くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「図書館ホスピタル」三萩せんや

2016-11-10 20:57:47 | 文芸・エンターテイメント
 三萩せんやさん、宮城県出身だそうです。
 東京農大卒業で大学図書館で司書をされていだそうです。農大で司書資格とれるのか? と夫に聞いてみましたが、「学芸員資格は取れたはず」と言われました。
 まぁいいや。「図書館ホスピタル」(河出書房新社)です。
 図書館の話と聞くと、借りずにはいられない。
 
 主人公の悦子は、元気いっぱいの柔道部員でしたが、面接がうまくいかないまま就職浪人に。叔母に勧められて、埼玉の図書館に勤めることになります。
 「しらはね図書館」には、のんびりした館長さん、ベテランの早坂さん、綺麗な花田さん、若手の五十嵐さん、そして、いつも寝不足気味の男性・凪原さんが働いています。
 本に興味のない悦子でしたが、利用者さんからはよく声をかけられるようになりました。ここは「図書館ホスピタル」とも呼ばれていて、なんとなく元気のない方も、リフレッシュして帰っていくと評判の図書館だったのです。
 自分ももっと本のことを知って、図書館の役に立ちたい。
 悦子は、早坂さんにすすめられた「サラダ記念日」を手に取ります。
 それから、「星の王子さま」や「西の魔女が死んだ」などを読み、本の世界を広げていくのです。
 凪原さんの秘密や、早坂さんがどういう立場なのか、亡くなった院長の返しそびれた本など、エピソードもおもしろい。
 ところで、わたしは悦子の読んだこの三冊、実はちゃんと読んだことがありません。
 流し読みや、感想文なら読んでいるのですが、なんか読んだ気になってしまったというか……。
 先日ラジオで、アンケートをとったという「実際読んでいないに、読んだつもりになっている本」の結果を聞きました。「赤毛のアン」「もしドラ」「吾輩は猫である」だそうです。
 わたしは「西の魔女」「夏の庭」「星の王子さま」かな……。
 ところで、カズオ・イシグロなら請求番号は914ではないと思うのですが、いかがでしょうか……

「不登校は99%解決する」森田直樹

2016-11-06 20:11:51 | 社会科学・教育
 不登校の問題は、学校関係者にはとても大きいことだと思います。
 いろいろあるけど、わたしも勉強のために購入しました。森田直樹「不登校は1日3分の働きかけで99%解決する」(リーブル出版)。
 ネットで発見したのですが。著者は香川県でスクールカウンセラーをされている方で、どうもリーブル出版というのも、高知の地方出版社さんらしい? のです。
 でも、レビューをみるとすごい高評価。とにかく、これは読んでみなくては!

 非常に納得致しました。
 カウンセラーさんと話していると、「今はエネルギーをためる時期かもしれませんね」と言われることがあるのですが、この本では「自信の水」という表現をされています。
 毎日三つ以上、子どものよい点を伝えていく。そのとき、自分(親)の嬉しい気持ちも加えていくのだそうです。「世界一幸せなお母さんの気持ち」が大切。この声がけを「コンプリメント」といいます。
 そして、観察記録をつける。ノートを準備して、声がけの内容と子どもの反応や変容などを書いていくうちに、新しいアイデアが浮かんだり、うまくいく声がけの方向性が見えたりするのだとか。
 不登校の子どもたちは、どんなプロセスで学校に戻れるのか。
 それには、自分の力で不登校を克服したという自信が必要だということがよくわかりました。
 無理に連れて行ったり、薬の力を借りたりしても、その子自身が解決した自覚がなければ繰り返してしまうもの。
 原因を探しても意味はない、理由をみつけるよりも心の栄養をつけていく方が大切だというお話にも励まされました。
 何が理由か聞いても答えられない子、確かに多くなっているように思います。聞く度に理由が次々変わる場合もあるし……。
 コンプリメントが軌道に乗ったら、電子中毒から引き離すことも大切だそうです。
 たいへん参考になりました。子どもたちが自信の水を自分で作ることができるようになることが、彼らの自立につながっていくのだと思いました。
 それから、コンプリメントは不登校生徒だけに必要なものではないと感じます。教室や自宅でも意識してみたいと思います。

「空への助走」壁井ユカコ

2016-11-05 22:04:05 | 文芸・エンターテイメント
 先日、仙台に出張だったので高速バスで行こうと近くの停留所にいたのです。
 しかし、バスがこない。
 十分後にきた路線バスの運転手さんに聞いたら、廃止になったんですって!
 がーん……仕方がないので、車で行きました。結構ぎりぎりの時間でした。はーっ、間に合って良かった。
 帰りに本屋で発見したのが、シリーズ三冊め、「空への助走 福蜂工業高校運動部」(集英社)です。
 9月発売だったのね……。今まで覗いた本屋にはなぜなかったのか。でもまあ、おもしろかったのでいいことにします。
 
 舞台は「2.34 second season」の前年かな。三村統が二年生に進級する春休みです。
 彼をライバルとして練習に励んできた高杉がセンターにコンバートするまでを描いた「強者の同盟」。
 他校の陸上部を舞台にした「空への助走」。
 柔道部の主将長谷の葛藤と、釣り部として行動する平政の一週間「途中下車の海」。
 そして、三年の春の花見「桜のエール」で幕を閉じます。

 「空への助走」がいちばん好きです。
 ヘタレの二年生柳町が突然の奮起。卒業した荒島先輩の記録を自分も跳びたいというのです。これまでなんとかやる気を持たせようとしてきた前主将の涼佳は、彼からの急な告白を受けて戸惑います。涼佳は荒島先輩が好きだったので。
 ラストシーンがすごくいいんですよ。

 それから、バレー部の面々もやっぱりいいですよね。
 今回、顧問の先生が高杉に言った、センターは「壁」だという言葉が胸に残りました。チームを守るための盾。かっこいい。エースは槍だからこそ、センターががっちり阻まなくてはならないということでしょうか。
 わたしはセンタープレーヤーが好きなんですよ。セッターとのコンビバレーが。確かに、テレビで見ていると速攻が減っていると思ってはいました。エース主体のフォーメーションになっているんですね。
 天井サーブを打つ三村の「ネコタジキデン」はツボにはまってしまいましたよ!
 ところで、福蜂工業のモデルは福井工大附属ですよね。ここは私立だと思うので、福蜂工業が公立と知ってちょっとびっくり。
 
 部活に情熱をかける姿、すてきですね。
 近くで見ているとわくわくします。