町立図書館に指定管理者制度を導入するための図書館条例の一部改正案が、22日の東郷町議会本会議で賛成多数で可決されました。日本共産党と井俣憲治議員(自民系無所属)が反対しました。
今回の条例改正で、図書館法で定められた図書館の業務(図書館奉仕)が、町ではなく、民間(株式会社やNPO法人など)に委ねることが可能となります。条例の可決を受け、東郷町は来年度当初からの図書館への指定管理者導入を目指し、指定管理者の募集を開始しています。
日本共産党を代表して私が行った反対討論の大要を以下に掲載します。
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図書館運営の経験の断絶の恐れ
図書館奉仕を指定管理者に行わせれば、東郷町が蓄積してきた図書館運営の経験を手放すことになる。また指定管理者制度には必ず指定期間があり、指定管理者の交代も想定しなければならないが、そのたびに図書館の運営主体が蓄積してきた経験が断絶されることにつながりかねない。
図書館は郷土資料や行政資料など図書館資料を収集し一般公衆に提供し、図書館職員は図書館資料について十分な知識を持って利用者の相談に応じなければならない。こうした仕事には経験の蓄積と後世への引継ぎが必要だ。仕様書の要求を満たしたプロに任せるから、引継ぎは上手くいくだろうという答弁があったが希望的観測に過ぎない。運営主体の交代を伴う制度の導入には慎重でなければならない。
職員の雇用の確保と待遇について
現在、町立図書館の司書の多くは臨時職員で占められている。臨時職員は、長く勤め経験が住民サービス向上につながっても、待遇改善などにつながらない。そうした方々にも支えられて、今のすばらしい図書館がある。
これをさらに発展させるには、臨時職員ではなく、町の正職員が主体となって運営していくのが本来めざすべき方向だ。そのためには、現に働いている人々の雇用形態も今後、検討すべき課題だ。
指定管理者制度が導入され、民間による運営に移行する場合、現に図書館で働いている司書が、引き続き働けるようにしていかなければならないが、あくまで町から指定管理者へのお願いに過ぎない。待遇改善も指定管理者しだいだ。
また、開館時間の延長や宅配サービスが実施できるかもしれないと説明があったが今でもしようと思えばできることだ。
図書館の経験の蓄積と引継ぎも、雇用の確保も、サービス向上も期待でしかない以上、図書館奉仕への指定管理者の導入は拙速に行うべきではない。