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桜島の噴火とイチローの新記録

(鹿児島のシロバナヒガンバナ)

昨夕、ホテルから夕食に出かけようと交差点で信号待ちしていると、向かいのうどんのチェーン店の屋根の上、少し顔が見える桜島から黒い噴煙が音も無く上がって、南へ流されるのが見えた。活動期に入ったとは聞いていたが噴煙を目の辺りにするのは久しぶりであった。道路の端が砂っぽいのは火山灰であろう。

昨日は北風で火山灰は南に流れて鹿児島市内には来ないようだが、東風が吹くと市内に火山灰が降り注ぐ。小じゃれた鹿児島中央駅広場や天文館も灰にくすんで惨めな状態になる。鹿児島はまたしばらく火山灰との戦いが続くのであろう。

昨夜、9年連続の2千本安打にあと2本と迫ったマリナーズのイチロー、日本時間の今朝未明から始まるレンジャーズとのダブルヘッダーで2000本を掛けて出場するというので、ホテルで宵寝して、未明にテレビを点けた。ところが雨で試合開始が延びて、朝起きたころ、4時間雨が止むのを待って朝6時過ぎからダブルヘッダーが始まった。少ないながらも観客もいて、熱心さに感心した。一試合目の第2打席でレフト線へ2ベースを打ち、ついに王手が掛かった。

気になりながら午前中仕事をしていると、イチロー2000本安打の報がどこからと無く伝わってきた。お昼に入った食堂のニュースによれば、イチローはダブルヘッダーの2試合目の第2打席、ショートへの内野安打で、イチローらしく9年連続200本安打を飾った。イチローの試合後のインタビューで、4年連続となった5年前に、すでに夫婦して9年連続の200本安打を夢見ていたというからすごいの一語に尽きる。

イチローは先日の大リーグの2000本安打達成のときも、今日の9年連続200本の新記録も、ほとんどプレッシャーらしきものを感じさせないで、こともなげに達成してしまった。かつてプレッシャーで記録を前に足踏みして観客をやきもきさせたこともあり、その克服を自分の目標に掲げた年もあった。しかし彼はプレッシャーももう過去のものにしてしまったようだ。

そのイチローがこの春、侍ジャパンが優勝したWBCではプレッシャーの余り胃潰瘍になってしまったと聞いた。日の丸を背負うということが如何に大変なことかを、我々に悟らせてくれるエピソードである。野球がチーム競技であること、イチローがそのリーダーであったこと、日本がディフェンディングチャンピオンだったこと、そんなこんなが重なって、より大きな波になりイチローを襲ったのであろう。一方、ピッチャーのリーダーだった松坂大輔は結局この一年を棒に振ってしまった。

ともあれ、記録達成はめでたい。それでもイチローにとってゴールではない。国民栄誉賞をといえば、まだまだ野球人生の途中だからと断るに違いない。
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