不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

心と体と(2017年)

2018-04-28 | 【こ】



以下、公式HPよりストーリーのコピペです。

=====ここから。

 ハンガリー、ブダペスト郊外の食肉処理場。代理職員として働くマーリアは、コミュニケーションが苦手で職場になじめない。片手が不自由な上司のエンドレは彼女を気に掛けるが、うまく噛み合わず…。

 そんなある日、牛用の交尾薬が盗まれる事件が発生する。犯人を割り出すため、全従業員が精神分析医のカウンセリングを受ける事態に。すると、マーリアとエンドレが同じ夢を共有していたことが明らかになる。二人は夢の中で“鹿”として出会い、交流していたのだ。

 奇妙な一致に驚くマーリアとエンドレは、夢の話をきっかけに急接近する。マーリアは戸惑いながらもエンドレに強く惹かれるが、彼からのアプローチにうまく応えられず二人はすれ違ってしまう。夢の中ではありのままでいられるのに、現実世界の恋は一筋縄には進まない。

 恋からはほど遠い孤独な男女の少し不思議で刺激的なラブストーリー。 

=====ここまで。

 “刺激的”かどうかは意見が分かれそうなところ、、、。何で牛用の交尾薬が盗まれて、従業員の精神分析になるのかがナゾだけど、まあ、そこを突っ込むのも野暮ってもんでしょう。
 
   
☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜


 新聞の評を見て、ちょっと見てみたくなりました。ハンガリー映画といえば、衝撃の映画『だれのものでもないチェレ』なんだけど、フランスやドイツと合作というと色々あるけど、ハンガリー単独制作で、ハンガリー語の映画(で日本公開されたもの)って、割と少ないような。大悲惨な『~チェレ』とは大違いで、本作は鑑賞後感は良いです。


◆同床異夢、、、ならぬ、異床同夢

 私は、ごくたまに、ゼンゼン意識の外にあるはずの芸能人が夢に出て来て、その日を境に、急にその芸能人のことが気になってしまう、、、という経験がある。

 一番最近では、数年前に、何故か夢に要潤が出て来て、具体的に何をしたかはさっぱり覚えていないが、目覚めたときに“要潤と夢で会った”という認識だけは明確にあるわけよ。多分、そのちょっと前に彼をTVか何かで見掛けたからだとは思うんだが、要潤には申し訳ないけれど、正直“何で要潤??”と思いつつも、数日ほど気になっちゃったりして。せいぜい数日くらいしか持続しない、ってところがミソなんだけど。

 同じ夢を見ていたことが分かっただけで、それまで同じ職場の人でしかなかった男性が、急に気になる存在になる、ってのは、私の“夢で要潤”体験と似ているのかなぁ、、、と、スクリーンを見ながらボーッと考えてしまった次第。

 一緒に寝ている男女が、それぞれ別の相手とセックスする夢を見るハナシならごまんとあるけど、別々に寝ている男女が、それぞれその相手とセックスするという同じ夢を見る、、、ってのが、ちょっと面白い。しかも、人間としてじゃなく、鹿だからね、鹿。ハンガリーでは、鹿は“神の使い”と言われているそうな。

 でもって、そんな彼らの働く職場は、食肉加工場。牛がされ、解体され、精肉されていく過程が、結構生々しく描写される。鹿はとても神聖な描写の一方で、牛は極めて機械的に解体されていく、、、同じ動物なのに対照的な描写であることが印象的。

 自分たちは夢の中で神聖な鹿となってめくるめくセックスに興じ、現実では牛を解体する、、、。なかなかシュールです。


◆オッサンと若い娘ってのがなぁ、、、。

 マーリアは清楚で美しいのだけれど、融通が利かないタイプで、職場でも摩擦を起こして浮いている。パンフを読むと、本作の監督イルディコー・エニェディは、本作を撮るに当たり「マーリアのキャラクターを『違う視点で世界を認識していて、孤独に慣れている、自閉症スペクトラムの女性にしたかった』と語っている」とある。そのほかにも、マーリアは恐るべき記憶力の持ち主だったり、一つのことに集中してしまって回りが見えなくなったり、という性質が描写されていて、彼女の不器用さが強調される。

 一方のエンドレは、疲れた感じのオジサンで見た目もごくフツー。バツイチで、今は女っ気のない日々。ただただ真面目に仕事をして、、、何かもう余生を過ごしている感じ。

 マーリアはそんなキャラだからバージンで、エンドレをどんどん好きになっていくんだけど、どうしても一線を越えられない。夢ではセックスして、恐らく幸福感を得たのだろう。だから、エンドレと結ばれることを望むんだけど、どうしても身体が拒絶する。で、彼女は、ポルノ映画を見たり、マッシュポテトを手でグニュッと握ってみたり、ぬいぐるみを抱いてみたりしながら、イメージトレーニングに励む。この辺の描写がちょっと面白いというか、哀しいというか、、、。

 そして、ようやく、今度こそ! とエンドレに迫ると、逆にエンドレに「もう終わりにしよう」なんて言われちゃってガ~~ン!! ショック!! もう生きていてもしょうがないわ!! と極端な思考に走り、バスタブで手首を切ってしまうと言う、、、。なんとも不思議ちゃんなマーリア。このとき、手首から血が鼓動と共にドクッ、ドクッって噴き出すんだけど、これがちょっと見ていてキツかった。

 で、ここでエンドレから電話がかかってきて、、、ま、最終的に2人は無事に結ばれます。めでたしめでたし。

 でも、、、私はひねくれ者なので、スクリーンを見ながら、これが、オッサンと若い女性の話じゃなくて逆だったらどーなの?? と考えていた。つまり、オバハンと若い青年のお話だったら? オバハンは見た目もフツーで、青年は美しい、という組み合わせで、このようなファンタジーは成立するんでしょうか? 現実には難しいんじゃないかねぇ。だからこそ、映画ではそういうところに挑戦して欲しいなぁ、と思ったのも事実。

 これじゃぁ、勘違いオヤジたちに無駄な夢を与えるだけで、今話題のセクハラの領域に勇み足してしまう輩も出て来そう。罪な映画だ。


◆その他もろもろ

 マーリアを演じたアレクサンドラ・ボルベーイは、楚々とした美人で、はまり役だった。ほとんど笑顔がないんだけど、終盤、エンドレと結ばれた後に見せる笑顔が素敵だった。

 エンドレを演じた男性は俳優さんではなく、物書きの方らしい。その割にナチュラルな演技だったのがオドロキ。まあ、正直言って、あんましときめくタイプではないけれど、渋いオジサンと言えなくもないかな、、、。好みの問題です、ハイ。

 私が気に入ったのは、精神分析をする精神科医を演じたレーカ・テンキという女優さん。ちょっとセクシー系で、ホントにドクター?? って感じだけど、分析は実に的確で、頭も良い、という役をとても上手に演じていた。真っ赤なルージュが印象的。

 鹿の演技(?)もなかなか見物。夢のシーンはとても映像が美しい。静謐な画面に、官能的な鹿の姿が描かれていて、この夢のシーンを見ていると、マーリアとエンドレの恋が成就するラストが予感され、その通りのハッピーエンディング。

 本作は、昨年のベルリン映画祭で金熊賞を受賞してるんだとか。ハンガリーでも大ヒットだったらしいです。









夢から醒めても愛は冷めなかった。




 ★★ランキング参加中★★

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 女は二度決断する(2017年) | トップ | ペンタゴン・ペーパーズ/最... »

コメントを投稿

【こ】」カテゴリの最新記事