Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

九州全線阿房列車(3)

2022年05月28日 | 畸観綺譚
九州全線阿房列車(3)
きっぷを購入するとまずは一安心、それでは夕食を…と天文館まで徒歩にて向かうも、コロナ影響で営業店はことごとく閉店! この付近では飲食店同士の歩調(同調圧力?)もバッチリで、本当にどこも営業していない。完全にオフサイド・トラップにハマった感あり、やむを得ず「チェーン店でもなにか食事を…」と妥協するがチェーン店さえも営業していない。これまでの記憶を頼りに天文館の周囲を回ってみるも、本当にどこも営業しておらず不気味なほど。まだ21時前だが人通りもほとんどない。なんだか人気(ひとけ)のある方面にいってみたが、それは天文館裏の明らかな歓楽街で客引きの方々。数人の客引きが路上に出ていたが、そもそも人通り自体がないので商売上がったりの模様でなんだか手持ち無沙汰。ちなみに十数年前に車で来た際に宿泊した「いわさきホテル」付近を探索するもホテル自体が見当たらない。その際に駐車した立体駐車場に見覚えがあり、記憶をたよりにきてみればそこは広大な駐車場に…。天文館の中心部にこれほど広大な平置きの駐車場とはまさに諸行無常、自然と云う奴にはかなはないなあ…(by葛西善蔵) 天文館を早くも損切りして駅前に徒歩で戻るも、駅前や駅ナカもことごとく営業終了。あまりの状況に茫然自失、思い切り出鼻をくじかれた格好となりコンビニで軽食を購入してトボトボとホテルへ退散。コンビニがやってなければ飢え死に…という状況に愕然。なにしろ明朝の出立が早いためやむを得ず、と自らを慰める。以降この状況が最後まで続くとはこの時点で予想だにしなかった…。
【写真】西鹿児島、ではない鹿児島中央駅の大観覧車。天文館に向かう途中には大久保利通の像も。

玉肌日記

2022年05月21日 | 玉肌日記
【知内温泉(北海道上磯郡知内町)】
「北海道最古の温泉」というコピーが目立つが、知内(しりうち)と読むこの温泉。北海道新幹線の北海道側の最初の駅は木古内(きこない)だが、そこから20kmほどの南方に位置する。函館市内から爆走してきたが早朝でも70分の所要。遠い。その開湯は1247年に遡り、現在の湯守で17代目とのこと。脱衣所に掲示されている「試験成績書」も相当な年代物だが、その日付は昭和4年!昭和4年(1929年)はウォール街大暴落があった年…とふと自室の本棚を見るに『大暴落1929』(ジョン・K・ガルブレイス)が…。折しも本日まで米国株が8週続落していて、これは90年前の大恐慌以来の記録。その90年前の「試験成績書」はその保存状態の良さから見て琺瑯製と思われる。年代モノはこの成績表のみにあらず、温泉による長年の析出物によって浴場の床は黒褐色の鱗状になっている。写真を見てもわかるが、浴室全体が黒褐色の床、温泉、そして壁面の木材と黒褐色一色で覆われる。泉質は「ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉」だが、泉温49.6℃の湯を掛け流しで近くの源泉から注いでいるためか非常に熱い。浴槽温度は43℃となっているが、体感的には45℃程度でとてもではないが長湯できない。湯に沈むとビリビリ来るほどの熱さのため出たり入ったりを繰り返さざるを得ないが、厳冬期にはこれぐらいの方がちょうど良い湯温になるのかもしれない。なお、浴場自体もこの高温の湯のため加温・加湿されておりサウナのよう。湯は薄く濁っているが塩味と鉄味が少々で、いかにも体が温まりそうな湯。こちとら入浴後まで全く気が付かなかったが、こちらの温泉旅館は北海道には少ない「日本秘湯を守る会」に所属。この結果、北海道の同会温泉は無意識ながらほぼ踏破していたことに気が付く…。

玉肌日記インデクス(地域別温泉リスト)

