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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

金谷治 『管子の研究 中国古代思想史の一面』

2013年12月18日 | 東洋史
 『管子』という書物が、すくなくとも部分、もしかしたら全部、管仲本人の書いたものではなく後世の人間、大きく括って「管子学派」と分類すべき人々によって著された文章の集成であること、しかもその編集方針にも内容にも取り立てて一貫性は認められず、雑然とした編纂物となっていることはわかった。
 『○○先生紀念論文集』みたいなものと考えれば遠からずだろうか。

付記

 『管子』「立政」篇を読んで、その言葉と内容の薄っぺらなことに驚いた。多分に戯画化されているが、いわゆる経営コンサルタント(コンサル屋と貶めて呼ばれるらしいが)がよく使うとされて、しばしば揶揄される話法に、そっくりである。

  國之所以治亂者三,殺戮刑罰,不足用也。國之所以安危者四,城郭險阻,不足守也。國之所以富貧者五,輕稅租,薄賦斂,不足恃也。治國有三本,而安國有四固,而富國有五事,五事五經也。 (「諸子百家中國哲學書電子化計劃」)

 やたらに数立てて理由やら条件やら案を述べ立てる所がである。しかもこの場合、始末の悪いことにそのどれもが具体性に欠け、曖昧で、確かな中身がない。

(岩波書店 1987年7月)