Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

玉肌日記

2017年09月30日 | 玉肌日記
【嬉野温泉(佐賀県嬉野市)】
(つづき)そして本題の嬉野(うれしの)温泉。恐らく佐賀の三大温泉地は武雄古湯、そしてここ嬉野だが、嬉野の温泉街を巡るにオヤジ志向の歓楽街付きで、かなりオールドファッションであって一昔前の熱海を見るよう。嬉野と言えばお茶が有名で、そのイメージから清廉たる勝手な先入観があったのだが、そのギャップは大きく恐らく佐賀三大温泉地の中でもっとも「The 温泉街」化しているものと思料。一応、三大美肌の湯の一角を占めることを自ら標榜しているが、湯はナトリウムー炭酸水素塩・塩化物泉や単純温泉で無色透明。ともに中性であって、通常は「美肌の湯=アルカリ泉」が一般的なのだが…。湧出温度が49℃、かたや30℃とバラツキあるも、地域的にあまり熱泉は出ない様子。ミックス泉のようだが、湯がオーバーフローしている浴場床にはなかなかの量の析出物が堆積して文様を作り出しており、唯一温泉感を表現しているとも言える。非常に残念なのは、県の指導なのかこちらに限らず佐賀の温泉はどこも塩素消毒をしていること。小規模の配慮の行き届いた湯槽ではあまり気にならないものの、とくに浴槽規模が大きくなればなるほどに塩素消毒臭が強く、まさにプールに入っているようで全くもって閉口。欲張りすぎない適正な規模感(足るを知る)というものについて考えさせられる。(完)

玉肌日記

2017年09月23日 | 玉肌日記
【嬉野温泉(佐賀県嬉野市)】
再び佐賀。しかもかなりレアなる状況が重なり、本来は長崎だったのだが再び佐賀。佐賀と言えば、The Squareなるバンドの「Forgotten Saga」という曲(名曲と云われるが東当方にはそれほどとも思われない)があまりに印象的で「忘れられた佐賀」を想起させるが、これはまるで「日本の都道府県全部言ってみよ」という質問に対し、最後まで「あとひとつなんだけど、どこだっけな〜」的に最後まで出てこないという「忘れられた佐賀」とばかり思っていたが、ここでいうSagaはネット上の英語検索にある
1.〔北欧文学の〕サガ、サーガ◆古ノルウェー語の散文で書かれた、中世の歴史的・神話的人物の物語
2.〔サガに似た〕英雄[冒険]物語
であり、佐賀県ではなし。「はなわ」なる佐賀出身の芸人による「S・A・G・A 佐賀」というフレーズが印象的な佐賀自虐ソング『佐賀県』(インペリアルレコード)も、この誤解の普及に一役買っているものと想定している(個人的には彼のベース=プレイにも非常に注目している)。
佐賀であるとすればThe Squareの佐賀公演には非常にネガティブに作用するであろうし、意味なく佐賀県民に喧嘩売る必要もないだろう。しかし、佐賀空港に航空機が着陸して驚くのはランウェイがないため、滑走路上をUターンしてターミナルに向かうのだが、これは離島並みの設備。また、帰りの佐賀便のエアバスは非常に古い機材で、これまた英語表示等もレトロ感満載の字体かつ座席生地も非常にレトロかつ草臥れており、そう考えると「なぜここまでに佐賀は区別されるのか」と静かな怒りが湧き上がってくる。W大始祖Oの生誕地なのに…(だから、か?)(続く)

