魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ムギツク

2024年04月13日 23時41分08秒 | 魚介類飼育(淡水)

昨年の9月に福岡県の河川でムギツクを採集して飼育している。ムギツクはコイ科ムギツク属で、日本産のムギツク属唯一の種である。分布域は日本と朝鮮半島で、タイプ産地は北朝鮮のピョクトン郡とのことである。朝鮮半島といえばほかにもクロムギツクや「シュリ」ことヤガタムギツクなどがおり、特に後者は観賞魚として日本にも入ってきていた。このようにムギツクに近いとされる魚は朝鮮半島には何種かいるのだが、日本に生息するのはこのムギツクだけである。

ムギツクの仲間は朝鮮半島におおいせいか、異国の魚らしいルックスをしている。朝鮮半島の近縁種に近いが、日本の熱帯魚愛好家ならば「サイアミーズフライングフォックス」を思い浮かべる方も多いだろう。しかしサイアミーズフライングフォックスとムギツクとは分類学的にはやや離れているということである。ムギツクも従来はヒガイ亜科とされていたが、現在はカマツカ亜科と関係があるとされる。

飼育開始当初はアリアケギバチと飼育したため、アリアケギバチに尾鰭を少し咬まれてしまっていた。現在は治っているが、ギバチの類はほかの魚をかむ習性があるようで混泳は慎重にする必要がある。

こちらはムギツクの幼魚。6月ごろに浅い水草がある場所を掬うと多数獲れた。丈夫で飼育はしやすい。ヒガイ属(ほかの魚をつつくくせあり)と比べるとおとなしく、混泳もさせられる。分布域は西日本の各地の河川で、絶滅の危険にあるとはされていないが、九州北部では水草のある場所が少なくなっており、個体数は減少している。一方関東でも本種の姿を見るようになったが、アユの種苗に混ざって分布を広げたと考えられる。これもアユの放流の負の側面のひとつである。

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夢がかなった採集

2024年04月11日 18時29分59秒 | 魚介類採集(淡水・汽水)

ついに長年の夢をかなえることができた。HN「ふじさん」さんに栃木県某所のフィールドに釣れていってもらったのであるが、ここで色々な淡水魚に出会うことができたのであった。

タナゴ

コイ目コイ科タナゴ亜科タナゴ属。通称「マタナゴ」と呼ばれる関東の特産種であるが、この標準和名はウミタナゴ科の魚である、ウミタナゴのいち亜種の標準和名として使用されているため、本種を「マタナゴ」と呼ぶのはあまり正しいといえない(ただし、口頭では「マタナゴ」と言ってしまうことがある)。私が採集した個体は体が青緑色に輝き吻部が白いという、婚姻色と目立つ追星のでた雄の個体である。しかしこの腹部の黒い様子も見てほしい!日本国内のタナゴ属の魚はタビラ(5亜種をふくむ)・ゼニタナゴ・イチモンジタナゴ・カネヒラが知られているのだが、カネヒラ以外はこれまで採集してこれなかった。これはカネヒラ以外は絶滅危惧種であり場所も限定的、九州歴が長かったのでカネヒラ以外のタナゴ属には縁がなかったのである(セボシタビラ・イチモンジタナゴは採集経験なし)。今回はこの雄のほか雌も見られたが、採集出来たのはこの個体だけであった。

ギバチ

こちらも初採集種のギギ科の淡水魚。九州でアリアケギバチを採集していたのだが、それ以外に採集した経験がなかったギバチ。今回はついに出会うことができた。多数入ったが3個体のみお持ち帰り。私も2匹採集できてうれしい。写真は家に帰ってから撮影したもの。九州のものよりもずんぐりした感じで、採集時は茶色が強く、あまり黄色斑がないように感じた。アリアケギバチとは完全に別物であるのだが、従来は同種とされていた。

カワムツ

今回タナゴ以外で唯一採集できたコイの仲間。オイカワが一切見られなかったのは驚きだった。東日本ということで「はや」といえばアブラハヤなのだが、そのアブラハヤさえ1匹も見ることはできなかった。このアブラハヤも私にはなかなか縁がなかった魚で、静岡県に引っ越すまで採集することはできなかった。なおアブラハヤの飼育はいまだに経験がない。このカワムツは外来魚でありそれによりアブラハヤのニッチに侵入、アブラハヤの生存を脅かすなんてことがなければよいのだが。もともとは餌用にお持ち帰りしたのだが、残念ながら食べてくれなかった。

