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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

佐藤豊 「梁啓超と功利主義 加藤弘之『道徳法律進化の理』に関連して」

2013年09月08日 | 東洋史
 『中国 社会と文化』13、1998年6月、154-170頁。

 ベンサムの功利主義をその漢訳語(楽利主義)とともに中国に最初に紹介したのは梁啓超だが、その鼓吹者ともなった梁の功利主義思想は、『人権新説』以降の加藤弘之の言説に影響をうけたものだという事実のほか、その功利主義思想は、個人を基礎とするものではなく集団(国家・国民)全体のそれとするものであった点を指摘する。

田浩(Hoyt Cleveland Tilman)著 姜長蘇訳 『功利主義儒家 陳亮対朱熹的挑戦』

2013年09月08日 | 東洋史
 原書名 Ch'en Liang's Challenge to Chu Hsi, Harvard University Press, Cambridge (Massachusetts) and London, 1982.

 ベンサムやミルの功利主義は個人がベースで、儒家の、いや著者が挙げる陳亮(やその反対者であるところの朱熹)の"功利主義”は、集団が単位だから、根本が違う。誰のための「利」かが違うところで、概念として既に別のものだろう。比較どころか比喩としても不適当ではないかと思える。

(南京 江蘇人民出版社 1997年7月)