①北海道 ②東北 ③関東 ④中部 ⑤近畿 ⑥中国・四国 ⑦九州・その他


九州全線阿房列車(2)

2022年05月14日 | 畸観綺譚
九州全線阿房列車(2)
今回の旅程の始点は鹿児島。始発に乗るには前日から鹿児島入りする必要がある。なお「旅名人の九州満喫きっぷ」なるものは自動券売機では購入できず、みどりの窓口で購入しなければならないことから、窓口の営業終了までに購入しないといけない。東京羽田発の最終便では営業時間にギリギリ間に合わず、数分差で間に合わないという非情さであることから最終便の1つ前に搭乗。飛行機は順調に飛行して定刻に到着。早速、鹿児島中央駅まで向かうバスに乗車。鹿児島中央までは40分程度の直通運転だが、空港を出るとすぐに九州自動車道(高速道路)に乗ると十数年前にはるばる車で来たときの記憶が蘇る…。このあたりになると高速道路上には照明がなく、車のヘッドライトだけが光源。鹿児島北ICを降りるが、かつてはなかったETCになっていて有人の料金所はすでに無い。東京からの激走を労ってくれるような人情味ある料金所員ももう居ない。ICを降りると鹿児島中央駅のランドマークたる大観覧車が見える。鹿児島中央駅前のバスターミナルに到着するとさっそく駅にて「旅名人の九州満喫きっぷ」を購入するが、買う人が少ないのか駅員さんの周知が乏しく「そんな切符ありましたかね~」という風情。ここまで来て切符が買えない!?と大いに焦るも問題なく購入。小学生頃にブルートレインが大流行した世代として当時は「富士」とか「はやぶさ」といった鹿児島方面の終着駅は「西鹿児島」だったと記憶するが、2004年に西鹿児島→鹿児島中央と改称(駅名公募)したらしい。西鹿児島じゃ何故いけない?
【写真】旅名人の九州満喫きっぷ2枚。乗る初回に改札で丸印を押して使用。JR九州には意外とある自動改札機は一切通れない。

九州全線阿房列車(1)

2022年05月07日 | 畸観綺譚
九州全線阿房列車(1)
北海道に引き続いての阿房列車は九州。北を攻めたのちは南。これまで九州は何度も行っているがどれも局地戦、旅行日程の関係から車で一周なぞとても出来なかったが、運転負荷のない鉄道旅であればそれも可能と踏んで早速実行。まずは机上でルートを練るのだが、前回の北海道同様になるべくコストをかけずに貧乏旅行といきたい。航空券も片道3000円程度を狙いたい。まずはJR九州のお得な切符を調査するも「旅名人の九州満喫きっぷ」なるものが存在し、3回JR九州全線(他の私鉄等も含む)乗り放題で11,000円。3回というのは3人で(同一旅程で)使用しても良し、一人で3日使用しても良しなので1日あたり3,700円弱となる。さらに「連続した3日」である必要はなく、有効期間は発売日から3ヶ月以内なので万一途中で失敗しても一旦帰宅して再起を図ることも可能(当然航空券はまた必要)。乗車できるのは普通もしくは快速列車のみ。この3日間というのはルートに大きく影響する。すくなくとも3の倍数日で全線を巧く踏破する必要があるが、どう考えても3日では無理。今回は6日で全線めぐることにして早速旅程を作成。旅程自体は1時間程度で作れたものの、見返してみるとなかなかハード。特に①鹿児島南部の盲腸線(枕崎線と日南線)と②福岡近郊の複雑な路線がエグく、6日間あるとはいっても朝は始発に乗って場合によって終電も...という状態。なお今回は荷物を極限まで減らしたウルトラライト・パッキングで臨む。15×25cmサイズのスリングバックに吟味した必要最低限の荷物のみを入れる。これであればとても旅行者には見えまい。実際に地元の人より超軽装だった。
【地図】赤線が九州全線(JRのほぼ全線)阿房列車の全行程1967.5km