魚の種類は多くはなかった(もともと東日本の純淡水魚の種類はあまり多くはない)が、東日本らしい魚類が色々と採集することができて喜ばしい。とくにギバチは関東地方以北の河川に産するもので、2005年にアリアケギバチを初めて採集して以降、本種を採集することは長年の夢・目標であったのだが、今回ついにかなった。この夢をかなえさせてもらったHN「ふじさん」さん、ありがとうございました。

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タカベ

2024年04月08日 23時58分22秒 | 魚紹介

今回も以前紹介していたと思っていたが、実は紹介していなかったというもの。タカベ科・タカベ属のタカベ。

タカベは本州~九州沿岸、海外では朝鮮半島沿岸に生息している。沖縄では見られないようだが、小笠原諸島では見られる。また伊豆諸島では多い。体が青く、体側から尾鰭にかけて黄色いさまはフエダイ科のウメイロであったり、フエダイ科に近縁なタカサゴ科のウメイロモドキなどによく似ている。この個体は死後撮影したもので、若干色が落ちているがそれでも生鮮時の美しさの名残も少しは見えるだろう。南半球に見られるLabracoglossa nitidaという種はタカベよりも黄色の範囲がひろく、よりウメイロやウメイロモドキに似ている。タカベ属にはタカベとL. nitidaの2種が知られている。どちらも群れで動物プランクトンを捕食しており、ウメイロモドキと似た食性をもつといえるだろう。

タカベの水中写真。やや濁って見えるのは大阪府から来たという釣り人が餌を撒いていたからである。プランクトンのような細かい餌を食べるタカベには撒き餌はごちそうである。体側の細い縦線は水中でも目立つようだ。伊豆諸島などではこのタカベを追い込み網などで漁獲したりしており、食用として重要とされている。塩焼きなどにして食べると結構おいしいらしい。写真の下、横縞の魚はお馴染みのオヤビッチャ。高知県沿岸ではオヤビッチャはいつでもいる。タカベも数多くみられるが、毎日見られるとは限らない。

本種を含むタカベ科は研究者によっては、メジナ属などとともにイスズミ科のなかに含めたりしていたが、現在は独立したタカベ科とする考えが主流である。Fishbaseによればタカベ科は世界で4属11種が知られている。ほとんどの種が南半球に生息しており、北半球ではタカベとMedialuna属のハーフムーン(属名そのもの...)が知られるのみである。最も種の多いScorpis属はオーストラリアの西海岸からチリまでの海岸に生息していて、青く塗ったマルコバンみたいな姿をしている。また体側に目立つ横帯があるものもいる。

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アマミハナダイ

2024年04月06日 15時48分02秒 | 魚紹介

今日も例によって時間がないので、過去紹介できていなかった魚のご紹介。スズキ目・ハタ科・ハナダイ亜科(もしくはハナダイ科)・イズハナダイ属のアマミハナダイ。

イズハナダイ属の魚は近年新種記載が続いている。本当に「新種記載ラッシュ」となっているのだ。ハゼ科のイソハゼ&ベニハゼと似たような状況になっている。本種は1972年に新種記載されたものでこの属としては比較的古くから知られていたようだ。ただしイズハナダイのように今なお分類学的に混乱の渦中に置かれているものもいる。1975年の「魚類図鑑ー南日本の沿岸魚」でイズハナダイについては「本種の学名には問題がある」とされているが、それから50年近くたってもいまだに決着がついていないようである。

アマミハナダイの分布域は奄美諸島以南の琉球列島、西太平洋、サモア諸島などで、水深100~200mほどの海底から採集されている。1968年に奄美大島から「イズハナダイ」として報告されたものの、イズハナダイと異なるとされ1972年に新種記載されたが、この新種記載の際には奄美大島のものではなく、沖縄産のものがホロタイプに用いられた。(奄美大島産のものはパラタイプとして記載に用いられた)

アマミハナダイの体側の斑紋

本種の大きな特徴は体に小さな黄色‐暗色斑が散らばること、体側に眼径大の不明瞭な赤色斑があることでほかの種と見分けられ、イズハナダイとは背鰭第3棘が伸びないことで見分けられる(イズハナダイでは、背鰭第3棘が長く伸びる)。イズハナダイ属魚類は成魚でも体長4cmほどの小型種もいるが、このアマミハナダイは大型で全長25cmほどになり、釣り、延縄などによって漁獲されて食用になっている。残念ながら2017年に入手したもので美味しかったかは忘れてしまった。また食べたい魚種のひとつであるが、再開は叶っていない。

