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魚のぶろぐ

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ナンヨウカイワリ

2024年11月07日 17時36分25秒 | 魚紹介

昨日3連勤から帰ってきました。一般人の5日の仕事を3日でやらないといけないから大変なのです。

さて、今日は「魚紹介」、2回連続でアジ科の紹介となるが今日はナンヨウカイワリのご紹介。ナンヨウカイワリはアジ科・ナンヨウカイワリ属の種で、ナンヨウカイワリ属を構成する2種のうちのひとつとなっている。2種とも日本に分布しており、もう片方の種はクロヒラアジである。

黄色い斑点がおしゃれ。

ナンヨウカイワリも前回のシマアジ同様、このぶろぐでの登場は初めてとなる。ただし、かつてこのぶろぐでも紹介したホシカイワリやアンダマンアジのように、この魚と触れ合ったことはないわけではない。初めて本種を入手したのは2009年8月のことで、高知県の南西部にある「ふれあいパーク大月」で購入したものである。通常この場所で購入した魚はすぐこのぶろぐに乗っけているのだが、この魚は掲載できていなかった。ほかにも2009年11月、2013年に本種に触れているのだが、ぶろぐでは紹介できなかった。そして今日、ようやくこのぶろぐに登場させることができた。ついでに過去私が見ることができたナンヨウカイワリの写真を。

2009年8月にふれぱで購入したナンヨウカイワリ

2013年11月に尾鷲で食したナンヨウカイワリ。かなり体高がある大きめの個体。うまし。

「南洋貝割」という名前であり、たしかに南方系のアジ科ではあるものの、ホシカイワリやアンダマンアジほど極端な南方系の種ではないようで、幼魚は黒潮にのり関東沿岸、年によっては東北地方太平洋岸や、日本海沿岸にもその姿を見せることがあり、筆者も某図鑑サイトにある某BBSでそれを多数みてきた。2009年の秋にいたっては、ツバメコノシロと並んで特に多く質問される種となっていた。しかしこの種は冬の低水温を乗り切ることはできないらしい、いわゆる「死滅回遊魚」の一種とされる。その割には毎年そこそこの量が流れてくるように思うのだが。分布域は広く、西インド洋からメキシコ西海岸までと、ハワイ諸島、レビリャヒヘド諸島に至る広域に分布しているが(タイプ標本も東太平洋のクラリオン島らしい)、西インド洋では局所的な分布らしく、南アの「Smith’s sea fishes」には掲載されていなかった。なお、「カイワリ」と名にあるが、カイワリとは特に近縁な種というわけではない(ただし、従来はカイワリともどもCarangoidesにされていたことがあり)。

ナンヨウカイワリの刺身

このナンヨウカイワリ、アジ科のなかでも非常に美味しい種である。筆者も食したことがあるがうまかった。今回も刺身にして食す。全長50cmくらいになり、大きいものは脂がのり美味であるがこのくらいのものはまだ脂ののりがいまいち。しかしくせはなく、美味しく食すことができた。今回のナンヨウカイワリは長崎県 マルホウ水産 「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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シマアジ

2024年11月02日 19時47分49秒 | 魚紹介

11月になりました。今年もあとふた月。早いものです。

今回は久しぶりの「魚紹介」。アジ科・シマアジ属のシマアジ。シマアジは以前も記事にしたと思っていたが、記事にしたことがなかったどころか撮影した写真もほとんどなかった(ハレーションの酷い1枚のみ)。ようやく今回撮影することができたのであった。

さて、シマアジといえばヒラマサとならび以前から、何種かに分けられるのではないかという話がある。実際に古くは「タイプA」とか「タイプB」と呼ばれる2タイプが知られている。これは遺伝的に区別できるものとされ、タイプAは脊椎骨数25、背鰭軟条数24~26(ふつう25~26)、臀鰭軟条数20~22(ふつう21~22)、タイプBは脊椎骨数24、背鰭軟条数23~25(ふつう23~24)、臀鰭軟条数20~22(ふつう20~21)とされる。また幼魚に出現する横帯はタイプAでは不明瞭だがタイプBでは明瞭であるらしい。この個体は軟条数などを計数するとタイプAであるようだ。

沖縄県ではタイプBのものが水揚げされているが、写真を見た感じでは沖縄のものは本州~九州沿岸のものとはだいぶ異質であった。しかしながらタイプBのものも九州以北にも見られる。今後シマアジは外見だけでは識別できない時代も来るのだろう。なお、海外のシマアジ属魚類の分類もまた難航しているという話である。

アジの分類は古くから混乱があり、従来は本種をCaranx、つまりギンガメアジなどと同じ属の中にぶち込んでいる文献もあった。現在はPseudocaranxがシマアジ属とされる。Pseudoとは「偽の」とかそんな意味である。「Pseudochromis」が「偽のスズメダイ」すなわちニセスズメ類の学名であることを思い浮かべていただければわかりやすいだろう。現在は分類学的にはマアジ属だとか、メアジ属に近縁とされるが、やはり、カイワリとはとくに近いようだ。カイワリは長らくFishbaseや欧米の文献などではCarangoidesに含められてきた過去があり、Carangoidesのグループに近いと思いきや、それほど近縁ではないらしい。

