僕が最初に見たオリンピックは1964年の東京大会ですが、さすがに3歳だったので内容を理解して見てはいませんでした。オリンピックとは何かをきちんと把握した上で見た最初の大会は1968年メキシコ大会で、印象に残っているのはマラソンの君原健二の銀メダル、釜本邦茂率いるサッカーの銅メダル、走り幅飛びのビーモンの8m90cmの大ジャンプでした。1970年代の日本での人気競技はバレーボール、体操、マラソン、柔道でした。メダルが狙える競技ばかりです。
その後、いろいろな競技が盛り上がったり、逆にあまり話題にならなくなったりを繰り返しています。体操もロサンゼルス大会あたりまでは強かったものの、その後は徐々にメダルが取れなくなって注目度が下がり、バレーボールも男女とも世界トップクラスの強さを維持できなくなったり、マラソンも男子が弱くなった後に女子マラソンが始まって一時期は人気がありましたが、最近はまたあまり注目されなくなってきました。ずっと変わらずに強い柔道も、金メダルをあまり取れなかった時期がありました。
近年では野球やソフトボールの人気が高いですが、開催されるのはアジアかアメリカでの大会限定なのが残念です。かつての「お家芸」だった体操と水泳はかなり復活しましたし、女子柔道と女子レスリングがメダルを量産しています。さらに前回の東京大会からスケートボードが新たな「お家芸」になりつつあります。東京で金3個を獲得して一気に注目度が上がり、今回のパリでも女子ストリートで金銀独占、男子ストリートでも堀米が連覇を達成しました。恐らくこれからも子どもたちの中から新しい才能がどんどん出てきて、しばらくは日本の10代が勝ち続ける予感がします。
オリンピック好きな日本では、勝つことで注目度が上がり、人気が出て、資金が集まり、競技レベルが上がり、ますます勝てるという好循環が生まれます。逆に負け続けると負の循環が生じます。テニスファンとしては今大会で錦織圭や大坂なおみが出場したにも関わらず1回戦敗退を喫し、しかもそれがあまり話題にもなっていないことが心配です。すでに日本でのテニス人気が落ち続けていることはかなり実感していますが、これ以上拍車がかからないことを願うばかりです。