書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

小林よしのり 『新ゴーマニズム宣言SPECIAL  沖縄論』

2011年06月12日 | コミック
 これほど描法を“濃く”しなくても、著者の主張は読者にちゃんと伝わるだろうにと思った。それに賛同するか反対するかは別としてである。しかしこの絵ではそれ以前に感情的・生理的に反撥してしまう。少なくとも私はそうなった。

(小学館 2005年6月)

トウェン P. T. 著 青木由希子企画・撮影 『ベトナムの料理とデザート』

2011年06月12日 | その他
 ハノイでは旧市街・36街の真ン中にある、伝統家屋(町屋)を改装したホテルに泊まっていた。ホテルのパンフレットを見ると、開業時9室だったのが(そりゃ最高3階、間口3メートルの伝統家屋を二軒潰して改装したらそのくらいがせいぜいだろう)、現在45室というのでこわくなった。どんな違法建築だ。
 だが外から側面を眺めると、そうそう粗雑な造りはしていないようなので安心して、毎朝、最上階8階のレストランで早朝のハノイの景色を楽しんだ(附近でもっとも高い建物だったので素晴らしい眺めだった)。そのホテルは、内装はすばらしいコロニアルスタイルである。本当に素晴らしかった。シンガポールのラッフルズ・ホテルを想い出させるほどといえば、少しは伝わるだろうか。従業員のマナーとサービスも、私にいわせれば満点といいたいほど、神経が行き届いていた。
 ええと、私は何を書いているのかな。いまある翻訳の仕事をとにかく今日の分は終えて(これがまた難しくて神経切れそう)、ストレス発散に夜中にジョギングし、シャワー浴びて汗を流したあと、ベトナムの焼酎ネプ・モイでしたたかに酔っているところである。そうだ、ホテルのドアマンと仲良くなって、地元の人間がよく通うベトナム料理レストランを教えてもらって、夜そこへ出かけたことを書こうとしているのであった。
 そしてそこで私は、この本で紹介されている料理やデザートを実際に賞味したのである。
 そのレストランは、広い敷地内に、体裁としてはわざと屋台村みたいにしてある所だった。二日続けて行ったが、どちらも盛況だった。その気楽さは、客を無用に緊張させないためのレストラン側の気くばり、演出であることはすぐわかった。静かに食事を楽しみたい客は、敷地中央に建てられた、これもコロニアルスタイルの建物の中のしつらえれられたテーブルに座ればよいのである。ただちに気に入った。
 最初の日、偶々となりあわせになった二人組が、ホーチミンシティからの出張独身ビジネスマンで、英語を話すので会話が盛り上がったのはよいが、よからぬ遊びに誘われた。ご好意に感謝しつつ鄭重にお断りした。それはさておき、彼らのおすすめの料理で、嘗してみたのがバンセオ(ベトナム風お好み焼き・78頁)とデザートのチェー・クァ・ハン(フルーツとタピオカのココナッツミルク風味パフェ・49頁)である。バ(イ)ンセオは西村ミツル/かわすみひろし『大使閣下の料理人』で名前と一緒に大体どんなものかは知っていたが、実際に食してみると絶品だった。美味し美味し。チェー・クァ・ハンも同じく。

(PARCO 2001年8月)