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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

橋本敬造 「梅文鼎の数学研究」

2013年11月26日 | 自然科学
 『東方学報』44、1973年2月、同誌233-279頁。
 梅文鼎がおのれの数学を「実学」と称する時、それは抽象的な普遍性を持ちつつ客観的な実在でもある「数」というものを基にすると同時に、暦学・収税・財政・軍事など、実際的に「経世の用」に立つ学問であるという二重の意味においてであった。

 なお同論文で知ったこと。明清時代の文言文において、西洋数学およびそれに触発されて再認識・分析された中国数学、そしてその結果、当時の学者個々によって中西いずれを尊しとなすかでその比重に偏りがあるものの、とにかく統一物として理解された数学という学問分野一般を「度数之学」と称するのは、度=量法=測量=幾何学、数=算法=計算=算術の、「数学」概念の二元理解から来ている由。