前半50冊の推薦文も良いが、後半部の語り下ろしをもとにした原稿が、いつも以上に熱が入っていて素晴らしい。児童文学の紹介というこの本のテーマを超え、私たちの住む世界の「終わりの始まり」を説き、そのなかでの自分の映画作りのあり方、そしてこれからの子供たち、世代へ託す思いが、「この子たちが生まれてきたのを無駄だと言いたくない」、直球で語られる。この人の常のように、しばらくすると正反対のことを言い出しそうな危うさをもつ“その情況下かぎりの論理”というところがない。
(岩波書店 2011年10月)
(岩波書店 2011年10月)