色のようだが、泉質は至ってプレーンな単純泉でこの色と温泉感が単純泉とはなかなか想像しえず。 帰りは山越えして山形県方面へ越境、銀山温泉こそ入れなかったものの、蕎麦を食してから往き同様に5時間かけて帰京。(完)

玉肌日記

2017年07月08日 | 玉肌日記
【川渡温泉(宮城県大崎市)】(その1)
またあの温(ぬる)湯に浸りたくて、片道5時間の激走の果てにこちら鳴子温泉郷へ。2年ぶりの鳴子ではあったが付近の状況は変わらず、前回までの数度の訪問で大体の地域は調査済との認識でいたが、それは結果として大間違いで同温泉郷の非常なるポテンシャルに刮目させられる展開に。川渡温泉をまずは探究すべきと共同湯を訪問するも、意外にもそこは単純硫黄泉で湯の色は白濁そのもの。街中に硫黄泉が湧いているのはなんとも異様な雰囲気なのだが、さらに強烈なのがその激熱ぶり。毎回訪問している川渡温泉が温湯なので完全にそのイメージでいたが、実際に入浴してみればそれはそれは激熱で45°C以上と推察。薄めるべく設置されている冷水の蛇口も、ヒネリロが撤去されたフィックス状態であってこれで入浴するしかない状態。地元民も通う共同湯であるのでさぞかし耐熱性の強い方々と思ったが、実際にシーンを拝見すると入浴時間は15秒程度を数回という程度で大半の時間は浴槽外で休憩しており、シャワー的な入浴スタイルなのだと納得。「だって人間なんだもの」(相田みつお)を痛感するとともに、温泉地名で温泉を一括りにはできないとも痛感。(続く)

玉肌日記

2017年07月01日 | 玉肌日記
【谷川温泉(群馬県利根郡みなかみ町)】
水上は温泉で有名ながらも”メジャーどころ”は敬遠しており、訪問順もどうしても最劣後となってしまうのだが、今回はそのお隣にある谷川温泉を訪問。谷川といえば谷川岳だが、土合までの行程や水上駅以降の上越線の情景、さらに一の倉沢等での遭難事故(有名なる”谷川岳宙吊り遺体収容”は父親の知人と聞いた記憶もあり...)を聴聞するに何だか地の果て感があるが、そこから西に入った場所にあるのが谷川温泉。山向こうには川古温泉法師温泉といった名湯があり、いずれも泉質は非常に似ている。水上温泉に隣接するとはいっても非常に静かな場所であるが、驚愕なのは都内との気温差。この日の都内は27℃程度だったが、こちらは日中でも15℃で都内仕様のTシャツでは非常に寒い状況。関越道では特に赤城高原を越えると冷涼になるが、まさか差がこれほどとは思わず。山岳地方のため天候が不順であり、どんよりとした雲行きなのも地の果て感を演出するのだが、来てみれば聴こえるのは川音にのみで温泉もその川縁に。泉質はアル単(アルカリ単純泉)でpHは8.2程度。アルカリ独特のヌルヌル感もとほろんどなく、まさに”美人の湯”系統。源泉掛け流しであって、それほど強くはないがアル単特有の芳香あり。湧出温度は54℃のため、季節によっては加温しているようだが、温めの湯で非常にまったりでき、入浴後はこれまた睡魔に襲われる。