パリ五輪柔道混合団体決勝戦は「柔道発祥の国」日本と、「柔道人口が一番多い国」フランスとの対戦になりました。東京に続く予想通りの決戦です。日本は階級下ながら金メダルを取った阿部一二三や角田夏美らを起用して臨みました。正直、フランス以外の相手国なら誰を起用しても問題なく勝ち上がることができるので、ここはフランスだけを見据えた選手起用で良かったと思いますが、階級下の選手を起用するという大胆な作戦が果たして功を奏したかどうか。
結果としては3対1から追いつかれて3対3となり、ゴールデンスコア方式の代表戦にもつれこみ、斎藤立がリネールに負けて東京に続く銀メダルに終わりました。この代表戦を決めるデジタルルーレットが「いかさま」「詐欺」とネットで炎上していますが、これはルールだから仕方ありません。フランスにとって最高の形になったことで、開催国だからインチキしたんだという勝手な憶測で言われていますが、何の証拠もないですし、普通に考えてそんなインチキをするとは考えにくいので言いがかりに過ぎません。
それ以前に日本が3対3の代表戦に持ち込んでしまった采配ミスを反省すべきでした。負けた阿部や斎藤は謝罪をしていましたが、そもそも負けたからと言っていちいち国民に謝る必要はないのですが、もし謝るとしたらチームの責任者である監督です。それが団体戦というものです。いずれにしてもまずは実力不足であり、次に果たして選手起用も正しかったのかという反省をすべきでしょう。角田は勝ちましたが阿部は負けました。だからと言って彼らに責任なんかありません。むしろよく怪我せずに戦えたなと思います。ルーレットに文句をつけていたら次への進歩は望めません。
それとは別に、レベルの低い審判による誤審の多さをどう正していくか、そしてどうやら世界の柔道界から日本柔道はやはり嫌われているのではないか、だからいろいろと不利なことが起きるのではないかと思われるので、そのあたりの「外交」戦術がもっと必要でしょう。突き詰めれば前にも書いた「武道」と「競技スポーツ」のせめぎ合いのところがうまく折り合っていないことがもろもろの原因じゃないかと思います。日本柔道にとっては難しい局面です。