書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

山室建徳編 『日本の時代史』 25 「大日本帝国の崩壊」

2005年12月13日 | 日本史
 中国社会科学院日本研究所の日本研究者の学問(知識ではない)レベルは、おそらく昭和40年代の日本の学界のそれ。近現代史なら、昭和30年代、『昭和史』論争以前の水準。
 ――という感想を持つ巻。
 あちらの日本専門家と言われている人びと(大メディアの論説委員も含めて)に、日本について何か発言するのはこの巻の内容を咀嚼してからにしてもらいたいと切に望む。

 参考:
 ・本欄2004年11月7日、高井潔司『「対日新思考」論議の批判的検討』
 ・「日本論壇」2005年12月11日、張三「国内日本問題“専家”第一次正式登台亮相宣揚日本威脅論」
→http://japanforum.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/topic.cgi?forum=1&topic=803&show=0

 同様の希望はこちら(日本)の論客たちにもある。自国の歴史の最新の研究成果ぐらい、ちゃんと押さえておいてほしい。ただし「騙されていた一般大衆」と「少数の軍国主義者」から「アジアの解放」まで、従来の論が依拠する枠組みはほぼすべて使えなくなる。

(吉川弘文館 2004年6月)