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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

薩日娜 『日中数学界の近代』

2017年07月22日 | 数学
 出版社による紹介

 明末清初の西洋数学の中国流入について、頁は割かれているが、その流れは康煕時代以降中断し、影響は時期的にもまた分野的にも(数学・天文学・暦学)限定されたものだったとしてある。日本のそれについては、知らなかったが、1722(享保5)年の禁書令緩和以前に『幾何原本』が輸入されていた由。しかし、「和算には証明するという観点がなかったために」「その論ずるところは極めて簡単な事実のみで、一見して分りきっていると考え」(藤原松三郎説の引用、24頁。以下も同じ)、おそらくは「我邦がより進歩していると誤認した結果」、当時の日本の数学者はこれを重視しなかったとしてある。

(臨川書店 2016年12月)