シマアジの体側の傷

シマアジはよく知られているように美味しい高級魚である。そのため養殖もされている。しかしながらその肌は非常に弱いらしい。この個体にも体側に血がにじんだような傷がある。これは養殖個体ではなく、天然モノのようでほかのアジの仲間といっしょに網に入ったようである。ただ網による擦れか、ほかの魚との接触により擦れたのかはわからなかった。それとも寄生虫によるものなのかもしれない。

シマアジの刺身

さて、そんなシマアジ。シマアジを食べたのももちろん初めてではないが、アジ科の仲間でもシマアジの含まれるクレードにはメアジやらカイワリ、マアジなどが含まれこれらはみな美味しいものばかりである。そのお味は、もちろん美味。

一見おいしそうだが、実際には想像以上に美味なのだ

脂ののりもいいが、その乗り方もまた上品である。養殖物のようなぎとぎとしたものではない。ああ、うまかった。なお今回のシマアジも長崎県 マルホウ水産 魚喰民族 石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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ユリウツボ

2024年10月08日 06時44分50秒 | 魚紹介

こんにちは。さいきんうちの会社の人が何かやらかしたらしく、今週は月・火だけでなく水・木もお休みの予定だったが水・木も仕事が入りちょっとブチ切れ気味の椎名さんです。今日も前回のハワイウツボと同様に、小笠原諸島産のウツボのご紹介。やはりハワイウツボと同様、長らく探し回ったがようやく手に入った!という種である、ウツボ科・ウツボ属のユリウツボ。

体は茶色で、体側には薄い黄土色斑があり、それは大きい。背鰭にも同じような斑点があり特徴的である。その斑紋はぼやけており、ハナビラウツボなどのように明るいという感じではない。また写真からは体側のしわの入り方もよく観察できる。

ユリウツボの顔。上・下顎には鋭い歯が並ぶウツボらしい特徴を持っている。コケウツボにも似ているが顎は湾曲しておらず、完全に閉じられる。鼻管も長くよく目立っている個体である。歯には鋸歯はなく、ミナミミゾレウツボやその辺とは区別しやすいだろう。伸びた鼻管は暗い海で餌をさがすのに役に立つに違いない。

本種によく似ているものに台湾から報告されたGymnothorax niphostigmusというウツボ科魚類がいるが、この種は臀鰭が白く縁どられることや体側の斑紋の形などにより、ユリウツボと見分けることができる。この種は近年日本からも記載されワタユキウツボという名前がつけられた。鹿児島や長崎などで水揚げされることもあるだろうから、よくチェックしないといけない。

ユリウツボ基本的に深場にすむウツボらしく、水深100m前後の岩礁域から、底曳網やつつなどで漁獲されている。しかし状態よく水揚げされることもあり、そのような個体は観賞魚としても流通されることがあり、水族館で飼育されていることもある。しかし高水温には弱いと思われ、低水温をキープしないと、満足に飼育することはできないだろう。

ユリウツボは学名がころころと変わりややこしい魚である。従来はGymnothorax mierozewskiiという学名や、Gymnothorax leucostigmaという学名が使用されてきた。しかしながら現在はGymnothorax prionodonという学名が使用されている。このG.prionodonはニューサウスウェールズをタイプ産地とするもので、南半球のものである。しかしオーストラリア産のものの見た目は典型的な日本産のユリウツボとは異なっているように思える。もっと詳しく調べてみたいところである。というかPrionodonって鋸状の歯、という意味なので日本のとは違うのかもとおもいきや、どうもオーストラリアミュージアムによれば誤りなのだとか。なおFishbaseのものは台湾産のものであり、これはおそらく日本のユリウツボと同種であろう。今回もハワイウツボと同様にHN「魚のげぼ」さんよりいただいたもの。いつもありがとうございます。

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ハワイウツボ

2024年10月06日 16時32分40秒 | 魚紹介

先日我が家にやって来た深場のウツボ科。ウツボ科・ウツボ属のハワイウツボ。名前に「ハワイ」とあり、実際にハワイ諸島にも分布するが、日本でも小笠原諸島、静岡県、和歌山県、沖縄諸島、尖閣諸島などに見られる。国外での分布はハワイ諸島のほか、澎湖諸島、西沙諸島、南沙諸島、インド—西太平洋に見られる。基本的に深場の種で、水中写真も撮影されているものの、水深50~250mほどにすむようである。

