織田信長。
軍事や政治の天才。....かな?と
桶狭間の迂回奇襲作戦や長篠の鉄砲三千挺三段撃ちは
史実に反する、どこにもそんな記録はない、という
ことを書かれた本があります。
我々が教科書などで学んだのと、どちらが本当か
興味がある方はご一読を。
藤本正行著『信長の戦争』講談社学術文庫
織田信長のどこが優れていたか、
どういう欠点があったか、が分りますし
後世の日本軍にまでつながる問題でもあったことに
改めて深刻な思いを抱きます。
○
織田信長に近く仕えた太田牛一という人が書き残した
『信長公記』を大元にすえた研究です。
この本そのものの資料としての扱いにくさを語り
長所も示した上での記述ですから信用度が高い。
世間に良く知られる「天才織田信長」のあれこれは
江戸時代になっての物語であると指摘します。
物語りとは小瀬甫庵の『信長記』などです。
この説明は説得力がありますね。
明治になって日本軍の大本営が編纂した『日本戦史』が
十分なテキストクリティークをしないで江戸時代の
物語を採用しちゃったものだから、のちの学者も
それを孫引きして(常識)が出来上がっちゃった。
軍事のプロがまとめたものですから信用しますよね。
織田信長は幸運にも篠つく雨のお蔭で今川軍のすぐ傍を
気づかれずに通り抜け今川本隊を急襲できたとか
長篠の合戦で千挺ずつの一斉射撃を三段構えで連射を
繰り返し武田勝頼を大敗させた、とか。
ホントウ?
言われてみればかなり不自然な(歴史)なのです。
いや長篠は鉄砲で勝敗は決まっているのですよ、
千挺ずつ三段での一斉射撃がありうるか
そういう記録が残っているか、なのです。
信長のすごさはそういう奇を衒うものとは違い
現代に通じる合理的なところにあるようです。
○
『信長公記』をどれほど信頼するか、の問題はあります。
学者によれば意見がいろいろありそう。
それより著者が有名大学の先生でないためなかなか世間が
耳を傾けないということもありそうです。
東北の旧石器遺跡を捏造したFS氏は学会をリードして
いました。
それであんな手口が可能になったのです。
いったんそうなるとオオウソに学者でも引っかかる
~ちゅーか、惰性なんですね。
それが逆に働けば、たとえおかしくても(常識)は
なかなか変わらないものです。
学者も群れて行動しますから。
○
大本営の『日本戦史』を学んだエリート参謀たちは
桶狭間の迂回急襲を強く意識していたようです。
特に日米戦では日本の物量が劣勢だったから
一発逆転を狙うのですね。
そうして大敗を繰り返してしまった。
辻正信のムチャクチャの数々などは典型例でしょう。
(ノモンハン、ポートモレスビー、ガダルカナル
拉盂玉砕・・・)
その教科書たる「桶狭間の奇襲」が間違いであった=
根拠は江戸時代の物語でしかなかったとしたら
多くの兵士の死は浮かばれないでしょう。
(追記)
本年3/30に少し書きました井伏鱒二『徴用中のこと』
にも辻正信のことに触れた部分があります。
かなり危ない人柄が浮かんできますね。
軍事や政治の天才。....かな?と
桶狭間の迂回奇襲作戦や長篠の鉄砲三千挺三段撃ちは
史実に反する、どこにもそんな記録はない、という
ことを書かれた本があります。
我々が教科書などで学んだのと、どちらが本当か
興味がある方はご一読を。
藤本正行著『信長の戦争』講談社学術文庫
織田信長のどこが優れていたか、
どういう欠点があったか、が分りますし
後世の日本軍にまでつながる問題でもあったことに
改めて深刻な思いを抱きます。
○
織田信長に近く仕えた太田牛一という人が書き残した
『信長公記』を大元にすえた研究です。
この本そのものの資料としての扱いにくさを語り
長所も示した上での記述ですから信用度が高い。
世間に良く知られる「天才織田信長」のあれこれは
江戸時代になっての物語であると指摘します。
物語りとは小瀬甫庵の『信長記』などです。
この説明は説得力がありますね。
明治になって日本軍の大本営が編纂した『日本戦史』が
十分なテキストクリティークをしないで江戸時代の
物語を採用しちゃったものだから、のちの学者も
それを孫引きして(常識)が出来上がっちゃった。
軍事のプロがまとめたものですから信用しますよね。
織田信長は幸運にも篠つく雨のお蔭で今川軍のすぐ傍を
気づかれずに通り抜け今川本隊を急襲できたとか
長篠の合戦で千挺ずつの一斉射撃を三段構えで連射を
繰り返し武田勝頼を大敗させた、とか。
ホントウ?
言われてみればかなり不自然な(歴史)なのです。
いや長篠は鉄砲で勝敗は決まっているのですよ、
千挺ずつ三段での一斉射撃がありうるか
そういう記録が残っているか、なのです。
信長のすごさはそういう奇を衒うものとは違い
現代に通じる合理的なところにあるようです。
○
『信長公記』をどれほど信頼するか、の問題はあります。
学者によれば意見がいろいろありそう。
それより著者が有名大学の先生でないためなかなか世間が
耳を傾けないということもありそうです。
東北の旧石器遺跡を捏造したFS氏は学会をリードして
いました。
それであんな手口が可能になったのです。
いったんそうなるとオオウソに学者でも引っかかる
~ちゅーか、惰性なんですね。
それが逆に働けば、たとえおかしくても(常識)は
なかなか変わらないものです。
学者も群れて行動しますから。
○
大本営の『日本戦史』を学んだエリート参謀たちは
桶狭間の迂回急襲を強く意識していたようです。
特に日米戦では日本の物量が劣勢だったから
一発逆転を狙うのですね。
そうして大敗を繰り返してしまった。
辻正信のムチャクチャの数々などは典型例でしょう。
(ノモンハン、ポートモレスビー、ガダルカナル
拉盂玉砕・・・)
その教科書たる「桶狭間の奇襲」が間違いであった=
根拠は江戸時代の物語でしかなかったとしたら
多くの兵士の死は浮かばれないでしょう。
(追記)
本年3/30に少し書きました井伏鱒二『徴用中のこと』
にも辻正信のことに触れた部分があります。
かなり危ない人柄が浮かんできますね。