沖縄美ら海水族館のアマミハナダイ

イズハナダイ属の魚類のうち、サンゴ礁域に生息する小型種は観賞魚として飼育されることがある。とくにフィリピンなどから輸入されるPlectranthias inermis Randall,1980は観賞魚としてよく知られているし、他にもチビハナダイなどは観賞魚店ではたまに見られる。しかしながら小型であっても深場に生息する、局地的な分布域の種であるなどの理由でお値段はどうしても高いものになってしまう。オシャレハナダイなども6ケタ円しないと買えない。先述したようにアマミハナダイは100~200mほどの海底に生息するため飼育されることはない、と思いきや2019年に私は沖縄美ら海水族館で感動的な対面を果たした。見た感じだと体側の暗色斑は黄褐色で、赤色斑はやっぱり不明瞭なよう。しかし、実はそれに先立ち名古屋の名東水園リミックス名古屋インター店においては2015年に衝撃的なアクアリウムシーンへのデビューを果たしていた。しかしお値段もまた恐ろしいものであったようだ。

今日の昼には「あかりん結婚」がTwitter(Xと改名)のトレンドとなっていた。どうやら吉田朱里さんが結婚したようだ。例の疑惑の彼氏だろうか。しかし「あかりん」(ひらがなあかりん)は48ヲタ界隈では通常SKE48の須田亜香里さんのことを指し、吉田朱里さんのことを「あかりん」と呼称する場合は通常カタカナで「アカリン」とつづる(カタカナアカリン)。Youtubeの「アカリンの女子力動画」だってカタカナアカリンだったしね。でも吉田朱里さんでよかった。須田亜香里さんが結婚したとなったら椎名さんは心が空虚なものになってしまう。

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ムレハタタテダイ

2024年04月05日 13時04分10秒 | 魚紹介

チョウチョウウオ科・ハタタテダイ属のムレハタタテダイはこれまでもこのぶろぐでは登場していたのだが、詳しくは紹介できていなかった。ということで今回はムレハタタテダイのご紹介。

ムレハタタテダイはインドー太平洋に広く分布している。また紅海やハワイ諸島にも分布しているのは本種らしい。日本ではどちらもその姿を見ることができるが、単独でいるのはハタタテダイのほうが多いような気がする。ただし手元のハワイの魚の本(Jordan and Evermann,1903/1973)にはハタタテダイの学名で掲載されている。ムレハタタテダイはその後に再記載されたのである。日本国内では千葉県以南の太平洋岸、山口県、長崎県、琉球列島、八丈島、小笠原諸島で見られる。

ハタタテダイ

ハタタテダイとの見分け方はいくつかあるが、有名なものは背鰭の棘条数である。ハタタテダイは背鰭棘がふつう11なのに対し、ムレハタタテダイではふつう12~13棘である。吻もハタタテダイのほうがよくのびる。さらにムレハタタテダイでは胸部が膨らむなどの特徴もある。ただしこの2種を見分けるのは初心者ではむずかしい。ある程度の数を見る必要がある。そして、適切な「指導者」の存在も。私は「適切な指導者」が2007年まで某サイトにおられたし、しっかり背鰭棘を計測することで覚えたのであった。

群れをつくるムレハタタテダイ

生態も異なっている。ハタタテダイは単独または数匹でサンゴ礁で小型の甲殻類を啄むように思えるが、ムレハタタテダイは大群を作りプランクトンなどを食っているように思える。実際にハタタテダイはなかなか釣れなかったが、ムレハタタテダイは漁港でオキアミを餌にするとすぐに釣れてきた。餌付きもよく飼育は簡単だというが、白点病になりやすいことや、サンゴをつつく可能性もあるため、なかなか飼育に踏み切れない。以前飼育していたが白点病に罹って死なせてしまった。定置網ではムレハタタテダイが時に多く網に入ることがあり、これを水族館に送って飼育されているケースもある。

ツノダシ

なおハタタテダイ・ムレハタタテダイによく似た魚にツノダシという魚がいる。ハタタテダイ属魚類に非常によく似た見た目をしているが、分類学的にはニザダイに近いとされている(もっとも、チョウチョウウオ科もニザダイに近いという意見もあるが)。ハタタテダイ・ムレハタタテダイともに尾鰭は黄色であり、尾鰭が黒いツノダシとは容易に見分けられる。ツノダシは単独でいることもあるが、産卵期などは大群をつくることもある。

ムレハタタテダイの塩焼き

ムレハタタテダイはいちど食したことがある。このときは小笠原諸島で獲れたものを山田良一さんに送っていただいたのだが、かなり大きいものだったので食してみた。塩焼きにすると皮目が厚くて気になったが、身自体は美味しく食することができた。山田良一さん、ありがとうございます。

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