我々昭和の年代の者であれば“正露丸”を一度は呑んだことがあるだろう。どこの家庭でも、メンソレータムと正露丸は常備薬だった。独特の匂いは忘れがたい。図書館からお借りした“町田忍の昭和遺産100”から。
富士薬品の正露丸
ルーツは明治に遡る。最近は、大幸薬品発売のラッパのマーク“正露丸”で知られている。発売された明治期は“征露丸”と表記され“ロシアを征する”意味合いの名前だった。明治36年 陸軍軍医の戸塚機知(みちとも)と白岩六郎が発明したクレオソート丸が始まりという。戦地ではペストや赤痢が蔓延、殺菌作用の強い胃腸薬が必要とされた。効果は抜群だった。しかし、兵士からは強い臭いに服用を嫌がられた。そこで幹部らは考え、缶の中に「陛下ノゴ希望ニヨリ」の一言を入れたら躊躇なく飲まれたという。
写真は、幕府の御典医であり明治期は政治家だった松本良順
戦後、このことを聞いたマッカーサーは、国民がいかに天皇を大切に思っているかを知り、昭和天皇と並んでいる写真を公表することで、統治をスムーズに進めたという。
戦後“征露丸”は“正露丸”と改名されたが、多くの製薬会社から発売されていたため商標権をめぐって裁判が起こされた。結果“正露丸”は普通名称となった。
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