映画『精神』

2009-09-07 16:02:20 | 塾あれこれ
映画『精神』のチラシにはこうあります。

『これまでタブーとされてきた精神科にカメラをいれ、
 「こころの病」と向き合う人々がおりなす悲喜こも
 ごもをモザイク一切なしで鮮烈に描いた・・』

また映画監督の河瀬直美さんは
「精神病者と健常者の境がわからない」

想田監督の『選挙』につぐ第二作、必見ですね。


昨6日に見てきました。
第1回上映が1時半~
横川シネマは小さい所ですが私たちが着いたときには
一見して8割がたお客様がおられたようです。
意外に多かった。

そして見終わった今の感想は、必見。

もっともっと、できれば日本人のすべてに
見てもらいたいですね。


河瀬さんも言っておられるように精神科の患者さんは
普通の人間と違いはないということがよく分ります。

誰もがインフルエンザに罹る恐れがあるように
誰もが病気になる危険性を持っているようです。

ただ、ウイルスに触れても体が抵抗するように
精神の病も普通は重篤にならない段階で
(落ち込んだ)くらいで済むのですね。

たまたま病気が進めば、医者にかかり薬を飲み
ただそれだけのことです。


若い頃(米国では精神科にかかる人が多い、
競争社会だから)という話を聞きました。
そのころは対岸の火事のようなイメージでした。

いま日本も自己責任とか競争社会になり精神の病に
なる人が増えているのでしょう。

けれども、従来から「精神病」というと何やら怖ろしい
ものという「偏見」があります。
犯罪と関係づけられたりもします。

正確なところを知らなかった昔の人々のイメージでは
理解を越えた世界だったようです。

そのマイナスの文化が現在の子供たちにも反映して
いて、精神科にかかることを極端に嫌います。

これが多くの日本人にこの映画も見てもらい偏見を
少なくしてほしい、というユエンです。

奥田英朗の小説に出てくる伊良部一郎先生のような医者が
日本に増えると我々の目も変わるかもね(←冗談)


前回よりカメラが良くなったか、撮影する場も
限られていたせいか、画面は見やすくなりました。

ただ、患者さんの目線がカメラ目線と異なったものに
なるシーンが多く、やむをえないのでしょうが
多少気になりました。

劇的な処理など演出一切を排する姿勢は前回と同じ
でしたが、インタビューが今回は多く入っています。

これも内容からそうなるのでしょうね。

新藤兼人の『溝口健二』みたいに、机の向こうに
話す人がいて延々と写す、ような映画をイメージして
行ったのですが、大違いでした。

ただだだ(ふーん、むー、にやり)と映画を受身のまま
見続けてしまいましたね。

忘れられないシーンも数多くあります。
たぶんずっと先まで忘れられないでしょう。