書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

森枝卓士 『カレーライスと日本人』

2012年07月09日 | 料理
 『美味しんぼ』第24巻「カレー勝負」でこの本と著者が出てくる。それで興味を持った。
 カレーはいまや日本人の老若男女を問わず皆に好かれるいわば国民食となっているという見方は、田村由美『7seeds』でも踏襲されている(第20巻、「夕食に注食ったメニューの中で一番人気の献立は?」)。これが種本かなと、雑学・読書家らしい田村女史の発想の拠って来たるところを勝手に想像したりした。

(講談社 1989年2月)

『「正義、正義を」 中国 2009年7月、新疆ウイグル自治区での抗議行動』

2012年07月09日 | 現代史
 (http://www.amnesty.or.jp/library/pdf/mydownloads/JUSTICE_JUSTICE_ASA170272010.pdf

 状況が状況だから仕方がないのだが、証言者の名が仮名になっているのは、厳しく言えば証拠にならないということである。
 しかしくり返すがそれは仕方ないとして、中国政府に「国際法」や「国際基準」を盾に状況の改善を迫る(アムネスティの言葉では「勧告」する)のは、効果としてどうなのだろう。理念としてはわかる。しかし中国には中国の国情(に合わせた)法や基準があると返されれば。それまでではないか。対話もそこで行き詰まってしまう。それが中国の国情にいかに不利益あるいは損害を与えるかを具体的に指摘して説得するほうがよいのではなかろうか。

(翻訳・監修アムネスティ・インターナショナル日本中国チーム アムネスティ・インターナショナル 2010年)

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 15 「究極vs至高」

2012年07月09日 | コミック
 山岡士郎と海原雄山の両メニュー対決開始の巻。雄山が「至高のメニュー」を始めた意図がよく分かる。おのれに反撥し頻りに挑んでくる士郎に正面から応じ鍛えるためだった。しかしそれは慈父の愛というような暖かいものではなく、「倒せるものなら倒してみろ」、そうしたら一人前の男として認めてやるという厳しいものである。そういう点では103巻の、今後は「虫けら同然」から「少し対等」に扱うだけ、という雄山の科白はまっすぐに筋が通っている。後付の設定や説明は要らず、この巻から得られる情報からのみで、それは明らかだ。

(小学館 1988年7月初版第1刷 2005年9月第36刷)