異体類シリーズ第4弾は、ツマリツキノワガレイ。
ツマリツキノワガレイは近縁のベロガレイなどとともにカレイ科のベロガレイ亜科とされていたが、カワラガレイ科やロンボソレア科などとともに科に昇格した。ベロガレイ科はインド‐太平洋域に生息する仲間で3属27種が有効とされる。ツマリツキノワガレイは、その中のツキノワガレイ属の魚である。
ツキノワガレイ属の魚は日本に4種が知られる。4種のうちジャノメツキノワガレイと呼ばれる種は水深数mのサンゴ礁に生息するが、ほかの種はやや深海性で水深50~170mほどの場所から底曳網漁業で漁獲される。分布域は若狭湾以西の日本海、熊野灘、土佐湾。海外では台湾に生息する種で、やはり底曳網がない地域、あるいは東日本ではなかなかお目に罹れない種類である。
ベロガレイ科の魚の特徴は無眼側に胸鰭がないこと、無眼側に側線がないか、あっても痕跡的であることがあげられる。ツマリツキノワガレイは胸鰭が4~5軟条であること、背鰭前方の軟条は糸状に伸びないこと、腹鰭の軟条も糸状に伸びないこと、胸鰭がかなり長く頭長よりもずっと長いこと、有眼側に明瞭な3つの斑がないことによりほかのベロガレイ科の魚と区別できる。
胸鰭は非常に長く、暗色帯が数本入る。これによりほかのツキノワガレイ属の魚と見分けられる。ツキノワガレイは胸鰭軟条数が5本、コツキノワガレイは4本で、いずれも細くて目立つ数本の黒色帯が胸鰭にはないようだ。この仲間は沖合底曳網、あるいは小型底曳網、刺し網などにより漁獲されるが、普通は食用になっていない。しかしある程度大きくなるベロガレイなどは食用にされることもあるという。釣りの対象魚でなく、市場でもお目に罹れない極めてマイナーな異体類であり、そのためにまだ新種や日本初記録種がみつかる可能性も高いようだ。
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