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「水濃徃方」の解読 58



(二週間後のアジサイ)

二週間前にシズウェルの窓外 に咲いていたアジサイ、2週間後の昨日、まだ咲いていて、色が少し濃くなっていた。アジサイの花の寿命はどれくらいなのだろう。

寒暖の差がけっこうあって、この数日、長袖を着たり、半袖に変えたり、忙しない。

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「水濃徃方」の解読を続ける。

(じゃ)を追わんとて、正気を損なう事もあるものじゃと、達って留めたが、近年、鉄が高くなって、またこれも勘定物(かんじょうもの)じゃなどゝ、木の(このは)どもが例の小道を云い出して、長床坊が触下(ふれした)に、長持土佐坊と云う者に申し付け、最中(さいちゅう)、艾(もぐさ)を拵(こしら)える。たしなみおらずば、また二月灸すえらりょうかと、笑止(しょうし)なによって、今より灸代百宝丸と名を改め、相弘むべし。この薬服用の人は、その利益(りやく)詳しく云いたけれど、開帳の取持(とりもち)めけば、これを略す。
※ 達って(たって)➜ 無理を押してもしゃにむに物事をするさまをいう。強いて。是非とも。無理に。
※ 木の葉(このは)➜ 軽いもの、小さいものについていう。「木の葉侍」「木の葉仙人」
※ 触下(ふれした)➜ 触頭または触元から、上の法規・命令などを下達される管下の村や寺。
※ 笑止(しょうし)➜ 気の毒に思うこと。また、そのさま。
※ 取持(とりもち)➜ 両者の間に立って仲を取り持つこと。仲立ちをすること。

また経に曰く、身を謹(つつし)み、用を節して、これを以って父母を養う、庶人の孝なりと云えり。用を節するとは、程よく銭を用いて、(ぶん)を越えざる事なれば、奢(おご)りを謹まぬ人は、町人の孝行は欠けますぞ。謹身(みをつつしむ)の字は、畏法(ほうをおそるる)始めの教えに当り、節用は立身(みをたつる)終りの教えに当る。庶人の孝の上なれども、広めて見れば、五等(ごとう)の孝の上へかゝる聖人の御言葉。妙(みょう)ある事、これを見ても知るべし。必しも町人に、四書五経(ししょごきょう)の学問はさせいで叶わぬ、と云う事ではないぞや。庶人の孝の一句を知るが肝要。
※ 分(ぶん)➜ 身分。身の程。分際。
※ 五等(ごとう)➜ 令制における親族の一般的分類。正確にいえば五等親属である。父母を一等とし、それより上に一世ごとに一等を加えて、高祖父母を四等とし、別に妻妾の父母を五等とする。
※ 四書五経(ししょごきょう)➜ 儒教の経書の中で特に重要とされる四書と五経の総称。四書は、大学・中庸・論語・孟子、五経は、易経・書経・詩経・礼記・春秋。
(「水濃徃方」つづく)

読書:「妖気の山路 無言殺剣 5」 鈴木英治 著
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