権丈善一『ちょっと気になる医療と介護:増補版』勁草書房, 2018.
権丈先生の一般向け書籍第二弾の増補版。前著『ちょっと気になる社会保障』と同様くだけた語り口を期待させるが、けっこうシリアスで切迫感がある。まだ400pを超える頁数を割いての議論であるため、前著よりは丁寧な説明となっている。
年金は大丈夫だが医療と介護には問題がある。少子高齢化云々、というわけで現在医療制度は改革の途上にあるという。その方向は、基本、高齢者は在宅のまま通院治療という形でケアし、重篤の場合は入院とするというものである。介護もこのシステムにくっつける。しかしながら、負担を迫られる団体や地域の抵抗、あるいは政治の場では増税が難しくなっていることもあって、先行き不透明な部分もある。方向は正しいのだから、あとは財源をどうするのかが問題だ、という。
著者は消費税増税の先送りを憂いている。だが、増税の景気への影響を懸念する議論にも説得力があって、この件に関しては素直に同意できないところである。世代間対立を煽るのはよくない、と著者はいう。だが、短期的な就職機会等への影響が無視できない以上、世代間対立を矮小視するのもゆきすぎだろう。この点はさておき、全体として興味深い内容である。
権丈先生の一般向け書籍第二弾の増補版。前著『ちょっと気になる社会保障』と同様くだけた語り口を期待させるが、けっこうシリアスで切迫感がある。まだ400pを超える頁数を割いての議論であるため、前著よりは丁寧な説明となっている。
年金は大丈夫だが医療と介護には問題がある。少子高齢化云々、というわけで現在医療制度は改革の途上にあるという。その方向は、基本、高齢者は在宅のまま通院治療という形でケアし、重篤の場合は入院とするというものである。介護もこのシステムにくっつける。しかしながら、負担を迫られる団体や地域の抵抗、あるいは政治の場では増税が難しくなっていることもあって、先行き不透明な部分もある。方向は正しいのだから、あとは財源をどうするのかが問題だ、という。
著者は消費税増税の先送りを憂いている。だが、増税の景気への影響を懸念する議論にも説得力があって、この件に関しては素直に同意できないところである。世代間対立を煽るのはよくない、と著者はいう。だが、短期的な就職機会等への影響が無視できない以上、世代間対立を矮小視するのもゆきすぎだろう。この点はさておき、全体として興味深い内容である。