「主観的な歴史観の表明」(安良城盛昭氏の批判、「あとがき」)でどこが悪いと開き直られては困る。せめて「処分」の当時における字義を証拠つきで示す所から始めてもらいたかった。なぜここで「処分」の言葉が使われたのかの説明もともに。それに、旧慣温存政策は、中央政府が望んで始めたものではなく、沖縄の既得権層(士族)が求めた結果だった。士族たちは自分たちの特権擁護の立場から琉球処分に反対抵抗し、それと同じ次元で、旧慣(従来の税制・地方制度など)の変更にも反対抵抗した。それは著者も認めている。それを、前者は否定しながら後者は肯定するというのでは、これも安良城氏の評したという「『科学的=合理的』な『首尾一貫性を欠き』」と言われても仕方がないのではないか。
(沖縄タイムス 1978年7月)
(沖縄タイムス 1978年7月)