魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ここ数日間の環境問題

2024年04月03日 21時30分06秒 | 環境問題

新年度に入ったが、今日も大変なニュースが色々。加油臺灣!しかし、地震のほかにも様々な環境の問題があったので、解説していく。

●またもネコの不適切飼育

これだけ旧年度のニュースである。群馬県で飼育されていたコールダックがネコに捕食されたというものであり、飼い主がTwitter(Xと改名)でツィート(ポスト)した。このときコールダックは日光浴をしており、飼い主が少し目を離したときにおこった出来事であった。日光浴をしていた場所は道端や広場でなく、飼い主の庭だったようで、そこにネコが入って来たものである。4月2日にはネコがウサギの幼獣を咥えて持ってきたというツィートもあった。ネコは小型の哺乳類や鳥類のほか、昆虫や爬虫類などさまざまな生物捕食する肉食動物である。

コールダックを襲ったネコは飼い主がいたもので「ノネコ」「地域猫」ではなかった。高齢者だと、「昔ながらの」ネコの放し飼いをしているケースもあるという。しかし現在はネコは野外で放し飼いにすると、野生動物を襲うということがある。いや、野生動物だけでなく、日光浴中の生き物や、飼い主と庭で遊んでいる生物も。それにより絶滅の危機に瀕している生物も多数いる。だからみんな「ネコは屋内で飼育して」と言っているのである。また、屋内で飼育していると、天敵に襲われるリスクや、ほかのネコとの争い、寄生虫や病気を持ってくる心配がなく、健康で長生きする。屋外でネコを飼育していることを「不適切飼育」と声大きくし指摘していかなければならないだろう。トップ写真のネコはノネコで、飼育ネコと比べると不幸なように見える。

 

●ニジサクラの放流

またしても放流のニュース。今度は山形県の「ニジサクラ」。ニジサクラというのは山形県の内水面水産試験場が開発した「ご当地サーモン」のひとつで3倍体。その名前の由来は「ニジマス×サクラマス」からきているようである。どちらもサケ属であり、交雑個体ということになる。このニジサクラの増殖を行う公益財団法人「県水産振興協会」が河川に放流した。放流した理由は「出荷がキャンセルになり、そのままでは大きくなるため河川に放した」そうだ「。水産庁は生殖能力のない「3倍体個体の放流による生態系への影響が確認できなかった」ことから3倍体の放流を解禁しているという。

一応生殖能力はないとされるが、万一のことも考えられるし、寄生虫、病気など様々な問題も考えられる。この手のケースはほかにもあり、日本国内で外来魚を養殖していたものの、需要がなく養殖を放棄、残った個体を放流または逸脱してしまったというものはいくつかある。筆者は日本国内での外来魚の養殖には反対ではないし、実際に大きなものではニジマス、小さなものではコリドラスやベタ、グッピーなどのブリードもある。しかし結局外来魚の養殖というのは需要をしっかりつかむ必要があり、もし需要がないのであれば一切手を出すべきではないだろう。

しかし交雑しないだけでほかの魚を捕食することもあるため、水産庁の放流解禁は問題があっただろう。この間の岐阜県の「ニジマス」については民間業者だったからか大きく騒がれたが、今回は県や公益財団法人もかかわっているからか、騒ぎが少ないのが気になる。

※ただこれを報じた「山形新聞」については残念ながら全文は会員登録しないと閲覧できず、Yahoo!ニュースの山形放送のニュース動画などを参照にしているので、この記述は正確なものでないかもしれない。申し訳ない。

 

●希少淡水魚の生息地の開発

最後は某県。某県には希少種であり、「種の保存法 ()」の指定種で採集や飼育が禁止されている某淡水魚がいるのだが、その生息地で大きな浚渫が行われている。この種は今が産卵期であり、特異な産卵習性を有しているのだが、この浚渫の影響で大きなダメージを受けてしまったのは間違いないであろう。

そもそも「種の保存法()」においては、「飼育や採集は禁止」されているがその一方で、淡水魚生息地の開発・改変については「開発を差し止めることができる」旨述べられており、この法律が生物多様性保全にとってはほとんど何の意味も持っていないのは明らかである。であれば、そろそろこの法律自体見直さなければならないのであるが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オニアジ

2024年04月01日 23時28分40秒 | 魚紹介

今日から新年度である。しかしながらこの年度はぶろぐをあまり更新できないかもしれない。今回も「以前紹介していたと思ったが、実は紹介していなかった」、そんな魚のご紹介。アジ科・オニアジ属のオニアジ。オニアジ属の魚はこのオニアジのみの1属1種のみからなる。

オニアジの特徴はいくつかあるが、最大の特徴はその小離鰭(しょうりき)である。この鰭は背鰭および臀鰭の後方にある小さな鰭のことで、サバ類では顕著であるが、アジの仲間ではムロアジ属が背鰭と臀鰭後方にそれぞれひとつもっているくらいで、あまりこの鰭を有する種は多くない。複数個有しているのはオニアジくらいのものである。この特徴によって、ほかのアジ科魚類とは容易に識別可能である。

このほか稜鱗(ぜんご、ぜいご)の形状もほかのアジ科魚類とは大きく異なっている。マアジやムロアジの仲間と比べると明らかに幅の広い稜鱗があり、この形質でも容易に見分けることができるだろう。写真などから同定するしかない場合は、小離鰭が広がっていないことがあるため、この形状をもとに同定するのが早いだろう。

顔つきはマアジよりもどこかシャープで「捕食者」的であるが、実際に肉食性が強いようである。眼は脂瞼に覆われているように見える。

オニアジは熱帯性のアジ科魚類であるが、日本においても主に宮崎や鹿児島県などで水揚げされている。この個体も鹿児島県で水揚げされたもので、当地ではそこそこ水揚げがあるようだが、「大隅市場魚類図鑑」によれば、鹿児島県内之浦湾においては成魚の漁獲はまれであるという。ただし幼魚は夏~秋にかけてまとまった数が漁獲されているという。日本における分布域は津軽海峡以南の日本海岸、相模湾以南の太平洋岸、瀬戸内海、琉球列島となり、海外ではインドー西太平洋の広域に分布している。身は赤みをおびてかなり美味、熱帯では重要な食用魚とされている。この個体は鹿児島県産で田中水産社長の田中積さんより。いつも、ありがとうございます^^

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする