最近暖かい海の魚の記事を書いていたので。今回は冷たい深海の魚。そのなかでもポピュラーな存在であるゲンゲ科の魚について。
上がカンテンゲンゲBothrocara tanakae (Jordan and Hubbs, 1925)。下はシロゲンゲBothrocara molle Bean, 1890。カンテンゲンゲは以前にもブログで紹介したことがありました。シロゲンゲは東北地方や北海道の太平洋岸に生息する種類です。シロゲンゲもカンテンゲンゲも同じシロゲンゲ属の魚で、日本産シロゲンゲ属魚類はこれら2種類と、ノロゲンゲの計3種が知られています。
よく似た大型種で同定がしにくいのですが、頭部背面を見れば同定が可能です。カンテンゲンゲの頭部背面です。眼は近寄っています。
こちらはシロゲンゲ、両方の眼は、カンテンゲンゲと比べて離れています。
しかし、この同定方法は、両方の種がいないとなかなか見分けにくいかもしれません。このほかの同定方法として、胸部腹面の鱗の有無が挙げられます。カンテンゲンゲは、この部分に鱗がないのですが、シロゲンゲでは鱗があります。
オグロゲンゲ属のカムチャッカゲンゲも、シロゲンゲに似ていますが、カムチャッカゲンゲは側線が1本なのに対し本種では2本である、などの違いが見られます。
シロゲンゲはこの仲間では最も広く分布する種で、北海道・東北地方の太平洋岸、オホーツク海、ベーリング海、北東太平洋のカナダ~メキシコのバハ・カリフォルニアまで見られるようです。