映画 ご(誤)鑑賞日記

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誰がハマーショルドを殺したか(2019年)

2020-08-01 | 【た】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv71180/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 1961年9月、当時の国連事務総長ダグ・ハマーショルドは、コンゴ動乱の停戦調停のためチャーター機で現地に向かった。しかし、ローデシア(現ザンビア)で謎の墜落事故を起こし、ハマーショルドを含む乗員すべて死亡する。

 長らく原因不明の事故とされてきたこの未解決事件に挑んだデンマーク人ジャーナリストで監督のマッツ・ブリュガ―と調査員のヨーラン・ビョークダールは、単なる墜落事故ではなく、ハマーショルドの命を狙った暗殺事件であったことを仄めかす資料を発見する。

 ブリュガー監督とビョークダールは真相解明のためアフリカ、ヨーロッパ各地を旅するが、当時の関係者たちは皆沈黙を守り、追跡取材は難航する。

 しかし、調査を進めるうち、ハマーショルド暗殺事件の真相だけでなく、秘密組織サイマーによる想像を絶する陰謀を突き止める……。

=====ここまで。

 
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 チラシを見たけど、あんましそそられず、全国紙各紙も映画評に取り上げているけど、スルーのつもりでした。けれど、ある方のツイートを見たら、何だか面白そうな感じがしてきて、やっぱり見ておこうかという気になったので、劇場まで行ってまいりました。


◆ご多分に漏れず「陰謀論」

 見終わって、……これをどうやって消化すれば良いのか、、、甚だ悩ましい。

 某全国紙の評も、何だか歯切れが悪い。山根貞男という評論家が書いているのだが、「あまりに衝撃的で、見ていて信じられない思いがする」とか、「どう考えても、…………は作り物だろう」とか、「ドキュメンタリー映画には違いないが、フィクションのようにも思われるのである」とか、シメの一文は「正体不明の面白さに満ちた映画というべきか」だって。

 プロの批評家がこんな批評しか書けないんだから、素人が悩むのはムリもないわね。それくらい、後半から怒濤のように暴かれる事実(?)の内容の、話がデカ過ぎるのである。

 こういった、謎が多い事故には、必ずといっていいほどつきまとうのが「陰謀論」だが、本作も、結果的にはそこに向かって突っ走る。

 本作が暴いたハマーショルドの死の真相とは、(詳細はここには書かないけれど)詰まるところ、裏で英米が糸を引いていた、という話である。壮大な与太話とも思えるが、秘密組織サイマー云々はともかく、“国家”が黒幕、ってのは、私はアリな話だと思うのだ。なぜなら、ハマーショルドの存在が、そのまま国益に直結するからである。今でこそ、アフリカは中国の食い物になっているが、今の中国の姿は、かつての欧米のそれであり、自らの利権には形振り構わないのが国家なのだ。それを考えると、人一人始末することくらい、平気でやるだろう。

 なので、デカ過ぎる話で戸惑うが、大筋は外れていないのではないか、と受け止めた。


◆エイズ禍

 本作で中心的に調査対象となっている「秘密組織サイマー」ってのが、とにかく胡散臭い。

 このサイマーの実態を調べていく過程で、ハマーショルドの暗殺事件解明のはずが、あるおぞましい計画話にぶち当たる。それは、エイズウイルスを使ってアフリカの黒人を殲滅するという内容なんだが、前述の山根氏は、この話について「見ていて信じられない」と書いている。

 が、私は、このエイズの話に関しては、大分前にセス C. カリッチマン著、野中香方子訳「エイズを弄ぶ人々 疑似科学と陰謀説が招いた人類の悲劇」(化学同人)という書籍を読んで衝撃を受けたので、まんざら与太話とも言い切れない、、、と感じた。実績のある高名な科学者たちが、エイズ否認主義者としてアフリカのエイズ禍に一役買った事実が暴かれているのだが、ノーベル賞受賞者たちも例外ではない。

 余談だけど、今のコロナ禍において、NHKが特集番組でノーベル賞を受賞した山中教授をよく起用しているのだが、あれは、止めるべきだろう。特にオカシイと思ったのは、感染症の専門家たちの討論で、コーディネーターを山中氏が務めていたこと。「エイズを弄ぶ人々」に挙げられていた科学者たちも専門外なのに“ノーベル賞受賞者”という肩書きがあるばかりに、間違った言説の流布に大いに貢献してしまっていた。山中氏はノーベル賞受賞者といえども感染症の専門家ではないし、まぁ、ご本人も「私は専門家じゃないので~~」みたいなエクスキューズを毎回しているが、どういうつもりでNHKが彼をしょっちゅう起用するのか謎だし、山中氏もどういうつもりで出演しているのか(思慮深い人なら辞退するのでは)もっと謎だが、ハッキリ言って視聴者を惑わせる危ない演出であると思う。無邪気な人は、彼の単なる推論や見解を「山中先生が言っていたから……」と、無条件に“科学的事実”と信じる可能性が少なくない。実際、そういうことをネットで書いている例も散見された。

 それはともかく、“エイズウイルスで黒人殲滅”なんて、およそ非現実的という気もするが、絶対ナイとは言えないだろうなぁ、、、と思いながら見ていた。それくらい、世界には、あり得ない、信じられない、与太話みたいな実話がゴロゴロ転がっているのだ。


◆映画として

 ……というわけで、一体何の映画のレビューだよ??って感じなんだけど、まぁ、難しいこと抜きにして面白いことは確か。ハマーショルドなんて、名前は聞いたことあるけど誰?? という私が見ても十分楽しめたのだから。

 監督は、デンマーク人でドキュメンタリー映画を何本か撮っているというマッツ・ブリュガー。彼が本作を撮ったきっかけは、彼の知人でスウェーデン人のヨーラン・ビョークダールがこの事件のことを長年調べていたから。ビョークダールの父親が国連職員だったそうで、父親がこの事件を調べていて、その父親から、弾痕らしい穴が空いた鉄板を事件の重要証拠として受け継いでいたのである。

 ビョークダールは、その鉄板を後生大事に持ち歩いていたんだが、その鉄板を詳細な調査に出したところ、実は、、、、という、ギャグみたいなエピソードも差し挟まれる。

 また、本作は、後半まで、「真相は分からないままでした~~!!」で終わりそうな勢いなのだが、終盤から一気に展開する。この構成を“メタ”と言う人もいるようだが、その辺は見る人の感性次第かも。私は、メタだとは思わなかったが。ただ、このマッツ・ブリュガーという監督の手法が、マイケル・ムーアとは違うけれど、ちょっとおふざけが入っている感じがあるので、それが“メタ感”を漂わせている節はある。

 

 

 

 


のA」は、CIAの印……??

 



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