眼が黄色いのが特徴的。このハワイウツボによく似たもので、混同されてきたものにオキノシマウツボというのもいるが、このオキノシマウツボは眼が黄色くないようで、同定形質のひとつとして使えるかもしれない。ただし、死後しばらくすると眼が赤みを帯びてしまうので注意が必要だろう。頭部には小さな黒色斑があるのも特徴的だが、このような模様はオキノシマウツボでは確認できず、同定ポイントとなっている。なお1975年の「魚類図鑑 南日本の沿岸魚」に掲載されている「オキノシマウツボ」の写真はハワイウツボである。解説では「ハワイウツボとも。」とあり、当時はこの仲間の分類が混乱していたことがうかがえる。のちの益田・アレンによる「世界の海水魚」ではオキノシマウツボとハワイウツボはそれぞれ別種として扱われているが、オキノシマウツボはGymnothorax sp.とされた。その後1992年にGymnothorax ypsilonという学名がつけられた。

ハワイウツボの特徴として体側の横帯は臀鰭でつながる、というものがあるが、この個体はその特徴がしっかりと現れていた。教科書(日本産魚類検索第三版)通りの斑紋で感動!オキノシマウツボはこの模様がつながっていないようである。

今回の小笠原諸島産のウツボはこのほかにもう1種入っていたのだが、それはまた後でご紹介したい。小型種であるが後程食してみたいと思っている。ということで久しぶりの「魚のぶろぐ」らしいぶろぐ記事であった。今回のハワイウツボはHN「魚のげぼ」さんより。いつもありがとうございます。

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ホンフサアンコウ

2024年09月06日 12時42分35秒 | 魚紹介

今回の長崎産魚便で一番楽しみにしていたのがこれ。アンコウ目・フサアンコウ科・フサアンコウ属のホンフサアンコウ。従来はたんに「フサアンコウ」と呼ばれていた種。学名はChaunax fimbriatusでヒルゲンドルフが記載。深海性で水深590m以浅の海に生息しているが、まれに水深30mほどの浅瀬からダイバーにより撮影されたこともある。

特徴としては体側に緑色の斑点がなく、背鰭の軟条部前方に浅いくぼみがあること。また、背鰭棘の基部に薄い黄色斑があるのも特徴である。これらの特徴により、ミドリフサアンコウとの識別は難しくはないであろう。体色は褐色で、体には小さな白い毛のような皮弁が生えている。

日本産でもう1種ホンフサアンコウに似ているものにハナグロフサアンコウというのがいる。ハナグロというくらいだから吻部が黒いというわけでなく、見分けは誘引突起のあるくぼみが重要になる。ハナグロフサアンコウは誘引突起のあるくぼみ後端は眼前縁を結ぶ線に達していない。一方このホンフサアンコウでは誘引突起のあるくぼみ後端は眼前縁をむすぶ線を超えるのでハナグロフサアンコウとの見分けはさほど難しくはないだろう。以下にホンフサアンコウとハナグロフサアンコウの頭部の比較写真を掲載する。なお黒い線が眼前縁を結ぶ線であり、白い線が誘引突起のあるくぼみの後端を示す。

ホンフサアンコウの頭部

ハナグロフサアンコウの頭部

ホンフサアンコウのくぼみと眼前縁を結ぶ線の位置関係

ハナグロフサアンコウのくぼみと眼前縁を結ぶ線の位置関係

今回ホンフサアンコウを入手したことにより、日本産フサアンコウ科の魚3種を入手した。日本産魚類検索に出てくる3種すべてそろったことになる。もう1種は近年日本初記録種として報告されたアカフウセンという種で、これは生鮮時体は一様に赤くて斑紋がないため日本産の既知の種と見分けることができる。とりあえず、入手したフサアンコウ科魚類3種をご紹介。

 

ミドリフサアンコウ 三重県尾鷲市 底曳網漁業

 

ハナグロフサアンコウ 沼津市戸田 ヘンテコ深海魚便(底曳網漁業)

 

ホンフサアンコウ 長崎県近海(釣り物?)

このホンフサアンコウは全長364mm、標準体長265mm、重さ1246.5gある大型個体であった。上記の写真の個体よりふたまわりくらい大きい。ハナグロフサアンコウやミドリフサアンコウも体調30cmを超えるというが、このホンフサアンコウも大きく迫力がある。しかしながら生殖腺は発達していなかったため雌雄は不明。しかし肝も胃も大きく内臓も食いごたえがありそうなものであった。まずは肛門からハサミを入れ内臓を出していった後、皮をはぐ。アンコウなどは皮も食べるがホンフサアンコウは皮に小さな棘が密生しているので皮は食べにくい。そのためあらかじめ皮をはがすようにしたいところである。

フサアンコウ科の魚は鍋物、汁物、揚げ物にして美味である。そしてだいたいが、そのような調理法になりがちである。しかし今回は刺身にしてみた。身はやわらかい。決してまずいわけではないが味は比較的薄く、ポン酢などがよく似合う。刺身の上に肝をのせて食べると絶品。

汁物は定番。肝や胃なども入れて美味しく食べることができる。初めて食べるホンフサアンコウを我が家で楽しみまくった。今回のホンフサアンコウも、フサカサゴ&ヒメアンコウと同じく長崎県「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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