書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

岡崎嘉平太 『中国問題への道』

2008年09月13日 | 日本史
 中国の言うことには逆らうな、原則的に賛成できる内容なら細部で異論があってもとりあえず合意してしまえという教え。「総論賛成各論反対」の日本の感覚で、中国人と「原則合意」すると、あとでにっちもさっちも行かなくなることをこの人は知らなかったのか、それともそれを見越したうえでの、脱亜入米から脱亜入中(孤立し、中国に従属する日本)を目指す、親中派の戦略的なレトリックだったのか。

(春秋社 1971年4月第2刷)

西園寺公一 『北京十二年』

2008年09月13日 | 日本史
 毛沢東主席万歳、林彪国防部長万歳、江青夫人万歳、文化大革命万歳、裸足の医者万歳。大躍進は大成功だった、それを阻害した劉少奇は打倒されて当然だ、紅衛兵の行き過ぎけっこう、中国を知るために日本人は毛沢東思想を学べ。
 文化大革命が“勝利のうちに終結”し、四人組が逮捕されて裁判にかけられると、この人はどうしたか。江青については「私はだまされていた」と、それこそ手のひらを返すように散々に批判するというやり方で、おのれの過去の言動を弁護・正当化した。だがその他についてはそれずらもせず、あたかも何事もなかったかのような、まるきりの無視を決め込んだ。
 その厚顔さには、『パタリロ』に登場する「はてどなたでしたかな」の詐欺師でさえ、三舎を避けるであろう。

(朝日新聞社 1970年6月)

岡田晃 『水鳥外交秘話 ある外交官の証言』

2008年09月13日 | 日本史
 ▲「47ニュース」「内部告発あったのに…“汚染米”は農水省の失態
  
 「内部報告あったのに…“ニクソン・ショック”は外務省の失態」という話。
 報告(情報・分析・予測)を上げつづけた当時の香港総領事の証言。内容がすべて本当なら、実に興味深い。

(中央公論社 1983年8月)