書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

「米、『北に天安艦の謝罪を求めたことはない』」 を読んで

2011年04月21日 | 思考の断片
▲「東亜日報」APRIL 20, 2011 09:19。
 〈http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2011042015098

 マーク・トナー米国務省副報道官が18日(現地時間)、定例会見で、「哨戒艦『天安(チョンアン)』事件に対して北朝鮮が謝罪しなければならないと言ったことはない」と述べた。/天安艦事件と延坪島(ヨンピョンド)砲撃に対する北朝鮮の謝罪が6者協議再開の前提条件なのかという質問に対する返答だった。

 記事でも指摘するように、“米国政府が北朝鮮の謝罪を6者協議再開の前提条件に掲げたことはない”という意味での発言なのだろうが、

 1. 沈没現場の周辺で北朝鮮製の特徴を示す大型魚雷の残骸が発見された。
 2. 天安の沈没に前後して北朝鮮の潜水艦と母艦の活動が確認された。

 というだけの根拠で、「天安艦は北朝鮮による魚雷の攻撃を受けて沈没した」と断定する(→「ウィキペディア」「天安沈没事件」)のは無理だと思うだのが。「北朝鮮製の魚雷によって沈没した」あるいはせいぜい「北朝鮮製の魚雷による何者かの攻撃を受けて沈没した」とまでしか言えまい。
 実行犯が自白した大韓航空機爆破事件や国際社会の目を意識した実行犯に対する公開裁判が行われたラングーン爆破テロ事件でさえ北朝鮮は国家として謝罪していない(それ以前に自己の犯行とは認めていない)のに、このような程度の論拠に基づく批判に屈服するはずがないのでは。