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「江戸繁昌記 三編」を読む 24

(近所の電線のヒヨドリ)

近所にたくさん居るヒヨドリだが、なかなか警戒心が強いのか、カメラを向けると逃げてしまい、収めることが出来なかったのだが、今日は囀るに懸命で、カメラに気付かないらしく、何とか撮れた。

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「江戸繁昌記 三編」の解読を続ける。「侠客」の続き。

ただ見る。七の友、八の朋(とも)狂顛難に走り、七を遮(さえぎ)り、八を欄(かこ)う。皆な叫ぶ。止め、止め、止め(マテ/\)と。両怒を抱住して、東西拳を割く。然し、彼此奮怒す。眼もまた盲せり。倒れて妄拳を使いて、左右乱打す。打ち得て、左怒り、右怒り、怒々相触れ、更に一大争闘を起す。
※ 狂顛(きょうてん)- 正気を失うこと。気が違うこと。
※ 抱住(ほうじゅう)- だきとめること。
※ 彼此(ひし)- あちらとこちらと。
※ 憤怒(ふんぬ)- ひどく怒ること。ふんど。憤怒。
※ 妄拳(もうけん)- めったやたらな拳(こぶし)。


(いず)れか、早や急を報ず。東西来り援(たす)く。一辺は三頭、一辺は六臂、左は捽(つか)み、右は扭(ねじ)り、また棒、また板、また刃(やいば)、また鈎(かぎ)、雨点々、霰集々混闘一場、天を驚かし、地を閙(さわ)がす。弱き者、仆(たお)れて起ち得られず。強きもまた、骨軟に、気索(ぬ)く。
※ 六臂(ろっぴ)- 六つの腕。
※ 集々(しゅうしゅう)- 集まること。
※ 混闘(こんとう)- 敵味方が互いに入り乱れて戦うこと。混戦。


既にして、好漢特に来り。父老始めて出づ。捽(つかむ)を分かち、扭(ねじる)を開き、仆(たおる)を扶(たす)け、軟を勤む。都俗、勧解する者の呼びて、これを中人と謂う。その彼此(ひし)の間に介して之(いた)り、方便を為すを以ってなり。中人喙(くちばし)を容れ、遂に彼此(ひし)をして、怒りを洗い、仇(あだ)を渝(か)えて、好(よしみ)に化(ばけ)せしむ。日月を期し(晴雨に拘らず)、酒楼を借りて、好会所と為す。(四方に請い、君子貴所とす)
※ 好漢(こうかん)- 好ましい男。気性のさっぱりしたよい男。快男子。
※ 父老(ふろう)- 村の主立った老人のこと。
※ 勧解(かんかい)- 和解。
※ 中人(ちゅうにん)- 仲立ち。仲人。ちゅうじん。
※ 方便(ほうべん)- ある目的を達するための便宜上の手段。
※ 酒楼(しゅろう)- 料理屋。
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