パリ五輪体操女子の主将である宮田笙子が飲酒と喫煙をしたということで代表を辞退した件。「厳しすぎる」という声が各方面から上がっています。昨今は何かあったらすぐに人を過剰に厳しく責める風潮がある中、今回は逆に随分と世論は優しいなと感じます。だったら高校野球で一部の生徒による不祥事で甲子園を辞退することももっと擁護してやったらどうかと思います。本人と関係なくても「全体責任」と言うのなら、今回は本人の問題ですし、法律違反ですし、体操協会の中でもそういう規定を設けていたわけですから、ルールに照らせば「自己責任」で処分を受けるのは当然だと思います。
とは言え、擁護する側の意見もよくわかります。そもそも飲酒も喫煙も他者を害する行為ではなく、自分を害するからそれを保護するために成年になるまでは禁止されているわけです。宮田は保護されるべき立場だということです。となると、これは宮田にプレッシャーをかけて、そういう行為に至らせてしまった体操協会の管理監督責任こそが問われるわけで、辞めるのは直接には監督やコーチであり、宮田が罰せられるのは筋が違うということになります。
別の見方からすると、現在成年は18歳に引き下げられているのに、なぜか飲酒喫煙賭博などは20歳からとなっていて矛盾を生じています。19歳の宮田を自分で責任を取れる成年だと考えるのなら、飲酒喫煙でそこまで厳しい処罰を受けるのはやはりおかしいと考えらえます。行為と罰則が釣り合っていません。そもそも今でこそ未成年の飲酒喫煙はかなりうるさく言うようになりましたが、平成初期くらいまでは大学生になれば「解禁」が当たり前でした。当時だって違法でしたが、取り締まりなど行われず「お目こぼし」「黙認」というのが暗黙の了解でした。制限速度を10km/hオーバーで走行しているのと同じ類の法律違反です。
と言うことで、どうしても今回の件は宮田を擁護したくなります。何らかの処分を受けるのは仕方ないにしても、帰国させて代表辞退に追い込むのはやり過ぎではないかと思いましたが、ここまで世間に知れ渡ってしまった以上、もう宮田はメンタル的に立ち直れないでしょうから、今さら代表復帰は厳しいことでしょう。一番良かったのは内々に処理して宮田のプレッシャーを取り除き、チームをまとめることだったろうと思いますが、なぜこんなことになってしまったのか。主将が欠けて選手の補充もできず、体操女子はもう戦う前からガタガタです。体操協会は以前からいろいろゴタゴタと内紛が多い組織ですし、内部告発だったというし、何か裏に別の理由があるのではないかと邪推しています。知らんけど。