ギターマガジン 2017年10月号 「Japanese Fusion/AOR」特集

2017年09月16日 | 文芸批評
ギターマガジン 2017年10月号 「Japanese Fusion/AOR」特集
ギターマガジンを買ったのは何十年ぶりだろうか、記憶は全く辿れず恐らくは高校生以来に違いない。直近でPRISM最新作を聞いて愕然とし(余裕があれば後述予定)、数ヶ月前には角松敏樹「SEA IS A LADY 2017」を聴いて愕然とし、一方でその死去に伴い再発される松岡直也の旧譜を聞いて刮目する等、懐古主義に完全に染まっている一環として本屋で立ち読みして刮目してそのままレジへ! 240ページの冊子中140ページほどがこの特集記事で、(無常な時の流れを残酷に指し示す)新旧対比の構成になっているのだが興味深いのは「旧」部分、つまり3〜40年前当時の記事。リアルタイムで読んだ記事も多く、特に高校生当時に穴の開くほど読み込んで研究した和田アキラの巨大ラックの中身等、古本的なアーカイブ感覚で読めるのがなんとも素晴らしい(一方で雑誌編集的には過去記事を引用掲載すれば良いだけだから労力は低く、win-winであるともみえる)。若き日の野呂一生曰く「アドリブというものを、単にスケールの羅列だと思っている人には、人の耳にインパクトを与えるフレーズなど、到底作れるはずがないのです。」等の”至り”的な語り記事もあってなかなかに微笑ましい(そのアドリブが今回掲載のギタリストの中ではもっともスケール的であるように聞こえるのは私だけでしょうか…)。思うに「Japanese Fusion/AOR」興隆期は日本経済のバブル形成期とほぼ同時期で、日本人のマインド自体も高揚中だった時代。それが作風に与えた影響は多大と思うが、今ここにきてこのような特集が組まれるのは、1)苦境の出版業界が売り上げアップ目的に、もっとも可処分所得の大きい年齢層が青年だった時に流行した音楽を取り上げることで懐古的売り上げアップの効果を狙ったか、もしくは2)「ニューズウィーク現象」、つまりテーマが雑誌の表紙となって取り上げられる時にはすでにピークアウトし、あとは下落、崩壊を辿るというその前兆であるのか(そもそもピークを形成しにいくほど、昨今のFusionにヒート感は皆無と思われるが…苦笑)。もしかしてアベノミクス=バブルの崩壊を予見している?

散財日記

2017年09月10日 | CD批評
日野皓正「New York Times」
「中学生ビンタ事件」で思わず注目を浴びたヒノテル、かなり久々かつ全く予想だにしない方向性での話題提供となり、これをいい機会と手元のCD群から検索してみるに、手持ちであるのは17枚とこれまた意外なる多さ。その中でもっともアクティヴに聞いてるとiTunes上で記録されているのは「New York Times」。一般的にはその前作である「Pyramid」の方が有名かもしれないが、1983年録音のNYTはフュージョンブームの最中であって起用されているバックもなかなかのメンツ。これもケニー・カークランドがサポート。ベースのトム・バーニーも今聞いてみれば意外に良い。個人的な感覚では、ヒノテルが素晴らしいのはバック起用のセンス、つまり成長株と組むその先見性にあり、演奏家よりはよほどプロデューサー的であるように思われる(というとそのプレイのパッとしなさ具合を暗に言及しているようでそれこそ往復ビンタ喰らいそうではある…しかし書いていて思ったのだが、往復ビンタって往路が掌であることはわかるが復路は手の甲側でやるのが一般的なのだろうか、それともスナップを効かせて往路同様に掌なのだろうか…?)。NYTの次によく聴き込んでるのはなぜか「Taro’s Mood」であったが、ヒノテルも75歳とはこれも驚愕。

玉肌日記

2017年09月02日 | 玉肌日記
【沓掛温泉(長野県小県郡青木村)】
沓掛の前回訪問時は共同湯だったが、今回はその前に引越してきた温泉宿へ。この温泉宿、以前は奥山田温泉で営業していたのだが温泉に不具合があり、廃業間際の宿を継ぐ格好でこちらに移ってきたというなかなかなレアケース。泉質は全く違うが 温泉への心配りに加えて食事がなかなか素晴らしく、それを期待しての訪問だったが予想以上だったのは温泉。施設は改築中 でなかなかワイルド部分もあるが、奥山田と違って無色透明のアルカリ単純泉ながら、ごく硫黄泉感もあって浴感は充分。なにより素晴らしいのは温(ぬる)湯であって、体感的には38.5°C程度。少々加温しているようではあるが、野天温泉から見えるのは日本の里山という原風景で、余裕で1時間は浸かっていられる。なお、この沓掛温泉のある青木村、こちらの”ゆるキャラ”で「アオキノコちゃん」なる立像があるのだが、その背後の回るとその背中にはかなり異様な「義民」の文字。「夕立と騒動は青木村から来る」(!!)と言われ、過去に一揆の指導者を多く輩出した土地柄という。義民はいずれも義挙しているのだが、結末は打首・死罪になっており、それと”ゆるキャラ”がなんともアンビバレント。(了)