日本には4000種も魚がいるのに、一般の方が食べる魚は種類的にはそう多くないのではと思います。アジ、サバ、イワシ、サンマ。祝い事にはタイ。寿司にはサケマスの類、あとはカツオ、マグロ、ヒラメ、カレイ、メバルくらいでしょうか。先日近くのスーパーを訪問した際には日曜で混みごみ、多くの魚が売れていく中、山のように積まれたトクビレには全く手がつけられていないような感じでした。
ただ売る側にも配慮が必要かもしれません。トクビレは堅そうな鱗におおわれますが、実際に包丁をいれれば比較的簡単にさばけるのです。刺身にして食べると美味しいですよ、軍艦焼きも美味しいですよ、これだけで少し変わるようなきがするのですが…。
愚痴は置いておいて、本題。
最近、また変わった、しかし美味しい魚に出会うことができました。オオソコイタチウオという深海性の魚です。オオソコイタチウオは以前ご紹介しました「イタチウオ」という名前が入っていることや、その風貌からアシロ科の魚です…ではなく、フサイタチウオ科という別の科に含まれる魚です。フサイタチウオ科の魚の特徴は前鼻孔の位置が上唇縁辺に近いという特徴があります。
オオソコイタチウオの頭部
アシロの頭部
アシロ科の魚は多くの種類では前鼻孔が上唇縁辺から離れた位置にありますが、アシロ科の魚の中でも前鼻孔が上唇縁辺近くにある種類がいます。アシロもその特徴を有する魚です。
もう一つの重要な違いは生殖の様式です。フサイタチウオ科の魚は胎生とされており、雄は顕著な交接器を有します。写真の個体は雄になります。なおフサイタチウオ科の魚は英語名もViviparous brotulaといいます。胎生のイタチウオという意味です。
口腔内の写真。オオソコイタチウオ属の魚は世界で12種ほどが知られていますが、「ペルー海域の深海魚図鑑」の中のヒガシクロオオソコイタチウオの解説の中で「体が暗色で、体長が25cmをこえ、顆粒状の歯をもつグループ」と、「体が淡色で、体長25cm未満で、互いに離れた鋭い小歯をもつグループ」に分かれるとありますが、このオオソコイタチウオは前者のようです。
魚類検索によれば、オオソコイタチウオは沖縄舟状海盆から記録されているようですが、それ以外の地域の記述はなく、よくわかっていないようです。その一方で、「魚類写真資料データベース」には相模湾産の個体が掲載されています。この個体も三浦半島沖の深海で漁獲されたもので、カニカゴの中に入っていたようです。
さてさて、いただいてみます。
刺身と肝
しゃぶしゃぶ
刺身(肝和え)と、しゃぶしゃぶなのですが、見た目があまりにも・・・。しかしこういう魚はとてもうまいものが多いです。しゃぶしゃぶはきわめて美味でしたが、刺身、肝和えも美味でした。釣りでは人気が出そうもないですが持ち帰れば楽しめる魚です。「さかな人」長谷川さんにはお世話になりました。ありがとうございました。
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