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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

小島祐馬 「中国文字の訓詁に於ける矛盾の統一」

2012年10月08日 | 東洋史
 反訓のことについての解釈。一文字のなかに、なぜ相反する二つの意味が共存するのかという問題についての論考。
 「古代中国人特有の一種の弁証法」などとという難しいことを云わずとも、ある語が主客を含んだ一つの動作、あるいは全体としての状況を表す時に、場合によって一見正反対の語義が示されると考えればいいのではないか。たとえば、この論文中では引かれていないが、商取引をするという根本義をもつ「市」という漢字は、ときに「うる(売る)」と訓ぜられ、ときに「かう(買う)」となるように。

(『古代中国研究』平凡社、1988年11月、pp. 133-148。もと『朝永博士還暦記念哲学論文集』岩波書店、1941年4月所収)

西里喜行 「咸豊・同治期(幕末維新期)の中琉日關係再考 尚泰册封問題とその周邊」

2012年10月08日 | 東洋史
 琉球は、対清朝貢費用だけでなく、幕府への参府使節(謝恩使・慶賀使)費用までも、薩摩藩から借りていた由。
 なお明治5(1872)の第一次琉球処分で、琉球王尚泰が封ぜられた称号は、国王ではなく藩王であったことにあらためて気づかされる。琉球国は令制国扱いだったというのだが、それはいつからいつまでか?この時に終わったのか?

(『東洋史研究』64-4, 2006.3, pp. 382-72)