Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

玉肌日記

2018年09月29日 | 玉肌日記
手白澤温泉(栃木県日光市川俣)
(3)
ちなみにこの温泉、日帰り入浴を行っていないことから入浴するためには宿泊をしなくてはならないが、非常に意外なのはワインセラーがあり、出てくる料理も洋食的なかなり手の込んだ内容であること。スーパー林道経由で物資の搬入は可能(ちなみに一般車は乗り入れ不可)かもしれないが、林道といっても未舗装であり、さらに手白澤への分岐点以降はかなりのダートなので、決してそれも容易ではない筈。通常の山小屋(こちらでも手白澤"ヒュッテ''と宿の表看板には表記されている)の食事と言えば保存食中心の質素で簡易なものを想像するのだが、こちらではなかなかに豪華でこれまたアンビバレント。2.5時間の登山後ということもあって、ただでさえ美味である上に「登山したのだから大いに食べて飲んでも問題ない」という”心の負債”ヘの心配の必要も一切なくて非常に具合が良い。さらには温泉も最上なのは前回のとおりで、自然に囲まれた静かな環境という意味では稀有な存在。宿の方のホスピタリティーも素晴らしいの一言。最後に付言すれば、運動不足の身ながら片道2.5時間、往復5時間の登山でも筋肉痛を発症せず、密かに自信を得る。

玉肌日記

2018年09月22日 | 玉肌日記
手白澤温泉(栃木県日光市川俣)
(2)
さて肝心の温泉だが、単純硫黄泉の源泉掛け流し。湯量が豊富(データでは300L/毎分)なようで、力ランでも常時温泉がシャワーの代替として掛け流されている。無色透明な湯に多くの白い析出物が混じるが、それほど硫黄臭はキツくない。その意味では付近の加仁湯の泉質とはかなり違っている。pHも中性で味覚も刺激もないが、浴後には相応の硫黄臭が体に残る。内湯と露天風呂で構成される定番の構成ながら、内湯の窓は全面開放となっており、完全なる半露天状態で火照った体を冷やすには非常に好ましい環境。泉質は言うまでもなく素晴らしい。こちらの温泉由来としては、東京渋谷の道玄坂で傘店を経営していた兵次郎が趣味の狩猟をしているときに発見し、成した財を売り払って当地に居を構えたことに始まる。しかし趣味が狩猟とは言え、昭和初期にここまで入り込んでくるのは相当難儀だったろうと想像(加仁湯を含めこの付近の温泉は昭和初期から形成されたとのこと)するが、 実際に帰路に野生の猪と見紛うカモシカと遭遇してこれもまた納得。

玉肌日記

2018年09月15日 | 玉肌日記
手白澤温泉(栃木県日光市川俣)
(1)
温泉のジャンルに「徒歩でないと行けない温泉」なるものがあり、その隔絶さからプレミアム感を伴って語られることも多いのだが、数年前から密かに狙っていた同温泉を念願叶って初訪問。直前まで中国・近畿地方では平成になって最大の被害とも言われる大雨が続いており、訪問できるか直前まで微妙だったものの、現地情報では雨の影響はほとんど無しとのことで東京を早朝に出発。途中でランチを取ったものの、駐車場たる女夫渕温泉跡まで車で4時間、そこから徒歩で2時間半所要するというのだが、実際本当に徒歩にて2時間半を要してやっとのこと到着。林道を2時間歩くと以前訪問したことのある加仁湯との分岐点に到達するが、そこから最後の30分が勾配続きでなかなかにキツい。汗だくにて到着した宿自体はなかなかにモダンかつ綺麗であり、どうしてこんな僻地にこんな建物が?という具合。ちなみに携帯電話は圏外となり不通、さらに客室にはTVがないという具合だが、常時通電しているだけでなく今時ながら無線wifiが館内に飛んでおり、なんともアンビバレントで好ましい。

”怪我”牀六尺(16)

2018年09月08日 | 畸観綺譚
(16)
手術直後の1日はキツイと後に聞きましたが、左右の腕ともパンパンに腫れ上がっており、グルグル巻きになている包帯を弾き飛ばさん!という勢いです。また、腕中心の骨付近での鈍痛に加え、上腕全体が雑巾絞りされているかのようなピリピリとした痛みが常に続いており、眠るどころではない(思えば、この"雑巾絞り"なる戯れ技は幼少時にやったりやられたりしましたが、なかなか危険な所作であります)。これほど「早く時間が経ってくれ〜」と願うときもありませんでした。そうは言っても、時折落ちるように眠るときもあるのですが、気が付くことには、あれほど痛みを感じていた両腕は眼が覚める直前の数秒間、全く痛くない時間があるのです。「あ、ついに痛みが治まった!」と思うやいなや、また痛みが襲ってくるのですが、痛みは腕そのものにあるのではなく、脳自体が痛みを感じている事実を実感しました。脳がまだ寝ているものの意識が覚醒してきているときには痛みを感じない数秒の時間があり、その後に脳が起きてくると痛みが襲ってくるというわけで、腕に痛みがあるのではなく脳で痛みを感じているという何とも不思議な感覚。という具合なので、少しでも痛みを感じないように寝ようとするも、なかなか寝られずなんともモドカシイ時間が続きます。夜明け前が最も暗く、また最も過ぎ行く時間が長いものです…。

”怪我”牀六尺(15)

2018年09月01日 | 畸観綺譚
(15)
手術の所要時間は3時間程度とのことですが、全身麻酔で良かったです。痛みはないものの、手術はトリルやハンマーを使った大工作業になるため、音や振動、さらには匂い等を普段の知覚で感じながら手術されるという部分麻酔なぞ、到底考えられません。その後はべットに寝たままで手術室へと運ばれます。手術灯を見た後、「麻酔薬を入れます」と言われ、笑気ガスを吸わせるためなのか酸素マスクを口元に軽く置かれるとすぐに意識はなくなりました。術後の目覚めはなんとも気分の悪い目覚めでした。健常時と違い、なんとも歯切れの悪い目覚め。こんな目覚めの悪い思いは初体験で、普段毎朝の「嫌な学校や会社に行かねば...」とは比較にならない目覚めの悪さ。まだ麻酔が効いているのか意識もやや混濁したままで、敢えて起きずに寝ていた方がイイという優れない気分は何とも言えないものです。両腕にはギブスを当てがわれていた術前以上に包帯グルグル巻き状態になっており、手術した!との実感はあるものの、全てが気怠く、なんとも面倒な気分。そのうち麻酔効果がなくなってくるとともに来るのは腕の痛みです。