東郷町議会議員 かどはら武志(日本共産党)

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東郷町の「図書館業務」に指定管理者制度を導入する条例案が発表された

2012年05月22日 | 東郷町政

 東郷町議会の6月定例会に、東郷町立図書館の「図書館としての本来の業務」に指定管理者制度を導入するための条例改正が提案されます。

 指定管理者制度とは、公共施設の運営を民間(株式会社、NPOなどいろいろ)に代行させる制度です。従来の管理委託とは異なり、「指定管理者」になった会社や団体が、知事・市町村長に代わって利用許可を出すなど、民間に強い権限が与えられるのが特徴です。

 指定管理者は公募で選ばれるのが原則です。

 なお、指定管理者制度では「指定期間」を設けて、数年ごとに指定管理者の見直しが行われます。具体的には指定期間終了前に公募が行われ、指定管理者が交代することもあります。(東郷町では交代した例はありません)

 東郷町では、いこまい館、総合体育館、町民会館、体育施設、西部保育園、兵庫児童館などに導入されています。いこまい館、総合体育館、町民会館、体育施設は東郷町が100%出資して作られた「東郷町施設サービス株式会社」(町施設管理協会から発展)が指定管理者になっています。
 西部保育園は保育園の運営実績がある社会福祉法人が指定管理者に指定されました。
 兵庫児童館は、隣接する兵庫小学校とともにPFI方式(民間資金を導入する方式)で建設され、建設から管理までを行う企業から受託した会社が指定管理者になっています。

 図書館にもすでに指定管理者制度が導入され、東郷施設サービスが指定管理者になっていますが、指定管理者に委ねられているのは図書館に付属している視聴覚室の利用料金の徴収と施設の管理で、「図書館としての本来の業務」(図書など資料の整備、資料の貸し出し、相談業務、社会教育の事業など)は指定管理の対象外となっています。

 つまり、東郷町立図書館にいるのは、指定管理者である東郷施設サービス(株)の社員ではなく、東郷町の職員(正職員と臨時職員)です。

 これは、東郷町の図書館が町民会館との複合施設であり、町民会館に指定管理者制度を導入するときに、施設の管理を図書館と一括して任せるのが適切だということで、「図書館としての本来の業務」を除いた業務について、図書館に指定管理者制度が導入したという経緯があります。

 それで現在の「東郷町立図書館の設置及び管理に関する条例」では

(指定管理者による管理)

第5条 図書館の管理は、指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。以下同じ。)に行わせるものとする。
(指定管理者が行う業務)
第6条 指定管理者は、次に掲げる業務を行うものとする。
(1) 図書館の利用の許可に関する業務(法第3条※に規定するものを除く。)
(2) 図書館の施設及び設備の維持管理に関する業務
(3) その他館長が定める業務

と定められています。

(※ 図書館法第3条のこと。「図書館奉仕」を定義)

 6月議会に提出される条例改正案では第6条(1)の前に「法第3条各号に規定する業務」が加えられます。

公共施設を民間企業の利益のために利用させる指定管理者制度は、図書館に特に向かない

 指定管理者制度は、自治体の側にとっては人員削減と仕事減らしに利用でき、一方、民間の側にとっては維持管理費に加え利用料収入を得ることによって収益が確保できるという参入の動機があります。

 そのため、自治体が設置した観光施設などを中心に指定管理者制度が導入され、公立病院でも指定管理者制度が進んでいます。

 しかし公立図書館は図書館法第17条で「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。」とされており、指定管理者が利益を得る元である利用料収入を取ることはできません。

 では、指定管理者となった会社その他法人などはどうやって利益を確保するのか。人件費を中心とする経費の節減で、町から受けた維持管理費を浮かすことでしか利益を得ることができないでしょう。

 図書館で働く司書の労働条件の不安定化のおそれがあります。

 また、指定管理期間が終わるたびに指定管理者が変わり、業務の継続性に不安があります。

 「図書館協会」も指定管理者制度は図書館に向かないという見解を出しています。公立図書館の指定管理者制度について」2010年3月1日)

図書館協議会「答申」は指定管理期間の問題はなんとかなるとしているが

 図書館の本来業務への指定管理者制度のお墨付きを与えたのは図書館協議会(図書館長の諮問機関)の答申書です。

 やはり指定期間で区切られることへの懸念を表明していますが、答申書の最後で「図書館の要求水準に沿った提案書を提示してくることや引継ぎについても協定書に盛り込むこと」と「町との連絡調整会を定例的に開催すること」で「業務の継続性は確保できる」としています。

 しかし町の直接の指揮下にある正職員と臨時職員とで運営されている現状と比べると、町と図書館との連携、町教育委員会の意思(さらに言えば住民の意思)の反映は難しくなるのではないでしょうか。

 東郷町立図書館の司書の待遇はどうか。司書は全員臨時職員です。低賃金で働いており、この改善が必要です。しかし臨時職員は短期雇用が原則で、昇給させることは想定外です。司書は臨時的な業務ではありえず、正職員を充てるのが本来です。この原則を曲げて臨時職員を永続的に司書に充てているという現状はたださなければなりません。

 指定管理者制度導入で、現在は東郷町の臨時職員である司書が正社員になる可能性もありますが、パートなど不安定な身分になる可能性もあります。いずれにしても指定管理者の意向によります。町の業務は臨時的なものを除いて正職員で、という原則に立って改善すべきです。

 図書館協議会での指定管理者制度導入についての審議はhttp://www.town.aichi-togo.lg.jp/syogai/documents/h23vol2kaigiroku.pdf をご覧ください。

図書館業務への指定管理者制度導入で教育委員会とコラボした覚えはない

Dsc_0030_2  写真は、上記の説明のために教育委員会事務局から議員たちに配られた資料の一部です。

 「指定管理者制度の検討の経過について」という資料があって、その中で図書館協議会や教育委員会が、指定管理者制度導入を前提とした話し合いや視察をしたことが書かれています。

 その中に「議会文教民生委員」という文字が!

 議会の文教民生常任委員会は昨年に江南市に図書館の指定管理者制度についての研修に行っていますが、推進するために行ったわけではなく、中立的な立場から是非を判断する材料を得るための研修に行ったのです。

 これについては、昨日、教育委員会事務局からの議会への説明会のとき私が指摘し、昨年の文教民生委員長だった議員も「中立的な立場での研修」と説明しました。

 これを受け、議長から、この文書からの当該部分の削除を申し入れることになりました。

コメント (2)
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